
アラブニュース
ロンドン:国連の人権専門家は、イラン当局に対し、強制失踪となり公判前には拷問を受けたとされるイランのクルド人男性の間近に迫る処刑を、直ちに中止するよう求めている。
イランの人権問題を担当する特別報告者とマイノリティー問題担当の特別報告者を含む国連の人権専門家らは3日、「イラン当局は、ハイダル・ゴルバニ氏の死刑執行を直ちに中止して判決を無効とし、国際規約に則った再審を認めなければならない」とする声明を出した。
48歳のゴルバニ氏は、2016年10月に逮捕され、イスラム革命防衛隊の国内組織バシージのメンバー3人の殺害に関わったとして起訴された。
ゴルバニ氏は、彼自身は武器を所持していなかったと裁判所が認めたにもかかわらず、国家に対する武装反逆罪で有罪となった。
国連人権専門家らの声明によると、ゴルバニ氏は、「状況や居場所に関する情報を家族に知らされないまま強制失踪」となり、伝えられたところでは「独房に入れられ、拷問や虐待」を受けていたという。
声明はさらに、「我々は、ゴルバニ氏の自白は拷問と虐待によって強要されたものであるとの深刻な懸念を抱いている」とし、同氏が調査の段階で弁護士への面会を否定されたことへの憂慮を表明している。
「ハイダル・ゴバルニ氏の裁判では、国際人権法に定められた公正な審理と適正な手続きに関する多くの基本的な保証が侵害されているようだ」と同声明は述べる。
「拷問や自白強要があったとの陳述がいかなる調査にもつながることなく、審理中、裁判所はそれらの陳述を考慮しなかったとの事実もあり、これは極めて憂慮すべきことだ」
イランでは、民族や言語における多くのマイノリティーが、処刑や拷問を受けるといった恒常的な人権侵害に晒されている。
人権団体や国連が取り上げる多くのケースで、拷問により強要された自白が裁判で被告に不利になるように使われている。
そして多くの場合、こうして強要された自白は死刑を執行するための証拠として使われる。
国際人権団体「マイノリティー・ライツ・グループ」によると、クルド人はイランの人口の約10%を占めるが、ペルシア人が多数を占めるイランでは、法的、構造的、経済的に彼らは多くの障壁に晒されているという。
2014年には学校でクルド語を教えることが禁止され、「イラン北西部のクルド人地域では、不動産の没収や行政による放置が多発している」と同人権団体は述べている。
彼らはまた、「強制移住させられ、大規模農園や周囲の環境を汚染する石油化学工場の敷地として田園地帯の土地を没収されるなどして、劣悪な住宅環境や生活環境を強いられている」という。