
ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノン第2の都市トリポリでは水曜日、治安と社会情勢が悪化し、人口の半分以上が貧困の中で暮らし、市内は電気が通じないままとなっている。
さらに悪いことに、酸素吸入器を付けていた子どもが、深刻なディーゼル不足により発電機が停止したため機械が動かなくなり、死亡した。
「人々は怒っている。彼らは街頭に出て、中には武器を持った人もいて、力ずくで店を閉め始めた」と、これを目撃した人はアラブニュースに語った。
トリポリのリヤド・ヤマク市長は、テレビで、「市内の状況は手が付けられなくなっている」と語った。
レバノン軍が街頭をパトロールしていたが、兵士に向かって石や椅子が投げつけられ、兵士たちは銃を空に向けて発砲して対応した。
部分的に平穏が戻った後、抗議者はトリポリのアルバサス地区にあるカディシャ電力会社に移動した。
彼らは建物を襲撃し、従業員に一部の地域への電力供給を強要した。
トリポリ出身で、同地で医師を開業している未来運動の副党首、ムスタファ・アロウシュ氏は次のように語った。「予想されていたことがトリポリから始まり、社会的爆発がこの都市から始まりました。崩壊を食い止めるために直ちに誰かが介入しなければ、さらに多くのことが起きるでしょう。」
軍がトリポリの支配を取り戻す中、レバノンの国民議会がベイルートのユネスコ宮殿で開催された。この地区は厳重に警備されていた。これに人々は激怒し、ソーシャルメディア上で、崩壊を惹き起こしたと非難しレバノンの議員や当局を侮辱した。
停電のためエアコンが作動せず、汗だくになっていた議員らは、決定ができる政府が存在しない中で、物議を醸している配給カードを承認した。これに対し、レバノン軍団など野党の議員は、異議を唱えるため議場を後にした。
このカードは、貧窮者を対象にしているが、その数は確定していない。ただし、世界銀行がレバノン国民の50%以上が貧困状態にあると推定していることを考慮すると、その数は最大70万人にまで達する可能性がある。
会期中、自由愛国運動(FPM)のゲブラン・バシル党首は、「治安当局、国会議員、政治家が国境を越えた密輸ネットワークや作戦に関与している 」と非難した。
開発・解放連合に属するミシェル・ムーサ議員は、配給カードは「一部の援助と、まだ使用されていない既存の融資から資金を調達することになるでしょう。私たちは、銀行で凍結されている預金者の資金からの資金調達はしないことを切望します」と発言した。
レバノン病院連合は、声明で、「多くの病院は在庫のディーゼルを使用していますが、それ以外の病院には今後24時間をカバーするのに十分な量がありません」と伝えた。
ベイルートでは、ダル・アルファトワ近くのガソリンスタンドの前でナイフを使った暴力的な争いが起こり、軍が介入してこれを止めている。
西ベカーのアル・キアラの町ではディーゼルタンクが爆発し、30代の男性が死亡した。
その他にも、レバノンの銀行従業員シンジケート連盟は、多くの人が凍結された預金にアクセスできないことに抗議して、木曜日から銀行の支店を襲撃するようソーシャルメディアで呼びかけたことに懸念を表明している。
同連盟は、その結果として、いずれかの銀行が攻撃を受けた場合、銀行を閉鎖すると脅している。
タクシーの運転手らは、補助金の一部撤廃に伴う燃料価格の上昇のため、一部の運転手が、運賃を4,000レバノン・ポンドではなく8,000レバノン・ポンド(0.45ドル)に引き上げるなど、シンジケートの決定に従うことを拒否している。
一方、バシル氏はツイッターで、次期首相に指名されたサアド・ハリーリ氏に対する挑発キャンペーンを再開し、同氏が「政府を樹立したいのか、身を引くのかを決める 」ことを要求した。