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レバノン経済と基本的サービスは「崩壊寸前」 米国大使が警告

ドロシー・シェイ在レバノン米国大使。(AFP資料写真)
ドロシー・シェイ在レバノン米国大使。(AFP資料写真)
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17 Aug 2021 07:08:53 GMT9
17 Aug 2021 07:08:53 GMT9
  • 大統領は、辞任を求める政治家や国民の声への屈服を拒む
  • ヒズボラ党首は「いかなる犠牲を払ってでも」新政府を樹立するよう促す

ナジャ・フーサリ

ベイルート:受け入れ可能な新政府の樹立方策についてミシェル・アウン大統領とナジブ・ミカティ首相候補を交えて協議した米国のドロシー・シェイ大使は16日、レバノンの経済と基本的サービスは「崩壊寸前」に達していると警告した。

アウン大統領とミカティ暫定首相との会見後の記者会見で、シェイ米国大使は、レバノン国民は苦痛を強いられており、「緊急を要する改革を責任をもって実行することのできる『権限を付託された政府』」が欠落した日々を重ねれば重ねるほど、既に切迫した今の状況がさらなる人道的悲劇へと化していくことになると述べた。

「政府の樹立と改革を妨害し続ける人々に対して我々は、党派的な利害を脇へ置くよう求める」と大使は付け加えた。

米国は、レバノンに説明責任と改革を促すEUの新たな制裁枠組みを歓迎しており、シェイ大使も、米国は適切な措置に関して同盟諸国と「調整を続けていく」と述べた。

「レバノンは緊急の救済措置を実行できる指導陣を必要としているのであり、これは、国民のニーズへの対応に着手し、経済回復という困難な仕事に着手する、権限を付託された、救済に重点を置く政府なくしては不可能だ」

16日に、フランスと米国がレバノンのすべての政党に政府樹立に向けての圧力をかけたとの情報が拡散された。

危機が続くなかにあって、為替レートは今週初め1ドル1万8500レバノンポンドにまで下落した。

政府樹立に向けた協議は、各派閥・政党への大臣職の割り当てに関しては合意に達し、現在は閣僚を選出する段階に到達したようだ。

先週、アウン大統領とミカティ暫定首相は、国の大臣職に関してこれまでの割り振りを維持し、財務省をシーア派、内務省をスンニ派、法務省をマロン派にすることで合意した。

しかし、未来ブロックの国会議員ムハンマド・アル・ハジャール氏は、楽観的な見方が広がるのに対して警鐘を鳴らした。

「我々は最後まで事の成り行きを見守る」とアル・ハジャール氏はアラブニュースに語った。「国内外で、アウン大統領に対して政府の樹立を促す圧力がある」

彼は、アウン大統領が「楽観的な空気を拡散することでこうした圧力を緩和し、その後に約束を反故にしようと」しているのではないかとの懸念を述べた。

16日にアウン大統領は、辞任を求める政治家や国民からの要求に答え、辞職の意向はないと表明した。

大統領は、任期を最後まで遂行するとし、レバノン国家の大統領は「権限を失ったとはいえ」、政府樹立の過程においては首相候補と協力関係にあると述べた。大統領には「倫理的職権に照らし合わせて」、挙げられた候補者の中から選出する権利があるとした。

「汚職防止との闘いにおいて、自分が着手したことを完遂しようとする私の姿勢や熱意を誰も揺るがすことはできない」

大統領はまた、ストライキが貿易、産業、生産を破壊していると述べ、政府樹立の妨害を企てる者たちがいると非難した。そして、レバノン中央銀行に対する刑事監査を主張した。

「監査が近づけば近づくほど、それを阻止しようとする圧力が大きくなる。長年の事実が証明してきたように、汚職はマフィア的な精神構造の産物だ」

大統領の発言は、アッカール地方で15日に発生した燃料タンカー爆発の犠牲者を追悼し、大統領官邸の国旗を半旗にしていた際のものだ。

レバノン赤十字社は事故現場で新たな焼死体を発見し、これで犠牲者の総数は29人となった。

燃料危機で国家の大部分が麻痺するなか、新政府樹立の合意に向けた努力には拍車がかかっている。

タンカーの大惨事や燃料などの生活必需品をめぐる闘争が国の医療部門や安全保障部門の悪化を露呈させており、ヒズボラは、混乱の程度はさらに悪化すると警告しつつ、「いかなる形でも、いかなる犠牲を払ってでも」新政府を打ち立てるよう呼び掛けている。

ヒズボラ党首ハッサン・ナスララ氏は15日夜、「補助金の打ち切り問題の解決策は、適切な決断を下すことができる政府の樹立にある。国家の今の状況は容認できるものではない。数日以内に組閣を果たそう」

ヒズボラは、同盟者のアウン大統領に対して政府樹立に向けての圧力を真剣にかけていないと非難されてきたが、ナスララ氏は次の発言では大統領に対してものを言っているようだ。「もうたくさんだ。自分たちの割り当てを放棄しよう。いかなる犠牲を払ってでも政府を樹立しようではないか。誰もが犠牲を払うべきだ」

 

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