
ベイルート:レバノン北部で燃料不足をめぐり乱闘が2件発生、合わせて3人が死亡した。国営メディアや治安筋が伝えた。レバノンでは燃料不足をきっかけに、ガソリンスタンドでの揉み合いが相次いでいる。
「19世紀半ば以来世界最悪の経済危機の一つ」と世界銀行から呼ばれるほどの経済危機に見舞われているレバノンでは、夏の初め頃からは燃料危機に見舞われるようになった。
国連人道問題調整事務所(OCHA)が先週発表したところによると、今では同国の人口の約80%が貧困状態にあるという。約50%という昨年の数字をはるかに上回る割合である。
燃料危機はドル不足の中央銀行が輸入資金用クレジットラインの開設を遅らせたことが原因だとする燃料輸入業者は、政府が6月にガソリンとディーゼルの価格を3分の1以上引き上げることに合意した後も、供給を厳しく制限している。
このため、ガソリンスタンドには何時間待ちという長蛇の行列ができるようになった。怒鳴り合い、殴り合い、さらには実弾による撃ち合いさえ発生し、治安部隊の介入が必要となることも少なくない。
月曜日には、バクーン村のガソリンスタンドで、長蛇の列に乗用車の運転手が割り込もうとしたことが原因で乱闘が発生、男性1人が銃で撃たれた。治安関係者がAFPに語った。
男性は病院に搬送されたが、その後、傷が原因で死亡した。
犯人は軍に自首したと、国営のナショナル・ニュース・エージェンシー(NNA)が報じた。
NNAによると、金曜日に北部の都市トリポリで「燃料の売買に関連した」別の争いがあり、さらに2人が死亡した。
治安筋がAFPに語ったところによると、この殺害事件は、ガソリンスタンドで燃料の購入をめぐって運転手同士が争いを起こした最初の事件の数日後に起きた。
最初の争いの報復として、争いに参加していた2人の若者が狙われた。金曜日の早朝、2人は実弾および手榴弾の標的となって死亡した。
2人の葬儀は、遺族により金曜日にトリポリで執り行われた。
燃料不足のため闇市場が活性化しており、闇市場では国が設定した価格の2倍で燃料が販売されることもある。
燃料危機の原因について、レバノン政府は、シリアへの密輸と、より高値での販売を狙う流通業者の備蓄にあるとしている。
数多くの物資不足に加え、レバノンは貧困問題の深刻化や通貨の大幅下落にも見舞われている。レバノン・ポンドは闇市場で90%以上も価値を下げた。
AFP