
パリ:フランスは関係各国を招いて6月17日にオンライン会議を招集し、レバノン軍への支援を求めるとみられる。
フランス軍事省は8日、レバノン軍の崩壊を招きかねない経済的苦境への対応策を模索していく考えを明らかにした。
旧宗主国として支援の取り組みを主導してきたフランスは、国際社会からの財政支援を呼び込むために新政府を樹立し改革を断行する試みが失敗したことを受け、党派争いを続けるレバノンの政治家達への圧力を強めてきた。
通貨危機により給与価値が大暴落したことで、レバノン軍兵士は不満を募らせている。
先月、レバノン軍のジョゼフ・アウン司令官がパリを訪れ、事態が一層危機的状況に陥っていることを訴えたのに対し、フランス政府は兵士達のために食料や医薬品を提供した。兵士の給与価値は五分の一から六分の一にまで下落し、多くが副業せざるを得ない状況となっている。
外交筋2人が明らかにしたところによると、会議では各国に援助のための食料、医薬品、軍用品の予備部品の提供を要請する予定だが、武器など戦闘用機器の提供は想定していない。
「今回の会議はレバノン軍(LAF)の窮状を訴えることを目的としている。レバノン軍兵士は生活水準の悪化を受け、もはやその使命を全うすることができない。レバノンの安定にLAFは欠かせない」とフランス軍事省は指摘し、そのうえで、会議は国連およびイタリアと共催することを明らかにした。
今回の会議の目的はLAFへの援助を募ることだと強調している。
会議には湾岸アラブ諸国、米国、ロシア、中国、ヨーロッパ諸国など、レバノンのための国際支援グループ各国が招かれている。
深刻な財政危機の中、 レバノン・ポンドは2019年後半以来、90%下落し、レバノンは1975~1990年の内戦以来の不安定な状況にある。
レバノン軍は長い間、国家の誇りと団結を示す数少ない機関とみなされてきた。内戦が始まり、軍が崩壊して宗派ごとに分裂した結果、民兵の支配へとつながった。
ロイター