
レベッカ・アン・プロクター
ドバイ:「Expo 2020 Dubai(2020年ドバイ国際博覧会)」は、その物理的な建造物と思想の両面において、驚くべきものがある。
アバンギャルドでハイテク、そしてこれまで考えられなかったようなアトラクションを集めた建築物の素晴らしさもさることながら「Expo 2020」の使命は、新しいアイデアや考え方、そして世界の最も差し迫った問題に対する解決策を提示することにある。
ドバイ最大のイベントの開催日が近づくにつれ、主催者や参加者は、物理的なレガシーだけではなく、イデオロギー的なレガシーについても探求している。来場者はこのイベントからどのようなアイデアを得るのか「Expo 2020」はどのように世界を変えるきっかけとなるのか。「Expo 2020」の「人と地球のためのプログラム」は、現在我々が直面している課題に対する解決策を創造的に生み出すことを目的とした、イベント、体験、理念の提示、公開討論などから構成される。
「Expo 2020」のチーフ・スタッフであるナディア・ヴェルジー氏はアラブニュースの取材に対し、「私たちが行おうとしていることにとって、これ以上の緊急性や好機はありません」と語る。「『人と地球のためのプログラム』は『心をつなぎ、未来を創る』という私たちのテーマと目的を具現化したものです。このプログラムは、このイベントの構成に不可欠なものであるだけでなく、閉幕後もずっと、「Expo 2020」が今後の世界に残すレガシーを形成する、唯一無二の運動のきっかけとなるでしょう」と述べている。
このプログラムは「Expo 2020」開催期間中の6ヵ月間に実施される。
10のテーマウィークと18のインターナショナルデーを軸に、気候変動や生物多様性の損失の緩和、人間の居住環境のサステナビリティ、デジタル分断の解消、教育やヘルスケアへの平等なアクセスの確保など、世界的に重要な課題をそれぞれが探求していく。
その主なテーマの中には、テクノロジーとイノベーション、女性と少年少女のエンパワーメントなども含まれる。
講演やイベントでは、野生動物保護の権威であるジェーン・グドール女史、エデン・プロジェクトの創設者であるティム・スミット卿、UAEの先進技術担当大臣であり、エミレーツ航空の火星探査計画の責任者でもあるサラ・アル・アミリ氏などの専門家や、2020年の万博に参加する191の国、ビジネスリーダー、草の根の活動家、そしてより広いグローバル・コミュニティが参加する。
「新型コロナウイルスの影響の発生以来、この1年半の間に、国際社会は人として、また地球として直面する課題を解決することをより強く求められいます」とヴェルジー氏は述べる。「このプログラムは、博覧会のバックボーンとなる10の主要テーマの大きな枠組みの下、関心事をまとめ、国々をひとつの場に集めるためにデザインされました」と述べた。
2020年の万博は、当初の開催予定年のまま、UAE(アラブ首長国連邦)建国50周年の祝祭日に合わせ来月10月1日から2022年3月31日まで開催される。
これにより、UAEに数百万人の観光客が訪れることが期待されている。
しかしこの博覧会が、パンデミックがもたらす高いハードルに適応しなければならないことは否定できない。
「私たちは、この博覧会がCOVID時代にふさわしいものになるようにしたいと考えています。そのためには持続可能な開発目標(SDGs)や『2030アジェンダ』そして人と地球について第一に考えることがすべての中心となります」
ヴェルジー氏によると、このプログラムの構成は、パンデミックの際に緊密に協力していた国々が、それぞれの国の優先課題に沿ったテーマで共鳴できるように 博覧会スタッフにより「調和して考えられ、選ばれた」ものだと言う。
10のテーマの週は、気候変動についての会話で始まり、続いて宇宙をテーマにし、3月には「水」をテーマにして締めくくられる。
「私たちが実現しようとしたのは、これらの異なるテーマのすべてにおいて、それが何であるかにかかわらず、すべての人の声を聞くための場を作ることです」と彼女は語る。
この博覧会は、大規模な国際会議の開催という思想的な側面も持つ。似たフィールドの関係者が参加しているが、地球規模の変化をもたらす方法を育みたいと願うすべての人に開かれている。
「万博の価値は、これらの関係者を一堂に集めることにあります。政策立案者であれ、企業や民間企業の代表者であれ、イノベーターであれ、世界や自分が果たすことのできる役割についてもっと知りたいと思っているあらゆる立場の個人であれ、テーマに関係なく、このように様々なプレイヤーが集う構造は、非常に魅力的なものです」。
2020年の万博の最も重要な理念と使命の一つは、来場者に学びの場を提供することで、閉館後もその体験が長く残るようにすることだ。
「私たちが提供したいのは、世界中のさまざまな人々、場所、考え方に触れる機会です。もし来場者がそれを知識に変え、コモロやジャマイカ、キューバをよりよく理解し、結果としてそこに旅行することがあれば、場所や人々に対する意識レベルを超え、世界のさまざまな地域や文化間の類似性やつながりを見出すことができる、より良い知識を持った個人を生み出すことにつながるでしょう」