過去6年間で、トルコはソマリアに1億1,700万ドルを拠出してきた。
メネックス・トキャイ
アンカラ:トルコ政府が木曜日に発表したソマリアへの3,000万ドルの供与は幅広い層からの批判を集めた。エーゲ海と地中海沿岸での壊滅的な山火事への懸命の対応が続く中、利用可能な消防用航空機をトルコが保有していないことが最近明らかとなり、それが供与金への批判に繋がっている。
戦災で荒廃したソマリアへのトルコ政府からの供与金は、毎月250万ドルずつに分割され、「予算調達と国際的能力構築」に用いられる。これは先月両国が結んだ協定の一部である。
2005年の「アフリカの年」宣言以来、トルコはソマリアとの関わりを深め、両国間の政治や軍事、貿易、経済上の結びつきを強化してきた。この関係性の構築は理念とトルコ政府の地政学的影響力を増大させたいという願望に動機付けられたものだ。しかしながら、トルコ側の経済的制約を勘案した場合にソマリアへのこのレベルの関与をいつまで継続可能か、疑問視する声も複数上がっている。
過去6年間で、トルコはソマリアに1億1,700万ドルを拠出してきた。昨年、新型コロナ禍とそれに伴う経済状況の悪化の最中、トルコは国際通貨基金の外貨準備である特別引出権を約240万ドル分保証し、ソマリアの債務救済に貢献した。トルコは、この債務救済に貢献した116カ国の内の1つとなったのである。
トルコからソマリアへの昨年の輸出額は2億7,276万ドルであり、トルコ企業によるソマリアへの投資額は1億ドルだった。トルコの最大の海外軍事拠点はソマリアにあり、ソマリアの兵士はそこでトルコ軍によって訓練されている。だが、現在行われているトルコ国内での消火活動を支援する航空機を保有するための予算が確保されていないことを踏まえ、今回の寄付を避難する声が複数上がっている。
「この供与金の額で合計6機の消防用航空機を購入出来たはずだ」と、主要野党である共和人民党のアルペイ・アントメン氏は言った。
飢饉や旱魃、内戦に何十年にもわたって苦しんできたソマリアという国家への重要な貢献であるとして、今回の供与金を評価する声も複数ある。
元閣僚で在ソマリアのシンクタンクであるヘリテージ政策研究所前所長のアブディラシッド・ハシ氏は、ソマリア国内の財源の大部分は優先分野に振り分けられているため、戦略的な出資にはソマリア外からの資金を必要としていると述べた。
「ソマリアの国家建設のためのトルコからの3,000万ドルの予算支援はそうした例の1つです。そして、それは、トルコを最も親密な同盟国の1つと看做しているソマリアにとって非常に大きな意味のあることなのです」と、ハシ氏はアラブニュースに語った。
両国間の大きな貿易量という形でトルコはその供与の見返りを得ていると、ハシ氏は付け加えた。
トルコの1民間企業が、昨年、ソマリアの首都モガディシュの港湾管理と設備近代化を請け負う14年契約を締結した。ソマリアは、また、開発プロジェクトや社会事業関連の支援を、トルコ国際協力調整庁を窓口としてトルコ政府から受けている。トルコはソマリア国内に病院を建設し、アデン・アッデ国際空港を首都に再建した。ワシントン近東政策研究所の研究者であるソネル・チャガプタイ氏は、トルコのアフリカにおける影響力の増加はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が評価されるべき項目の1つだと述べている。
「エルドアン大統領が政権を掌握するまで、トルコはサハラ以南のアフリカ諸国にほとんど注意を向けていませんでした」と、チャガプタイ氏はアラブニュースに話した。「援助、訪問、仲介、軍事的援助、人道的支援を通じて、エルドアン大統領はトルコの影響力を増大させ、実際それがこの地域で機能しているのです。エルドアン氏の2018年の大統領就任を祝福した人々の中にはアフリカの指導者たちも含まれています」。
エルドアン大統領とアフメト・ダウトオール前首相によってトルコがアフリカの他の地域で影響力を増大させる一方、ソマリアはトルコによるアフリカ諸国との関係構築の中でも唯一無二の興味深い事例になるとチャガプタイ氏は確信している。「トルコのソマリアへの影響力は他のいずれのアフリカの国家に対するトルコの影響力の何倍も強いものです」と、チャガプタイ氏は述べた。「モガディシュにこれまでに置かれたすべての大使館の中でトルコ大使館は最大のものです」。
「トルコは、ソマリアの植民地時代には無関係な国という立場で同国への働きかけを調整しました。エルドアン大統領は、また、ソマリアの指導者たちとの個人的な関係を活用し、2011年8月にはアフリカ人以外の指導者としてはこの10年間で初となるソマリア訪問を敢行して、難民キャンプにも足を運びました。ソマリアは、トルコのアフリカ進出における戦略的な足掛かりになったのだと私は考えています」。