
ドバイ:イラン国営テレビは2日、イランがスパイ容疑で拘束している米国人4人を解放するのと引き換えに、米国が拘束するイラン人4人を解放し、70億ドルのイランの資金の凍結を解除することで合意したと報じた。
しかし米国は、拘束者の交換が計画されていることを否定した。
イラン国営テレビは英国とイランの二重国籍の女性、ナザニン・ザガリ・ラトクリフさんについても、同国当局者の話として、英国が軍装備品に絡むイランへの債務を支払えば解放されると伝えた。
英外務省は報道を重要視しない立場を示した。
イランと世界の列強は、米国が3年前に破棄した2015年核合意を再建するために協議を行っている。
イラン高官らは先月、ロイター通信に対し、暫定取引は、米国の制裁で阻止されている、イランの資金の凍結の解除を含む永続的解決のための時間稼ぎの手段になり得ると語った。
「情報筋によると、バイデン政権は、米国人「スパイ」4人の釈放と引き換えに、米国の制裁を回避したとして収監されているイラン人4人を釈放することで合意した」とイラン国営テレビは2日、報じた。
「英国がイランへの4億ポンドの債務を支払えばナザニン・ザガリさんが解放されるという話もまとまった」
「その情報筋は、バイデン政権がイランに70億ドルを支払うことに合意したとも語った」とイラン国営テレビは伝えた。
ワシントンで、国務省のネッド・プライス報道官はロイター通信にこう語った。「拘束者の交換で合意したとの報道は事実ではない」
「これまで言ってきたように、我々は、米国人がイランで拘束されたり、行方不明になったりしている問題を常に取り上げている。彼らを家族と再会させられるまでやめない」
ロン・クライン米大統領首席補佐官もこの報道を否定した。「残念ながら、その報道は真実ではない。この4人の米国人を釈放するという合意はない」と、CBSテレビの番組「Face the Nation」に出演したクレイン氏は述べた。
イランと列強は、4月上旬からウィーンで会議を開き、米国の制裁やイランの2015年合意違反疑惑に触れつつ、イランと米国が再び核合意を完全順守するために取られるべき方策について協議している。
イランは、米国の経済制裁によって2018年以降、韓国やイラク、中国などに総額200億ドルの石油収入が凍結されていると主張している。
ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は2日、ABCテレビの番組「This Week」に出演し、ウィーンでイランと合意に至っていないと述べた。
「残った溝を埋めるにはまだかなりの距離がある」と同氏は述べた。「米国や他国が制裁のどの項目を縮小するかを巡って溝がある。イランに核兵器を持たせないために、イランが核計画についてどのような制限を受け入れるかを巡って溝がある」
ロイター通信