

アラブニュース
ベイルート:レバノンの実業家ナジブ・ミカティ氏が議会の3分の2の73票を確保し、首相候補に指名される見通し。ミカティ氏は首相を2度務めた経験を持つ。
新首相候補を指名するための議会協議が今朝幕を開け、19人の議員が欠席または投票を棄権した一方、ミカティ氏は圧倒的過半数の支持を獲得した。
今月辞退したサアド・ハリーリ元首相は自身の会派とともにミカティ氏に票を投じた。議会の副議長を務めるエリー・フェルツリ議員もミカティ氏を推した。マラダ運動、ヒズボラ、アマル運動と進歩社会党マラダ運動、ヒズボラ、アマル運動と進歩社会党もミカティ氏に票を投じた。
この日ミカティ氏はミシェル・アウン首相と短い会談を行った後、声明を発することなく退場していた。国内でキリスト教会派として二番目に大きいレバノン軍団(The Lebanese Forces)は2019年後期に大規模な抗議運動が始まって以降前回と同様のスタンスを取って棄権した。
レバノン軍団のメンバーであるジョージ・アドワン議員は、LFは「現在の政治指導層からなる政府は支持しない」と述べた。
シドンの独立系議員のオサマ・サアド議員も棄権した。一方、フアド・マクズーミ議員はレバノンの外交官・法律家・学者のナワフ・サラム氏に票を投じた。
混迷を極める政治経済不安の中、今年三度目の組閣の試みとなる。
昨年8月、200人以上の死者を出したベイルート港の爆発事故を受けてハッサン・ディアブ元首相が辞任して以来、政府は完全に機能せず、空白状態がとなっている。
世界銀行が19世紀半ば以降で世界最悪レベルと評する経済危機が続いているにも関わらず、政争により事態は発展せず、首相候補2人が組閣に失敗している。
大統領府では10:30から始まった協議は午後まで続き、一日の終わりまでには最終候補が発表されると国営通信社は述べた。
レバノンの3人の元首相、ハリーリ氏、フアド・シニオラ氏、タマム・サラム氏は木曜、ミカティ氏を候補として支持すると表明した。
65歳のベテラン政治家であるミカティ氏は議席数の割合と大臣職を争い合う政治リーダーらを満足させるラインナップを提示すると期待されている。
実際の政府が発足するまで何カ月もかかる可能性があるが、貧困の急増、通貨の暴落、医薬品から燃料まであらゆる基本的物資が不足し危機に直面するレバノンにとってこれ以上の遅れは許容できない。
旧宗主国フランスの主導により各国から何百万ドルにも及ぶ人道支援が約束されているが、汚職問題に取り組む能力を有する政府の発足が条件となっている。
しかし欧州連合からの制裁を含め国際的な圧力が強まっても、レバノンの政治家らは大きな進展を遂げられていない。
フランスは今月、「状況が毎日悪化しているレバノンの国民のニーズに応える」ための支援会議を8月4日に主催すると発表した。
会議は奇しくも港の爆発事件から1年を迎える日に行われる。事故は何十年にもわたるレバノンの支配者階級による怠慢により引き起こされたものとして非難されている。
AFP