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反ネタニヤフ野党勢力、迅速な信任投票を要求 12年のネタニヤフ支配の終結へ向け

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03 Jun 2021 04:06:53 GMT9
03 Jun 2021 04:06:53 GMT9
  • ネタニヤフ首相に近い現国会議長は採決を引き延ばす可能性がある
  • ラピド氏とベネット氏は、連立協定に基づき首相ポストを輪番制で分け合うことになる

テルアビブ:反ベンヤミン・ネタニヤフ首相の野党勢力は6月3日、長期に渡る首相の支配を正式に終結するために迅速な採決を求めた。これにより、新たな連立政権樹立を妨げようとする首相の土壇場の試みを阻止することを狙う。

野党党首のヤイル・ラピド氏と主要な連立パートナーであるナフタリ・ベネット氏は、新政府を樹立し、120人の議員からなる議会、クネセットの過半数を集める合意に達したと宣言したが、そのわずか数時間後に、この新たな政治的動きが始まった。

この連立政権はあらゆる政治色を持つ8つの党が参加するが、12年という歴代最長期間にわたって首相を務めたネタニヤフ首相を退陣に追い込むという共通の目的を持っている。この政権には、以前はネタニヤフ政権にいた強硬派、中道左派政党、さらにはアラブ系政党も参加する。これはイスラエルの政治には未だかつてなかった連立政権である。

ネタニヤフ首相は6月3日、野党勢力に激しい非難を浴びせ、ラピド・ベネット連立政権に参加を表明した、かつては味方であった極右政党に引続き圧力をかけることを示唆した。「右派からの投票で選ばれたクネセットの議員は全員、この危険な左翼政権に反対しなければならない」と首相がツイートした。

「反ネタニヤフ」野党勢力は、6月2日深夜締め切りの直前に連立協定を発表した。この合意を受けて、新政府樹立へ向けた複雑な手続きが始まったが、それが終了するには来週までかかる見通しだ。

連立政権は議会で61票の過半数を持っているが、その差はごくわずかである。今はこのグループが、新しい国会議長を選出するために必要な票を保持できるかどうかが問題となっている。この国会議長が、クネセットで新政権を承認する採決を主宰することになっている。

現国会議長はネタニヤフ首相に近く、採決を引き延ばして、首相が連立政権樹立の妨害をするための時間稼ぎをする可能性がある。

ここ数日、ラピド・ベネット連立政権の協議が進むにつれて、ネタニヤフ首相と支持者は、かつてのタカ派の同志であるベネット氏や、氏のヤミナ党ナンバー2のアイェレット・シャケド氏に対する圧力運動を活発化させてきた。

首相は二人を右翼的価値観に対する裏切り者と非難した。首相の支持者は悪質なソーシャルメディアキャンペーンを開始し、シャケド氏の自宅の周りで騒々しい抗議活動を行った。また、首相の率いるリクード党も6月3日夜、ヤミナ党議員のニル・オーバック氏自宅の外で抗議活動を行う宣伝をし、氏に連立政権から脱退することを求めた。

これは右派の議員がこれから受ける圧力のほんの始まりに過ぎない。また、左派の議員も、この連立に参加した結果、次の選挙で払わなければならない犠牲について考え始めるような状況である。

「これからは、特に右派の議員に、中でもユダヤ教極右の議員に大きな圧力がかかるでしょう」と、ヘブライ大学の政治学教授であるギデオン・ラハット氏が語った。「ユダヤ教会へ行けば、信者が圧力をかけます。彼らにとっては悪夢のような状況です」

ネタニヤフ首相と支持者は、6月3日遅くに次の作戦を練るための会合を予定している。

ラピド氏とベネット氏は、連立協定に基づき首相ポストを輪番制で分け合うことになる。ネタニヤフ首相の政権に参加していたベネット氏が最初の2年間首相を務め、ラピド氏は後半の2年間首相になる。ただし、この不安定な連立がそれまで続いているかどうかは定かでない。

この歴史的合意には、イスラム教徒の小党、アラブ統一リスト(UAL)も含まれるが、アラブ人の党がイスラエルの連立政権に参加するのは初めてのことである。

ネタニヤフ首相は汚職疑惑で起訴されており、政権に留まることに必死である。新しい連立政権を阻止するために、首相はこの先あらゆることをする覚悟であると思われる。それに失敗すれが、首相は下野することになる。

この合意は、先月ガザ地区でイスラム原理主義組織ハマスと11日間の戦争を戦ったばかりのイスラエルにとっては、混乱している時期にもたらされた。この間、全国各地でアラブ系とユダヤ人市民の間の暴力行為が相次いだ。またこの国は、深刻な経済的損害と、世俗的な多数派と超正統派の少数派との緊張関係があらわになったコロナ危機からようやく立ち直り始めたばかりでもある。

AP通信

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