
ハゼム・バルーシャ
ガザ市:イスラエルのギルボア刑務所の元囚人は、最近のパレスチナ人6人による脱獄を「奇跡的」と評した。
以前ギルボア刑務所からの脱走を図ったヒラル・ジャラダト氏によると、同刑務所が鉄条網のついた高い壁、大量に配備された看守、監視塔やカメラであらゆる動きを監視していることにより、囚人たちに「イスラエルのグアンタナモ」と呼ばれているという。
ジャラダト氏は1985年にイスラエル人兵士3人を殺した罪で逮捕され、19歳のときに懲役99年の判決を受けた。イスラエルの刑務所で27年間過ごした後、2011年にハマスとイスラエルの間で結ばれた囚人交換協定を受けてガザに送還された。
彼は9月6日にイスラム聖戦のメンバー5人とファタハ革命評議会のメンバー1人がトンネルから脱走したギルボア刑務所で数年間を過ごした。
ジャラダト氏は1998年にトンネルから脱獄を計画したグループの一員であった。囚人の数名は、トンネルが看守に見つかる前に逃亡した。
防壁や人間と機械による監視システムを突破するには大がかりな計画と忍耐が必要だったと、ジャラダト氏は言う。
イスラエルはイスラエル人殺害の背後にいるのがギルボアの囚人だとして最も危険な服役囚とみなしているため、刑務所内でも自由が与えられないのだとジャラダトは語る。
ジャラダト氏はアラブニュースに対し、様々な複雑な手順が「囚人の意志をくじく」ことを狙いにして使われているが、「多くの囚人があらゆる可能な方法で自分の自由を手にすることを考え続ける」のだと語った。
ジャラダト氏はそれぞれ刑期の長い刑務所仲間とともに、20メートル以上に延びるトンネル経由での脱走を計画したのだと言う。トンネルはスプーンや、ベッドから取った鉄や木の破片を使って掘ったものだ。
「流しの後ろに放置されたトイレがあり、ドアがしっかりと溶接され完全に閉まっていた。ドルーズ派の囚人の助けを得てこれを開けることができた。仲間2人が掘った土を排水管に捨てる役だった。我々が動いた痕跡をすべて消してから、ドアを閉めた。これを毎日続けた」とジャラダトは語った。
その後、土を捨てやすくするため、ジャラダト氏と仲間たちはトイレに直接通じるトンネルを掘った。
多くの障壁があったが、刑務所内で手に入るものを使って乗り越えた。調査が入ってもばれないよう、床のタイルを元に戻すセメントの代わりに歯磨き粉と薬を混ぜたものを使った。
長さ25メートル、深さ2.5メートルのトンネルを掘るのに77日かかった。このトンネルで、22人の囚人が逃亡するはずだった。
しかし、一人の囚人が逃亡した後「トンネルの入口を隠すダンボール片」を戻すのを忘れるという単純なミスにより、発見につながった。
刑務所の部署の反応は暴力的なものだったとジャラダト氏は言う。「大量の兵士が監房に突入して服役囚に暴行を加え、隔離させ、面会の権利を取り上げた」
「トンネルを掘った方法や17トンの土をどう処分したかを知った刑務所の管理部門は衝撃を受けていた。兵士たちは刑務所から約5キロ離れた場所で土を発見した。土の大部分は排水管に捨てられていた」とジャラダトは付け加えた。
現在、数十人の女性や子ども、病人を含め、約5,000人の囚人がイスラエルの刑務所に収監されており、うち数百人が何年間にもわたり服役している。
服役囚関連を専門とする機関によると、約100人のパレスチナ人服役囚が脱獄を試みたことでイスラエルに「レッドリスト」服役囚と認定されている。イスラエルはこれらの服役囚に重大な罰則を科している。