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フランクリースピーキング:カルロス・ゴーン氏、「公正かつ中立的な裁判地」を要求

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19 Jul 2021 12:07:55 GMT9
19 Jul 2021 12:07:55 GMT9

フランク・ケイン 

ドバイ:逃亡中の自動車産業界の大物であるカルロス・ゴーン氏は、日本よりも中立的な国で裁判を受けたいとアラブ・ニュースに語った。

1年半前に東京から脱出したゴーン氏は、「決着は裁判でつけるべきだと思いますが、裁判内容に関係のない国で行われる裁判でなければなりません。私が要求するのは、裁判地が公正かつ中立的で、政治的な動機がないこと、それだけです」と語った。

日本の日産とフランスのルノーの元社長であるゴーン氏は、多岐にわたるインタビューの中で、フランス政府が日本に「降伏」た後に彼は「見捨てられた」こと、国際的な法執行から逃れるべく現在滞在中のレバノンが悲惨な経済的・政治的危機から抜け出すためのアドバイス、サウジアラビアの改革戦略「ビジョン2030」についての見解などについて語った。

一流の政策立案者やビジネスパーソンにビデオインタビューを行う「Frankly Speaking」シリーズの対談において、ゴーン氏は中東における日産とトヨタの激しいライバル関係についても見方を披露した。

ゴーン氏が最も痛烈に批判したのは、彼が会長を務めていた日産自動車での財務不正容疑で逮捕・収監された後の、日本の司法制度についてであった。

「検察が99.4%の確率で勝訴するという、率直に言って聞いたこともない制度です。日本に18年間住んでいても、こんな数値だとは思いもよりませんでした」。

「しかし、実際にこの制度を経験し、自白誘導や圧力、人権侵害など、どんな脅迫が行われているかを目の当たりにすると、99.4%の自白しか得られないことに驚きさえ覚えます。残りの0.6%の人たちは、検察が数々の論拠や物証を突きつけてくる中でどうやって抵抗できたのか、不思議にすら思います」。

「日本の司法制度は、国連から『人質司法』というレッテルを貼られています」と彼は語り、「日本が『人質司法』を改革したその日に、私はやっと日本に行けるようになるでしょう」と付け加えた。

彼は、自身の元弁護士グレッグ・ケリー氏を含め、日本で裁判を受けている人々に「申し訳ない気持ちです」と述べた。「私は幸運にも、この制度により何年も先の見えないなか拘束される前に脱出できましたが、グレッグ・ケリー氏には申し訳ない気持ちです」。

日本の検察当局は、給与の水増しを含むさまざまな金融犯罪でゴーン氏を起訴したが、ゴーン氏は、自分の報酬は何度も日産の取締役会で合意したものだと述べる。「特に、配当金が支払われ、会社は成長し、利益を上げていましたので、彼らは満足していたのだと思っていました」。

ゴーン氏はフランス国籍のほか、レバノンとブラジルの国籍を持っているが、エマニュエル・マクロン仏大統領は日産・ルノー連合の将来について東京と宥和すべく行動しているように見える。

「支援を受けるどころか、日仏間で明らかな対立が2~3週間続いた後、私は単に見捨てらました」と彼は語った。

「しかしその後、フランスは降伏して、『ご存知の通り、我々は日仏間の良好な関係を維持し、日産とルノーの良好な関係を維持したいと望んでおり、日本の司法がカルロス・ゴーン氏と本問題を解決するものと信じている』と明言しました」。

ゴーン氏は2019年12月から妻のキャロル氏と共にレバノンに居住しており、日本政府の要請によりインターポールから「指名手配」を受けている。レバノンは自国市民の身柄の引き渡しを行わない。

「レバノンは、日本に告発内容と罪状を転送するよう求め、それを調査して最終的にレバノンで私を裁けるようにすることを求めました。しかし、日本は拒否しました」。

ゴーン氏は、次期大統領出馬を検討するなど、レバノンの政治に直接関与する可能性は「ゼロ」だが、「金融破綻、経済不況、その社会的影響により同国が陥った悲惨な状況」を認識しているとも述べた。

ゴーン氏は、「周囲の人々が味わっている苦しみを和らげたいとする人への支援や援助、指導、助言はするだろう」と語った。

「多くの企業を立て直してきた経験から、会社や国を立て直さなければならない時には、どんな解決策があっても5%が戦略で、95%は実行だと思います」と彼は述べた。「つまり、国を救うのは権力の座にあり、レバノン人が権力をゆだねた人たちということです。率直に言って、脱出するための方法や戦略は非常にシンプルで、多くの国や企業で既に試されてきたものだからです」。

ゴーン氏は、サウジアラビアの改革戦略「ビジョン2030」についても見解を述べた。「数種類の資源に過度に依存していた国を、さまざまな収入源や所得源、雇用を生む多様な活動がある国へと変革するのは、非常に理に適っていると思います」。

ゴーン氏は、サウジアラビアの政策立案者にとっての真の課題は、戦略の実行にあると忠告した。「この戦略が成功するかどうかは、どれだけ規律正しく実行するか、実行責任者がどれだけ実行に集中できるか、サウジアラビアの実情を変革するために最大限の人材を集めることに彼らがどれだけ真剣になれるか、にかかっています」。

「サウジアラビアはとても豊かな国です。多くの資源から恩恵を受けていますが、同国指導者たちは、それが永遠に続くわけではないと知っていると思います。ですから、彼らは正しいことを行っていると私は思いますし、戦略が成功するよう願っています」。

自動車産業の世界的専門家としての視点から、日産の事業と、サウジアラビアで圧倒的なシェアを誇るトヨタの事業の違いは、トヨタがアブドゥル・ラティフ・ジャミールグループと提携して同国内に構築した流通ネットワークの強さにあると語った。

「トヨタは、おそらく世界で最も優れた販売業者の1つをサウジアラビアに配置しています。ですから、もし日産がこの水準に近い人材を配置できないのなら、非常に難しい戦いを強いられるでしょう」。

また、自分が世界の自動車業界で展開していた日産・ルノー・三菱の連合は、崩壊する運命にあると考えていたとも述べた。

「正直に言って、今日私が目にしている限り、この連合はゾンビのようなものに見えます。まだ生きているようで、内部の実態は何もありません。だから、この連合の将来についてはあまり楽観的ではありません。私が間違っているよう望みますが、今後5年以内に、この連合そのものが完全に崩壊してしまうと考えています」。

ゴーン氏は、大きな楽器箱に入ってプライベートジェット機により日本から劇的な脱出を果たした様子を描写し、そこに至るまでの経緯を分析したサウジアラビアのメディア企業MBCによる長編ドキュメンタリー「The Last Flight」の制作に協力し、これは先週公開された。

彼は、「MBCには明確な制作動機があったと思います。このようなものを制作するために協力してほしいと最初に言ってきたのは同社でしたし、非常に率直で正直な態度でした」と語った。

ゴーン氏は、かつての雇用主日産に対する法的措置に加え、更なる広報活動を計画している。

「私は、法的な観点からの行動だけでなく、自分の名誉を回復させるために何かしたいと考えています。しかし、以前のような目立つ生活に戻るつもりはありません」。

ツイッター:@frankkanedubai

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