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医療関係者:イスラエルによる空爆で、ガザ市の中心街で26人死亡

消防士などがイスラエルの空爆を受けた住居ビルのがれきを調査。2021年5月16日日曜日、ガザ市。(AP通信)
消防士などがイスラエルの空爆を受けた住居ビルのがれきを調査。2021年5月16日日曜日、ガザ市。(AP通信)
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16 May 2021 11:05:29 GMT9
16 May 2021 11:05:29 GMT9
  • ガザ地区保健省は、10人の女性と8人の子供が死者に含まれていると述べた
  • 先ごろ、イスラエル軍は、ハーン・ユーニス市への別の攻撃で、ガザ地区のイスラム原理主義組織ハマスの最高指導者の自宅を破壊したと述べた。 

ガザ地区のガザ市:16日に、ガザ市へのイスラエルの空爆により、3棟の建物が倒壊し、少なくとも26人が死亡し、約1週間前イスラエルと同地区を支配する武装組織ハマスの間で激戦が勃発して以来、最も被害が大きい攻撃だと、医療関係者は述べた。

ガザ地区の保健省は、死者の内、10人は女性で8人は子供であり、他に50人が負傷したと述べた。救助隊員が生存者や遺体をがれきの中から引き出すため駆け付けた。

つい先ごろ、イスラエル軍は南部のハーン・ユーニス市への別の攻撃で、ガザ地区のイスラム組織ハマスの最高指導者の自宅を破壊したと述べた。この2日間にハマスの最高幹部らの自宅が攻撃されたが、これが3度目の攻撃となった。

各国の仲介者が停戦の仲立ちをしようとしているなかで、イスラエルはこの数日、ハマスにできる限り甚大な損害を与えようと攻撃を激化しているとみられる。しかし、ハマスの最高幹部が標的にされ、そういった努力の妨げになるかもしれない。米国の外交官が現地で緊張を段階的に緩和させようと努力しており、国連安全保障理事会の会合が16日に開かれる予定だ。

イスラエル軍は、ガザ地区のハマスの最高幹部のトップ、イエヒエ・シンワル氏と、その兄弟で幹部の1人、ムハンマド氏の自宅をそれぞれ攻撃したと述べた。15日にイスラエル軍は、ハマスの政治部門最高幹部、カリル・アル・ハイ氏の自宅を破壊した。

ハマスの上層部はガザの隠れ家に入っており、攻撃時に自宅にいた可能性は低い。ハマスの最高指導者、イスマエル・ハニヤ氏は、ハマスに政治的援助をしているトルコとカタールの間を行き来している。

ハマスとイスラム聖戦武装組織は、10日に戦闘が始まってから20人の兵士が殺害されたことを認めている。イスラエルは実際の人数はもっと多いと述べており、「除外されている」という、工作員と伝えられる20数人の名前や写真を公開した。

エジプトの外交官は、イスラエルがハマスの政治指導者らを標的にすることにより、停戦の調停が複雑になってしまうと述べている。匿名という条件で秘密裏の交渉について話をした同外交官は、エジプト政府が停戦の仲介をしようと努力していると述べた。米国の外交官も同地域へ急派され、国連安全保障理事会の会合が16日に開かれる予定。

エジプトの外交官は、ハマスのロケット弾の能力を破壊するには、地上侵攻が必要であり、そうなると「全地域が戦乱に巻き込まれる」ことになるだろうと述べた。 数十年前にイスラエルと和平を結んだエジプトは、あらゆる分野での協力を「中止する」と警告したと同高官は述べ、詳細は控えた。

このところ勃発している暴動は、そもそも今月の初頭に東エルサレムで始まり、入植者が多くのパレスチナ人家族に立ち退きを強制しようとしたことや、旧市街の丘の上にあり、イスラム教徒やユダヤ人にあがめらるが、同時にデリケートな存在であるアル・アクサモスクでのイスラエル警官の処置に対しパレスチナ人が抗議運動をした。

