
ロンドン:二重国籍を持つナザニン・ザガリ・ラトクリフさんが、イランで新たな有罪判決を受けて出国禁止となったことを受け、英国は日曜日、イランの拘束行為は「拷問」に値すると述べた。
「国際法に照らし合わせ、ナザニンさんは違法に拘束されていると私は考える。彼女は最も酷く不正な扱いを受けていると思う」とドミニク・ラーブ外相はBBCテレビに語った。
「彼女への処遇は拷問にも等しく、イランには彼女を釈放する明確かつ疑う余地のない義務がある」と外相は述べた。
英国とイランの二重国籍をもつ彼女は、2016年からイランで拘束されてきた。そして4月末に1年の禁固刑を言い渡され、さらなる12ヵ月の出国禁止を命じられた。
夫のリチャード・ラトクリフさんは、妻は外交的戦略の一環として人質とされているのだと主張している。
「その位置づけに異を唱えるのは非常に難しいと私は思う」とラーブ外相は述べた。
「彼女が、イランの者たちというか、明らかにイラン体制の一部が関与するつば迫り合いの犠牲になっているのは明確であり、イランは彼女を英国への切り札に使おうとしているのだ」
リチャード・ラトクリフ氏は妻の窮状を、40年以上前にイラン国王が支払った戦車に対する英国の負債と結びつけている。
1979年の革命で国王が失脚したとき、英国は、新生イラン・イスラム共和国への戦車の納入を拒否した。
英国は、イランに対して数億ポンドの借金があることは認めているが、返済能力については、米国の制裁からの束縛があるとされている。
負債の件について外相は「実際にはこれが現在の足かせになっているのではなく、もっと幅広い背景がある」とラーブ外相は述べ、イランとの間で現在進行中の核合意やイランの次期大統領選挙などの問題を指摘した。
ザハリ・ラトクリフさん(42歳)は先月、「体制に対する宣伝活動」をしたとする新たな罪状で裁判に出廷した。これは、彼女自身は強硬に否認する「体制転覆を図った」との罪による5年の刑期を終えた1週間後のことであった。
リチャード・ラトクリフさんは、新たな刑期が言い渡されるにしても、少なくとも彼女がその刑期をテヘランの両親の元、自宅軟禁という形で務めることができるよう家族は望んでいると述べた。しかし状況は「絶望的だ」と彼はその時AFP通信に語っている。
ザハリ・ラトクリフさんは当初、2016年にイランで休暇を過ごしていたときに逮捕された。当時、彼女は報道通信事業とデータの企業の慈善事業部門であるトムソン・ロイター財団のプロジェクトマネージャーを務めていた。
ここ数か月は自宅軟禁で、足首のタグも外されて移動の自由が与えられ、テヘラン市内の他の親類を訪れることもできていた。
3月に法的活動団体のリドレスが、「ナザニンさんが受けている虐待の過酷さを裏付ける」とする報告書を英国政府に提出した。
同団体は、「ナザニンさんに対するイランの処遇は、拷問に値すると考える」としている。
イラン当局は、ザハリ・ラトクリフさんは虐待を受けていないとして否定している。
AFP