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イスラエルとハマスの停戦後、早速エルサレムでは小競り合いが発生

ハマスとイスラエルの11日間の紛争の後、停戦が発行したにも関わらず、エルサレムのアル・アクサモスク内にある岩のドームの前で、イスラエル警察が投擲した閃光発音筒から逃げるパレスチナ人たち(AP)
ハマスとイスラエルの11日間の紛争の後、停戦が発行したにも関わらず、エルサレムのアル・アクサモスク内にある岩のドームの前で、イスラエル警察が投擲した閃光発音筒から逃げるパレスチナ人たち(AP)
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23 May 2021 02:05:14 GMT9
23 May 2021 02:05:14 GMT9
  • エジプトの仲介により、ロケット弾と空爆の応酬は取り敢えず停止、バイデン米大統領は援助を約束、国連は対話を要請
  • エルサレムのアル・アクサモスク周辺では、早くも小競り合いが発生

ガザ市:ここ数年で最大の紛争に発展後、イスラエルとハマスの休戦協定が金曜日に発効したが、エルサレムのアル・アクサモスク周辺では、ガザ紛争の発端となったのと同じような小競り合いが起きている。

イスラエルによるガザへの砲撃と、ハマスによるイスラエルの町へのロケット弾攻撃は11日間続いたが、双方と安定を取り戻す方法について交渉してきたエジプトの仲介努力により停戦合意で収束を迎えた。

ガザでの暴動は、イスラエル警察が東エルサレムのアル・アクサモスクを急襲し、イスラム教の聖月であるラマダン中のパレスチナ人と衝突したことなどが遠因となっているが、当時金曜日の礼拝には数千人が集まり、ガザ地区を支援するデモに参加する人も多く残っていた。

ロイター通信の目撃者によると、イスラエルの警察はパレスチナ人に向けて閃光発音筒を発射し、パレスチナ人は警官に石やガソリン爆弾を投げつけていた。パレスチナの医療関係者によると、約20人のパレスチナ人が負傷している。

対立は1時間ほどで収まり、イスラエル警察は敷地内の門の前に退却している。

ガザでは、人口密度の高いパレスチナの飛び地の瓦礫の中からさらに5人の遺体が見つかり、死者は243人(うち子供66人)、負傷者は1,900人以上となった。

イスラエル軍の発表によると、兵士1名と民間人12名が死亡し、数百人が負傷して治療を受けている。負傷者の多くはロケット弾の一斉射撃によりパニックを起こし、テルアビブのような遠方のシェルターに人々が殺到したことによる。

イスラエル軍の砲撃を恐れて身を縮めていたパレスチナ人は、ガザの街に押し寄せ、爆撃された建物の前で互いに抱き合って無事を祝った。モスクの拡声器は「レジスタンスの勝利」を讃えた。車はパレスチナの旗を掲げ、クラクションを鳴らしながら走り回っていた。

午前2時(グリニッチ標準時間で木曜日の23時)の停戦に向けて、パレスチナ人によるロケット弾の発射が続き、イスラエルも少なくとも1度空爆を行っている。

イスラエル側もハマス側も、如何なる停戦違反には即時に報復すると述べていることもあり、エジプトは停戦を監視するために2名の代表団を派遣すると発表した。

最前線にいる両サイドの民間人は、停戦の継続に懐疑的な見方を崩さない。

「私は停戦に賛成しません。停戦とは何ですか?何を意味するのでしょうか?」と、ガザ地区北部のベイトハヌーン近くの建物の瓦礫のそばに座る11人の子どもの母親、サミラ・アブダラ・ナシールさんは述べた。

「家に戻ると、座る場所もなく、水も電気もなく、マットレスも無く、とにかく何も無いのです」と、彼女は訴える。

ガザの北に位置するイスラエルの港湾都市アシュドッドのカフェで、学生のダン・キリさん(25歳)は、イスラエルはハマスが崩壊するまで攻撃を続けるべきだと語った。

「私たちがここに座って、平和にコーヒーを飲み、クロワッサンを食べられるのは、ガザで次の攻撃作戦が行われるまで、時間の問題だろう」とも語っている。

今回の騒動は5月10日に勃発したが、その引き金となったのはパレスチナの人々の怒りである。ラマダンの断食期間中、アル・アクサモスクに集まった抗議者と警察が衝突するなど、そもそもエルサレムでの自分たちの権利をイスラエルが制限したことに対するパレスチナの人々の我慢が限度を超えた。

イスラエルのネタニヤフ首相は、今回の作戦により、ガザを支配するイスラム教組織ハマスがイスラエルに向けてミサイルを発射する能力に打撃を与えたと述べた。

ネタニヤフ首相は、イスラエル軍がガザにあるハマスの広範なトンネル網、ロケット工場、兵器研究所、貯蔵施設を攻撃して破壊し、幹部25人を含む200人以上の武装勢力を殺害したと述べた。

「ハマスはもう隠れることができない。これはイスラエルにとって大きな成果だ」ともテレビ演説で語った。

「我々はハマスとイスラムジハドの司令部の重要な施設などを排除した。そして、殺されなかった者も、今日、我々の影響力は地上でも地下でも、どこにでも届くことを思い知ったであろう」

しかし、ハマスはこの戦いを、軍事的にも経済的にも、強い敵に対する抵抗として成功させたと考えている。

ハマスの政治局幹部であるエザト・エル・レシク氏は、「戦いが今日で終わるのは事実だが、ネタニヤフ首相や全世界の人々は、我々はいつでもまた引き金を引く事ができ、抵抗勢力の能力を高めていけることを知るべきだ」と語った。

エル・レシク氏はドーハでロイター通信に対し、ハマスとしては、アル・アクサの保護や、パレスチナの人々の東エルサレムの家からの立ち退きの阻止などを要求していると述べた。

立ち退きを迫られていた人々の中の1人、サレハ・ディアブさんは、安堵の表情を浮かべながらも警戒心を強めていた。「今日のところは自由の朝、勝利の朝を迎える事ができた」と語り、家に残ることを望んでいるが、イスラエルが次に何をするかわからないとの恐れも示した。

世界的に警戒感が高まる中、ジョー・バイデン米大統領はネタニヤフ首相に沈静化を求め、エジプト、カタール、国連は仲裁に乗り出した。

今回の停戦は、カイロがテルアビブとパレスチナ自治区の双方に安全保障代表団を派遣し、安定性を維持するための方策に合意させるという、2方面同時の交渉努力が実を結んだようである。

イスラエル軍の空爆が何日も続いたせいで、ガザ当局の発表によると、16,800棟の住宅が被害を受け、住民の電力供給は戦闘前の12時間に比べて3、4時間に制限されてしまった。

パレスチナ自治政府は、ガザの復興にかかる費用を数千万ドルと見積る一方で、経済学者は、この戦闘がイスラエルのCOVID-19パンデミックからの経済回復を妨げ、遅らせる可能性があると指摘している。

バイデン米大統領は木曜日、ガザへの援助は迅速に行われるだろうと述べた。援助は、ハマスのライバルであるマフムード・アッバース大統領が率いるパレスチナ自治政府(西側諸国の支援を受け、イスラエルに占領されたヨルダン川西岸に拠点を置く)との間で調整され、「ハマスが単に軍事兵器を補充することを許さない方法で」行われる。

ハマスは、欧米およびイスラエルからテロリスト集団とみなされており、イスラエルはハマスを承認していない。

ロイター通信

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