ハマスは10日深夜にエルサレムに向かってロケット弾を発射し、イスラエルによるガザ攻撃の引き金となった。

混乱は他の場所へも広がり、占領下のヨルダン川西岸地区で抗議活動が強まり、イスラエル国内でもユダヤ人とアラブ系市民の争いが激化し、衝突や人や所有物への自警団による攻撃が起こっている。

少なくとも174人のパレスチナ人がガザ地区で死亡し、その中に47人の子供、29人の女性が含まれ、1,200人以上が負傷した。5才の男の子と1人の兵士を含む、8人のイスラエル人が死亡した。

ハマスと他の武装組織はイスラエルへ約2,900発のロケット弾を発射した。イスラエル軍は、450発のロケット弾が目標に届かないか、不発かだったが、イスラエルの防空施設は1,150発を迎撃したと述べた。

90%が迎撃されていたという紛争の始まりの頃以来、迎撃率はかなり低下したとみられた。軍はコメントの要求にすぐには応じなかった。

その間もイスラエルは、200万人以上のパレスチナ人が住む貧しい、封鎖された区域中に何百もの空爆を敢行し、多数の高層ビルを倒壊させ、その中にはAP通信ガザ支局が入居するビルも含まれる。

16日の早朝のガザ市への攻撃の後、救援隊員ががれきの中から生存者を助け出すため駆け付けた。死亡者の1人は近くのシファ病院の医師、アイマン・アブ・アウフ氏だと、保健省は伝えた。

攻撃についてイスラエル軍から即座にコメントはなかった。

紛争が始まって以来、イスラエルはハマスの軍事基盤の場所となっているとして、ガザ市内の多数の高層のオフィスビルや住居ビルを倒壊させた。15日には、イスラエルは、AP通信の支局やTVネットワーク・アルジャジーラ、その他のメディア支局が入居し、数階のアパートを含む12階建てのアルジャラー・ビルに攻撃の矛先を向けた。

「必要な限り、この軍事作戦は続くだろう」と、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は15日にテレビ演説の中で述べた。彼はハマスの軍事諜報部がこのビル内で活動していると主張した。

イスラエルは空爆に際し、住居ビルなどを含め特定の場所を標的にする理由として、ハマスの存在を決まって引き合いに出す。また、イスラエル軍は武装組織がジャーナリストを人間の盾にしていると非難しているが、それを裏付ける証拠は提供していない。

AP通信は、イスラエルとハマス間のこれまでの3回の戦争を含め、15年間このビルで活動してきた。

現在の紛争と同様に、当時の紛争の間も、同通信社の最上階の事務所や屋上のカメラは、武装組織のロケット弾がアーチを描いてイスラエルへと発射され、イスラエルの空爆で市内や周辺が激しく攻撃されるのを24時間生中継していた。

「ハマスがビル内にいるとか、ビル内で活動しているような様子はなかった」と、AP通信の社長兼CEO(最高経営責任者)のゲイリー・プルイット氏は声明で述べた。「そういうことは、できるだけ精力的にチェックしている。故意にジャーナリストを危険な目に合わせるようなことは決してしない」

イスラエル軍はその日の午後、ビルのオーナーに連絡し、1時間以内に攻撃をすると警告した。AP通信のスタッフや他の入居者は安全に避難した。その後間もなく、3発のミサイルがビルを直撃して破壊し、巨大な砂煙を上げてビルは崩れ去った。

「今日起こったことで、世界は今ガザで何が起こっているかあまり分からなくなるだろう」と、プルイット氏は述べた。「イスラエル軍はガザ地区のAP通信支局や他の通信社が入っているビルを狙って破壊するのだとショックを受けている」

AP通信はイスラエル政府に情報を求め、詳細を知るために米国国務省とやりとりをしていると、彼は述べた。

アントニー・ブリンケン国務長官は、その後プルイット氏と電話で話し、独立系のジャーナリストや通信社への支援を提言し、ホワイトハウスはイスラエルと直接対話し、ジャーナリストの安全を促したと述べた。

バイデン政権はイスラエルへの支援を確認する一方で、危機的状況の段階的な緩和に取り組んでいる。停戦を仲裁する取り組みの一環として、米国の外交官、ハディ・アムル氏が現地に派遣された。

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