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インジルリク空軍基地が再び米トルコ関係の焦点となる

トルコのアダナ近郊にあるインジルリク空軍基地から、米空軍のF-15戦闘機が離陸する。(資料写真/AP)
トルコのアダナ近郊にあるインジルリク空軍基地から、米空軍のF-15戦闘機が離陸する。(資料写真/AP)
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30 Apr 2021 05:04:21 GMT9
30 Apr 2021 05:04:21 GMT9
  • 対米関係に緊張があるとき、インジルリク空軍基地はトルコにとって常に対米交渉の切り札となってきた

メネクス・トキアイ

アンカラ:ジョー・バイデン米大統領が土曜日、オスマン帝国による1915年から1917年にかけての推定150万人のアルメニア人に対する追放および殺害を「大量虐殺」と認定したことから、トルコのインジルリク空軍基地が再び米トルコ関係を巡る議論の中心となっている。

アルメニア人の大量虐殺を認めたバイデンの決定は、このように大量殺戮を分類する歴史的根拠や法的根拠はないと主張するトルコの政策決定者たちを怒らせた。

トルコと米国が緊張関係にあるとき、通常は米国が、特に対イスラミックステート攻撃の作戦に使用するインジルリク空軍基地は、常にトルコにとって米国に対する交渉の切り札となってきた。

シリアとの国境から100マイルほどの場所にあるこの基地は、1980年3月以来、米トルコ間の防衛協力協定に基づいて使用されてきた。米国は同基地に、トルコや米国の航空機が輸送するための数十発のB61核爆弾を保管しているとされる。

もしトルコが基地を閉鎖すれば、それが米トルコ同盟を事実上終結させるきっかけとなり、米国は中東地域における同盟国としてのトルコを切り捨てることになると考えられる。

差し当たりトルコは、今回の米国の決定に対する抗議として、基地内の米国旗を半旗とするだけであろうとの見方がされている。

月曜日、バイデンの「大量虐殺」認定に抗議する人々が、イスタンブールにある米領事館の外に集まり、「米兵はトルコから出ていけ!」と叫んで米軍によるインジルリク空軍基地の使用の終結を主張した。

「その地理的な位置、そして安全で安定した国にあるという理由から、インジルリクは中東地域にある米空軍の(最も安価で)最も効果的な空軍基地です」と、ジャーマン・マーシャル・ファンド・米国のアンカラ支店長オズギュル・ウンルヒサルジクリ氏はアラブニュースに語った。そのために同基地は、米国との外交関係で「重要なカード」となってきたが、しかしそれは一度限りしか使うことができないカードだと彼は続けた。

「このカードが使われてしまえば、米国とトルコの関係にひびが入るであろうことは容易に推測できます。これまでにも双方で様々な苛立ちを募らせてはきましたが、まだその地点にまで近づいているとは思いません」と彼は述べた。

2019年12月に米上院がアルメニア人大量虐殺を承認する決議を採択したとき、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、インジルリク空軍基地を閉鎖するとの脅しをかけた。今回のバイデン氏の声明とインジルリク空軍基地の将来とを関連づける政府高官からの同様の反応は、本稿の執筆時点では出ていない。

しかし、トルコ国営のアナドル通信社による4月28日の報道によると、トルコ国防省関係者らは次のように述べているという。「インジルリクは、トルコ軍に属するトルコ空軍基地のひとつだ。これはトルコの基地であり、その所有権は、そこに存在するすべての施設を含めてトルコ共和国に属す」

彼らはまた、トルコ共和国は「米政府に、インジルリクのトルコ軍施設における共同防衛措置に参加させてやっているのだ」とも述べている。

 

「今回の(国防省の)発言も、米トルコ関係はインジルリクに米国が存在できるかどうかに(密接に)関わる問題であるとの米国に対する警告であるととらえることも可能ですが、しかし現在の状況を考えれば、これは主に、国内の国粋主義的な有権者たち向けて、またおそらくは国粋主義や欧州アジア主義の軍関係者らにも向けて、政府はバイデンの声明に反応を示したと証明するために流した情報であると考えるのが妥当でしょう」とワルシャワに本拠を置くポーランド国際問題研究所のアナリストであるカロル・ワシレフスキ氏はアラブニュースに語った。

トルコは、経済がこれほど脆弱なときに米国とも対立している余裕はないため、エルドアン大統領は反応を控えていなければならないとワシレフスキ氏はいう。防衛省関係者らが、政府のメディア統制を利用して、バイデン氏の声明に対する当局の反応が実際よりも強硬であるように印象操作したのではないかと同氏は考えている。

「また防衛省関係者らは、欧州アジア主義者たちの間でとりわけ影響力を持つとされるドーウ・ペリンジェク氏に対しても、反応する必要があると感じていた可能性もあります。彼は、トルコ軍がインジルリクを全面的に支配すべきだと述べているのです」

ペリンジェク氏は超世俗主義の「祖国党」の指導者であり、イデオロギー的には、政府の最近の反欧米的な議論や政策を支持しているとされている。

一方、米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、4月28日のフォーリン・プレス・センターのオンラインイベントでトルコに対して、これ以上ロシアから武器を購入しないようにと警告し、そのような購入はさらなる制裁の引き金にもなると述べた。

ブリンケン氏は、ロシア製S-400ミサイル防衛システムの2度目の調達の話がロシアとトルコの間で進んでいることについて言及した。

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