


ジェッダ:10年に及ぶ内戦と欧米の制裁がもたらした現金危機に直面しているアサド体制のシリアでは、7月11日にパンの価格は2倍に、ディーゼル染料の価格はほぼ3倍になった。
近年、シリア政府は財政危機への対処として燃料価格の引き上げを繰り返してきた。この最新の燃料高騰は先週実施されたガソリン価格の25パーセント上昇に続くものだ。
痛手を和らげるためにバッシャール・アサド大統領は、公共部門の職員の給与を50パーセント引き上げ、最低賃金を月47,000シリアポンド(公式レートで18ドル)から月71,515ポンド(28ドル)に引き上げる命令を発した。
アサド大統領は公共部門と軍の年金も40パーセント引き上げた。
そのための資金をどうやってまかなうのかは不明だ。ダマスカスのあるエコノミストは、危機が深まるにつれて政府は価格引き上げを継続するだろうと語った。
「国庫にお金が入ってこないかぎり、価格上昇は続く」という。
今やシリア国民はディーゼル燃料1リットルに500ポンド支払うことになる。従来はほとんどのセクターの国民にとって価格は180ポンドだった。
国営シリア石油製品貯蔵・流通会社のムスタファ・ハスウィヤ氏によると、シリアが必要とする炭化水素の8割は外貨で海外から購入するという。
「輸入代金を減らすには価格引き上げが必要だった」とムスタファ氏は述べた。
補助金が投じられているパンの価格は200シリアポンドと2倍になった。国営シリア・ベーカリー・ファウンデーションは、値上げはディーゼル燃料価格の高騰が影響したとしている。
「こうした事態はすべて予想されていた。私たちが今恐れているのは、さらなる価格上昇が食料や医薬品で起こることだ」と、ダマスカス在住のワエル・ハムード氏(41)はいう。
体制を支持する日刊紙アルワタンは7月11日付で、このディーゼル燃料の引き上げにより「県内や県をまたぐ輸送コスト増」は26パーセント以上に上るとしている。
農業部門と産業部門でも生産コストが増大し、住宅の暖房費は178パーセント増加するとも記されている。
10年に及ぶ戦争、欧米の制裁、汚職の蔓延、そして直近では隣国レバノンの深刻な経済・金融危機により、シリア経済は大打撃を受けている。前回の昇給の発表は2019年11月だった。
公式レートでは1米ドルは2,500ポンドだが、ブラックマーケットでは約3,200ポンドで取引されている。
国連によると、シリア国民のほぼ8割が貧困にあえぎ6割が食料不足に陥っており、シリアの食料安全保障は史上最悪の状況だ。
AP