ベイルート:レバノンの裁判所は、日産自動車元社長カルロス・ゴーン氏のベイルートの自宅兼事務所から文書や機器を盗んだとして、4人の日産社員を起訴したと司法筋が17日に明らかにした。
日産側の弁護士はAFPに対し、この法的措置は「不当」であり、起訴の取り消しを求めるとコメントした。
ベイルートの裁判官は、「それぞれ日本、スペイン、フランス、イギリスの国籍を持つ4人の日産幹部」に対し、「数々の犯罪を犯した」と告発し、訴追を決定したと、メディアに話すことが許可されていないため匿名を条件に司法筋が語った。
「最も重要な」容疑は、ゴーン氏のベイルートの自宅兼事務所に侵入し、「本人の意思に反して、文書、ファイル、電子機器を盗み、ゴーン氏の個人情報が格納されたシステムにアクセスし、その内容を改ざんし、データをコピーした」というものだ、と同筋は付け加えた。
今回の法的措置は、「ゴーン氏が日本で逮捕されるに至った証拠を捏造し、彼の名誉を傷つけた」として起こした訴訟に続くものだと同筋は述べた。
被告は予備捜査の一環として召喚されたが、裁判所に出頭しなかったという。
この事件はベイルート第一審裁判所に付託され、「必要な捜査と、欠席裁判による逮捕状の発行」が要請された。
日産側のサケル・アル=ハシェム弁護士は、4人に対する法的措置は「不当」であり、起訴は取り下げられるだろうと語った。
捜査判事が審問の日付を設定する際、「この法的措置が不法であることを示す正式な抗弁を提示する」と彼はAFPに語った。
ルノー・日産・三菱アライアンスの元会長兼最高経営責任者(CEO)であるゴーン氏は、2018年11月に会計不正容疑で日本で逮捕された後、日産の取締役会によって全員一致で解任された。
翌年末、ゴーン氏は保釈中、楽器用ケースに隠れて日本から劇的な逃亡を図り、国際的な逃亡者としてベイルートに渡った。
ゴーン氏は常に自身に対する容疑を否定しており、それらはフランスのパートナーであるルノーとの企業統合をより密接に進めようとした彼の試みに反対した日産の幹部によって捏造されたものだと主張している。
日本とフランスは彼の逮捕を求めているが、レバノンは自国民の身柄を他国に引き渡さないため、司法当局はレバノン、フランス、ブラジルの国籍を持つゴーン氏に対して渡航禁止処分を下している。
ゴーン氏は昨年、日産自動車が虚偽の告発を行ったと主張し、レバノンの最高検察官に訴訟を提起、10億ドル以上の金銭的補償を求める訴えを起こしたと、司法当局者が当時発表している。
AFP