
ドバイ:首都サナアを含むイエメン北部の大半を支配している武装組織のフーシ派が、新型コロナワクチンを供給しようとする国際的な活動を阻止している、と人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が1日に公表した。
ニューヨークを拠点とするHRWは、フーシ派が新型コロナの危険性や蔓延状態に関する情報を支配地域で抑制しているとして非難している。
「新型コロナの本当の感染数を公開しないというフーシ派の意図的な決定と反ワクチンの姿勢によって、イエメン人の生命が脅かされています」。HRWのマイケル・ペイジ中東副局長はそう述べている。
「新型コロナ感染症が存在しないかのように振る舞っても影響が軽減されるわけではなく、大量の感染者が出るだけです」
「イエメンで医療体制が弱体化していることを考えると、フーシ派は少なくとも情報は公開すべきです。そうすれば、支配地域の住民がパンデミックの規模を理解することができますし、現地のニーズに沿った国際的な接種計画も促進されるでしょう」
イエメンには3月31日に36万回分のアストラゼネカ製ワクチンが到着した。貧困国のための「COVAX」計画を通じて今年配付される190万回分の第1弾である。
しかしながら、フーシ派が世界保健機関(WHO)やイエメン政府に協力していないため、国の北部にはワクチンがまったく届いていない。HRWは「状況を直接知る」医療関係者の話としてそう伝えている。
その結果、政府が力が及ぶ南部でしかワクチンの接種が実施されていない。
HRWは、新型コロナ感染症が「陰謀」だとするフーシ派幹部の言葉を紹介している。
「新型コロナのパンデミックの第一の責任はアメリカにある」。昨年テレビで放送された演説において、フーシ派指導者のアブドゥルマリク・アル・フーシはそう述べた。
2015年3月、イエメン政府は崩壊の危機に陥ったが、アラブ連合国が政府を支援すべく介入に乗り出した。それ以来、フーシ派は連合国との戦いを繰り広げている。
紛争の中で数万人が亡くなり、国連が「世界最悪の人道危機」と呼ぶ事態が生み出されている。
AFP