
ハゼム・バルーシャ
ガザ市:パレスチナの派閥とイスラエルの11日間に及ぶ激しい武力衝突から2カ月以上が経過したが、沿岸部の小さなガザ地区に住む200万人のパレスチナ人は、いまだにその暴力の影響に苦しんでいる。
武力衝突は5月に終わったが、それ以降イスラエルによって課されている厳しい規制は、2007年半ばから行われているガザの包囲をさらに強め、占領地の住民に苦難をもたらしている。
武力衝突の仲裁役を務めたエジプトは、停戦合意によって殺りくと破壊に終止符を打つことに成功した。
しかし、エジプトの努力はまだガザの状況を武力衝突発生前の状態に戻すことには成功していない。
イスラエルは、ハマスがイスラエルの捕虜を拘束していることを理由に、ガザの包囲と復興の禁止を継続している。
これらの規制を通してイスラエルは、2007年に武力でガザを占拠して以降ガザを支配しているハマスに対し、不明な状況でガザに入った2人と、2014年の紛争中に捕らえられて安否不明の兵士2人を含むイスラエル人4人を解放するよう圧力を掛けている。
ハマスは2011年のシャリート氏の協定と同様の捕虜交換協定の枠組みで彼らを解放すると主張している。2011年の協定ではパレスチナ人捕虜数百人がイスラエルの刑務所から解放された。
ガザの当局者らによると、イスラエルによる厳しい規制は「生活のあらゆる面に悪影響」をもたらし、「貧困率、失業率がかつてないほど上昇」している。
ここ数週間イスラエルはガザ地区への輸入品目を増やすことを段階的に許可したが、引き続き禁止されている最重要物資は建設資材だ。
これにより復興プロセスの開始や、国際的な団体が資金提供しているインフラ計画の再開が妨げられている。
パレスチナ経済省の高官であるラミ・アブ・アル・リシュ氏は、ガザの産業・商業・農業部門が「まひ」していると述べた。
それはガザの住民の生活にも反映されており、貧困が急増する中、失業率は75%まで上昇している、とアブ・アル・リシュ氏は話した。
「商業・産業施設の破壊や、封鎖・規制による操業停止により、さまざまな分野の労働者数千人が生計を立てていく手段を失った」と同氏はアラブニュースに語った。
アブ・アル・リシュ氏は、「良くなる兆しは見えない」、ガザの状況は「日に日に悪化している」と述べた。
特に復興と修復に関しては「すぐには進展しそうにない」と同氏は付け加えた。
イスラエルはまた、カタールからの3000万ドルの寄付金から出される資金がガザに届くのを妨げている。
この毎月届けられる資金は、貧困家庭や臨時雇用を対象としていて、通常はカタール復興委員会のムハンマド・アル・エマディ大使が同行してガザに届けられる。
ガザ地区最大の自治体であるガザ市は、インフラ計画の作業停止が継続していることに不満を持っている。
市議会議員のヒシェム・スカイク氏によると、イスラエルが建築資材やインフラ計画を完成させるための資材の搬入を阻止したため、武力衝突発生後、13件のインフラ計画が停止されたという。
ガザのケレムシャロム商用検問所の規制強化により、他の約16件のインフラ計画にも遅れが生じている。
これらの計画は約2年前に資金が完全に調達され、関連する契約は全て締結された、とスカイク氏は述べたが、作業を開始することはできない。
ガザ市は、2000万ドルと見積もられている、武力衝突による最近のインフラへの損害を修復するための資金も受け取っていない、と同氏は付け加えた。
ガザ地区での武力衝突は11日間続き、パレスチナ人243人が死亡し、住宅数千戸が破壊され、インフラはがれきの下に埋まり、損害の総額は4億7900万ドルに上った。
ガザで衣料品店を営むサミール・アル・アッタルさんは、夏休みや結婚式は「我々の商売のかき入れ時」だが、今年は「武力衝突があり、ケレムシャロム検問所の閉鎖が続いた結果、最悪だった」と話した。
彼はアラブニュースに次のように話した。「ガザ地区の全般的な経済状況は何年も苦しいままだ。商品の搬入の規制が強化され、購買力が弱くなり、商品の搬入が許可されている他の部門にも反映された結果、最近では多くの部門が打撃を受けている」
連日報道されているように、パレスチナの派閥はハマスを中心にガザ地区・イスラエル間の国境沿いで活動を増やすつもりだ。包囲を緩和し、カタールの資金が入ることを許可するようイスラエルに圧力を掛ける手段として、行進や夜間の活動を行うという。
ハマスはアブデル・ラティフ・アル・カヌー報道官を通じて、「ガザに対する規制を増やしたり強化したりすれば、占領に対する怒りの爆発を招くだけだ」と警告した。