
アラブニュース
ジェッダ:トルコの主要野党である共和人民党(CHP)は、民兵組織業者がシリアの武装勢力の訓練を行っていたとする疑惑を受け、議会審問を求めている。
逃亡中の犯罪組織のボス、セダット・ペッカー氏は、政府やレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と密接な関係のあるSADATが、アル=ヌスラ戦線の戦闘員を訓練し、ペッカー氏の支援輸送隊をシリア・トルクメンに向かわせ同組織の武装化を行っていたと主張した。
SADAT国際防衛コンサルタントは2012年に、エルドラン大統領の元総括軍事顧問で現在は引退しているアドナン・タンリヴェルディ氏が設立した。
同組織に定められたミッションは、「イスラム諸国の防衛協力と防衛産業の連携を行い、イスラム諸国の軍隊・国際警備隊による戦略的コンサルタントおよび防衛・警備訓練、補給体制を通じて、イスラム世界を救済する」ことである。
様々な通常および核軍事戦略、武装車両ハンティング、精密射撃、迫撃砲前進偵察などの講座を提供している。
CHPのイスタンブール副代表で元大使のウナル・セヴィコズ氏は、SADATに対する議会審問を請求した。
同氏は、SADATは国連安全保障理事会の規則を破り、戦争で疲弊している国、特にシリアやリビアにおいて、市民に対する軍事訓練、代替軍の設立、傭兵の派遣、そして違法な武器の供給などの活動を行っていると繰り返し訴えていた。
「このような犯罪は我が国の国際的な評価を深刻なほど傷つけ、トルコに対する疑念へとつながる。」と氏は語った。「SADATへの疑惑の数々はトルコ軍が活動中の国々にも関係し、トルコだけでなくトルコ軍の評価にもリスクを生じさせることになる。このような地域におけるトルコ軍のプレゼンスの合法性に対して人々が疑いを持つことにもなるだろう。」
SADATの従業員は、様々な専門を持つ50~200人の退役将兵で、その多くはイスラムへの忠誠から除隊した者たちである。
CHPは、SADATに対する申し立ては軍事および安全保障の分野からの見地からだけではなく、軍事協定を結んでいる国とトルコとの関係に対して起こりうる影響という観点からも検討されるべきだとしている。
SADAT疑惑は、さまざまな武装組織に対して統制が効いているのか、小組織がそれぞれに半公式な方法あるいは非公式な方法で民兵組織を立ち上げ始めたりしないのか、と言った議論の口火を切っている。
タンリヴェルディ氏は、2016年から2018年にかけてエルドラン大統領の主任顧問を務め、2018年のシリアにおけるアフリン作戦の前の重大なサミットにトルコ国家情機構のハカン・フィダン長官と共に出席している。また、同氏は大統領の政策選択に影響力のある人物としても知られている。
「これまでのSADATに関する議会審問は全て未回答となっている」とセヴィコズ氏は言う。「こうなった今、同社の海外での活動に対する調査委員会を立ち上げることは我々全員の義務である」。
これまでの所、野党からの問題の業者に関する議会審問には、政府も防衛大臣も応じていない。また、SADATに関する疑惑についての捜査も何年も着手されていない。
CHPは、SADATの情報が公になり、同社がシリア、リビア、ソマリアなどの国で軍事訓練を行っていたのか、国連安全保障理事会の規則に背き不正な武器を供給していたのかなど、国際的な軍事活動全般について調査がなされる事を望んでいる。
2018年、トルコの野党議員メラル・アクスナー氏は、SADATがコンヤ県とトカト県に軍事訓練施設を設置したと申し立てた。しかし、こういった活動に対する調査の立ち上げを求める同氏の請求は黙殺された。
SADATは、そのメンバーが2016年の民衆運動のクーデター失敗に貢献したとされ、多くの人々が「影の部隊」と呼んで国内の話題となった。
ペッカー氏は1990年代から悪名高いマフィアの人物で、犯罪捜査の手から逃れるため、昨年、国外へ逃亡している。
同氏は、エルドラン大統領の与党公正発展党(AKP)に対し、汚職、不正管理、組織犯罪への関与について告発している。
氏は、2015年にシリア・トルクメンへ武器を送る手配をおこない、AKPの議員と計画を共有し、輸送トラックを走らせる許可を得たと主張した。
また、グループがシリアのトルクメン少数民族と交戦していたことから、アル=ヌスラ戦線への支援に反対していたとも主張した。SADAT内のグループにより輸送トラックは行き先を変えられ、代わりにアル=ヌスラ戦線の戦闘員に送られたと話した。
「奴らは、私の名前を使ってトルクメン向けの支援物資輸送トラックをアル=ヌスラ戦線へ向かわせたが、私はやっていない。SADATがやったんだ。トルクメンの友人が私にそのことを知らせてくれたんだ。」とペッカー氏は動画の中で話した。