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イラクで「テロ集団を抑止するには、もっと欧米の軍事支援が必要」

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26 Jul 2021 01:07:05 GMT9
26 Jul 2021 01:07:05 GMT9

フランク・ケイン

ドバイ:イラク・クルディスタン地域におけるテロ活動の再活性化を回避するには、米国をはじめとする欧米諸国連合は同地域の地上軍を増強すべきであると、ダーイシュやイランが支援する民兵と戦う主要戦闘員の1人がアラブニュースに語った。

イラク北部のクルド人武装組織ペシュメルガの主要部隊を指揮するシルワン・バルザニ将軍は、次のように述べる。「テロ集団と戦うには地上軍が必須ですが、連合軍、特にそのリーダーである米国やその他欧州諸国の支援をなしには、ダーイシュ打倒は容易ではなく、可能ですらありません」。

「バイデン政権は、イラク派遣部隊を増強せねばならないと思います」。

ダーイシュに奪われた領土を取り戻すための2017年の激闘においてクルド人部隊を指揮したバルザニ氏は、同地域の有力な政策立案者とのインタビュー動画シリーズ「フランクリー・スピーキング(Frankly Speaking)」の中で、欧米の軍事支援の拡大を訴えた。

クルド自治政府(KRG)の有力一族の一員であり、コレク通信グループを所有する著名な実業家でもあるバルザニ氏は、クルド人の独立への渇望、トルコのクルド人武装組織PKKによるイラク・クルディスタンへの侵攻、サウジアラビアから受けた人道的支援、石油に依存したクルド経済の多角化の課題など、多岐にわたり語った。

中でも、米国の「永遠の戦争」を終わらせるというバイデン大統領の明確な決意とは逆に、米国やその他西側諸国軍隊の増派を訴え、ダーイシュがイラク全体にとって依然として「最大の脅威」だというクルド人の懸念を強調したことが大きな特徴であった。

「ダーイシュは再編成を始めています。武装集団は非常に活発で、毎日のように民間人や軍、治安機関に対するテロ攻撃を行っています。ほぼ毎日、ダーイシュから攻撃を受けているのです」。

「私は(イラク・クルディスタンの首都)エルビルの南部と南西部にあたるセクター6の責任者です。ダーイシュは、同地域の山中に常駐しています。私たちは、すぐそこにダーイシュがいつも存在しているという問題に、毎日直面しているのです」。

「連合軍やイラク軍と協力して作戦を行った現在も、まだ戦闘員が存在しています。ダーイシュは、アルカイダのように敗北したわけではありません。ダーイシュは健在であり、連合軍の支援がなければますます強くなってしまうでしょう」。

バルザニ氏は、中央政府から予算援助を受けていないペシュメルガに対し、ダーイッシュやイランが支援する民兵に対抗するため、欧米の軍事支援を増強するよう求めた。

最近のエルビル国際空港へのドローン攻撃は、イランが支援する民兵が同地域の親米勢力に対して行ったと主張しているといい、更なる防衛支援の必要性を強調した。

「最も重要なのは、とにかく我々ペシュメルガに新しい技術を提供することです。例えば、イラクの一部である私たちは、ドローンを保有しておらず、暗視カメラや赤外線カメラ、防御兵器等の多くの通常技術さえいまだに保有していません。バグダッドが支援を全て受け取っており、残念ながら、彼らから私たちには何も回ってこないのです」とバルザニ氏は語った。

バルザニ氏は、バイデン政権がアフガニスタンで軍事行動を終了する決定をしたことによるイラクへの影響は、限定的だと考えている。「アフガニスタンとイラクは異なり、比較することはできません。イラクの安定は中東の安定であり、世界中の人々が多くの理由、特に経済的な理由から中東の安定を求めていることは周知の事実です」。

1984年以来、トルコにおけるクルド人の権利と自治を求めて闘ってきた過激派政治組織であるPKKのメンバーが多数侵入していることも、不安定さを助長している。

「当地域では、PKKがイラク・クルディスタン内部に存在していることが問題になっています。彼らのせいで地域が不安定になっています。トルコ軍との戦闘のため、PKKは国境に戻りませんでした。残念なことに、PKKがトルコ軍に介入の口実を与えています。ほとんど毎月のように、彼らは当地域内に新しい陣地を構築しています。PKKが今やっていることは受け入れられないし、地域のためにもなりません」。

2017年にKRGが実施した住民投票で、イラク・クルディスタン住民の圧倒的多数がバグダッドからの独立を支持していることが明らかになった。しかし、イラク政府はこの結果を認めず、完全独立に向けた動きは棚上げせざるを得なかった。

「残念なことに、イラクでは誰も憲法に注意を払わず、こぞって制裁を始めました。私たちがダーイシュと戦っている間でさえ、連邦政府は制裁を科していたのです」。

「これらの理由から、私たちは住民投票を実施し、自前の国家独立を目指しました。当然、私たちにはその権利があり、合法的なものでしたが、状況を踏まえて延期しています」と語り、「それ(独立)は全てのクルド人の夢なのです」と付け加えた。

クルド経済は、イラク北部からの石油に大きく依存しているが、中央政府との収入をめぐる争いが問題になっている。バルザニ氏は、石油製品への依存度を下げることはどんな経済にとっても重要であり、KRGはそのための戦略を打ち出していると述べた。

「石油だけに依存するのは危険です。どんな人や国も、一つの資源や収入源に依存しては成り立たないからです。そのため、特にクルディスタンでは、KRGも経済を多角化し、石油への依存度を下げるための改革に着手しています。これは非常に重要です」。

バルザニ氏は、代替収入源として農業や太陽光発電等の技術を挙げたが、中でも観光業の潜在性を強調する。

「クルディスタンにはさまざまな可能性がありますが、中でも観光面はとても重要です。地理的にも天候的にも、非常に恵まれています。そのうえ、経済やビジネスに必要な安全保障も提供できます。ペシュメルガと国民の努力により、当地域の治安は非常に良好なのです」。

バルザニ氏は、2000年にコレク通信を起業し、ダーイシュの占領によって同地域の大部分が破壊されたにもかかわらず、イラク有数の企業グループに育て上げた。

クルディスタンは、電力供給や通信インフラのために必要な投資の不足という課題も抱えているという。

バルザニ氏は、サウジアラビアの動向と、石油収入への依存度を下げるための「ビジョン2030」戦略を注視しており、これは「素晴らしい動き」だと表現した。

また、彼はクルド地域とサウジアラビアの強固な関係性を強調した。「サウジアラビアとの関係は間違いなく良好です。同国は、当地域においてたくさんの国内避難民や難民を支援してくれています」。

「サウジアラビアとは歴史的なつながりがあり、非常に良い関係を保っています」。

バルザニ氏は、クルディスタンは複数の脅威に直面しており、経済発展や「平和なオアシス」を作り出す機会は、今後も地域の安全を維持できるかどうかにかかっているだろうと述べた。

「安全保障が何よりも重要なのです」と彼は語った。

ツイッター:@frankkanedubai

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