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ゴーン氏、レバノンの首都でいたちごっこ

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03 Jan 2020 02:01:45 GMT9
03 Jan 2020 02:01:45 GMT9

アラブニュース・ベイルート

ベイルートの高級住宅街Achrafieh にあるピンク色に塗られた日産所有の屋敷では、慌ただしい一日が過ぎていった。日本の最重要指名手配逃亡者カルロス・ゴーン氏が、映画『ミッション:インポッシブル』もどきで日本を脱出し、この屋敷内にひそんでいると考えられているからだった。

普段なら静かで落ち着いたRue du Liban(レバノン通り)の木曜日の朝が、レバノン法相の声明によって一転した。インターポルがゴーン氏に関するレッド・ノーティスを発令し、レバノン当局はゴーン氏を拘束して尋問を行い、インターポルが彼の試問を行うまでの間一時的に拘留するよう直接要求してきたからだ。

法律上、レバノンはゴーン氏を拘留し尋問する義務があるが、インターポルに彼を引き渡したり別の国へ送還することは義務づけられていない。実際にレバノンはいまだかつて自国市民を送還したことはなく、自国内にてレバノンの法の下で裁判を行なうことを選択している。

レバノン国内ではゴーン氏は自由市民であり、法律上有罪判決が出るまでは無罪とされ、彼に対する国内での刑事訴訟は行われない。

日本とフランスは両国ともゴーン氏に対して刑事訴訟を起こしており、レバノン政府に対してゴーン氏の引き渡しを要求してくる可能性がある。彼は個人的利益を目的とする企業資産の不正使用や脱税を始めとする財政上の違法行為の容疑で裁判を受けることになっている。

日産とルノーの前会長ゴーン氏、あるいは少なくとも彼の家族は、日本でゴーン氏を失墜させて彼に対する訴訟を起こしていた日産が所有する家屋内に現在身を潜めているというわけだ。

契約上、ゴーン氏とその家族は、ゴーン氏が日産社員である間は会社所有の建物に滞在する権利を有していた。彼が会社を追われた後、日産はゴーン氏やその他の居住者をその敷地から立ち退かせるための法的手続きを始めた。

ところが、ゴーン氏の2番目の妻であるキャロル・ナハス氏が、昨年夫が日産を追われる直前に裁判所命令の入手に成功しており、日本でのゴーン氏の裁判で判決が出るまではその家に滞在することができるのだ。それが彼の逃亡以前の話であった。

日産側のSakher Hachem弁護士がアラブニュース・ジャパンに語ったところによると、「1月13日にヒアリングが行われ、ゴーン一家の滞在に関する合法性が決定される」という。

Hachem氏は、「ゴーン氏はもう日産の人間ではないのですから、日産所有の不動産内に滞在する権利はありません」と加えた。

この一件がどう展開するにせよ、日産所有の家屋内にゴーン家族が逃げ込んでいるというこの事態は、日産が彼を追い出して以来かつての「コスト・キラー」が日産に対して行った最大の挑発であろう。

日産はこの屋敷の監視のために長年警備会社を雇っていた。ナハス氏はこの家を日産の金で贅沢に飾り、一説によると家具と改装に600万ドルを費やし、絢爛豪華な二つのシャンデリアに74,000ドルという大金をかけたと言われている。この屋敷は当初880万ドルで購入された。警備会社が雇われたのは、住人の安全確保のためではなく、むしろこの家からこれまで手に入れてきた高価な物品が盗み出されるのを防止するためだと言われている。

何十人もの国内外の記者やテレビ局が冷たい雨の中を狭い通り沿いに陣取って、この3階建ての屋敷への出入りを見守っている。

ナハス氏は、過去2年以上にわたってゴーン氏のライフスタイルを華美な浪費家へと変貌させた人間と考えられている。木曜日の朝、彼女はその屋敷へ、日産ではなくGMCのレンタカーで到着した。

その後まもなく、身元不明の男性が屋敷内へやって来たが30分も経たずに出て来、自分は「健康管理担当医師」で「キャロルの息子さんを診察に来た」と報道陣に語った。

その1時間後、サラダーグループ(Saradar Group) の社長兼CEOであるマリオ・サラダー氏が屋敷を訪れた。ゴーン氏は同グループ(一族経営で、60年以上の間レバノンの銀行業界の中心的存在)の株のほぼ 4.6 %を所有する株主となっている。

ゴーン氏自身は近くの友人宅に滞在していると考えられている。ハリウッド映画もどきの国外逃亡をやってのけた後、彼は今も日本当局からの回避を続けている。

現在のところゴーン氏は1月8日に記者会見を行うと予測されている。日本にいる間は記者会見の機会が認められなかった。

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