ナジャ・フーサリ
ベイルート:ベイルート港爆発事故を調査していた判事は、月曜日に裁判所が同判事に対する2つの訴えを退けたことで、2度にわたる解任の危機を乗り越えた。
レバノン民事控訴裁判所は、ノハド・アル・マクヌーク議員、アリ・ハッサン・カリル議員、ガジ・ズアイター議員が提出した、タレク・ビタル判事による同事故の調査の停止を求める申請を拒否した。
裁判所は月曜日に下した決定で、港の爆発事故調査の被告でもある申請者たちに、それぞれ80万レバノン・ポンド(約50ドル)の罰金を支払うよう命じた。
ビタル判事は、特に第2議会が始まる10月19日までは被告人の免責が解除されているため、彼らに対する尋問を再開することが可能になる。
しかし今回の裁判所の決定にもかかわらず、ビタル判事の捜査を止めようとする動きがさらに活発化している。ヒズボラもビタル氏に対して複数の脅迫を行っていることを理由に、他の被告たちは彼の活動に異議を唱えている。
最初の脅迫は、同党のハッサン・ナスラッラー書記長によるもので、彼はビタル氏が「政治的に」動いていると非難。
2回目は同等のワフィク・サファ警備連絡将校が司法宮殿から述べたもので、同党はビタル氏に非常に困惑しており、彼の法的活動の行方を監視するというものだ。また、サファ氏は、ヒズボラが彼の仕事を気に入らなければ、彼は解任されることになるだろうと語っている。
また、ヒズボラは、レバノンの与党勢力をテロ組織と見なしている米国に対しても脅迫メッセージを送っている。
ヒズボラの幹部であるハシム・サフィ・アルディン氏は「アメリカ人はレバノンの安全保障、政治、財政、経済に影響を与えている」と語った。「彼らはレバノン国家対し強硬で、我々の国家内に多くのエージェントを抱えている」
日曜日には、サフィ・アルディン氏はアメリカに対する態度をエスカレート。
「これまでのところ、我々は国家機構からアメリカを排除する戦いをしていない。しかし、もしその日が来て、我々がこの戦いに参加するならば、レバノンは新しい出来事の目撃者となるだろう」と、彼は党の支持者を前に語った。
政治アナリストによると、サフィ・アルディン氏の脅迫は、党の武器を処理して国家の武器だけを保持するようにという国際社会の要求を踏まえた上で、「軍事組織と治安機関」に向けられたものだという。
「サフィ・アルディン氏の言葉はヒズボラの支持者に向けられたもので、反対派へのメッセージではありません。なぜなら、国内の現権力者の勢力を脅かす必要はないからです」と学術研究者のハリス・スレイマン氏はアラブニュースに語った。
「彼らはすでにヒズボラに服従しており、誰かが脅す必要はないのです」
スレイマン氏は、そのわかりやすい例として、レバノンのナジーブ・ミカティ首相が先月、ヒズボラがイラン製の燃料を積んだトラックをレバノンに持ち込んだことに対し、何もアクションを取らなかったことを挙げた。
「ワフィク・サファ氏が司法宮殿でビタル判事を脅したとき、司法大臣は彼に反論し、サファ氏の発言は受け入れられないと言ったでしょうか?最高司法会議は、ヒズボラの幹部の発言に公式に異議を唱えたでしょうか?」とスレイマン氏は問いかけた。
「ヒズボラがレバノン軍を標的にする可能性があるのは、揺れる軍の指導者にとってそれが圧力となるからです」
「ヒズボラは、政治的批判者や、イランの占領について語る者を気にしません。それどころか、このような話はヒズボラの利益になります。なぜなら、ヒズボラは聴衆に、他の人たちがシーア派を標的にしており、彼らには党を支持する以外の選択肢がないことを伝えることができるからです」
日曜日の演説でサフィ・アルディン氏は、ヒズボラが「地域の均衡を保つために不可欠な存在となっており、レバノンは、地域の状況が変化したときに自らの立ち位置を見直す必要がある」と豪語した。
スレイマンは、この地域でのいかなる和解もヒズボラの犠牲の上に成り立つものではなく、この地域のパワーバランスが変化することはないと述べた。
「我々は時間をかけて核合意に向かっているかもしれないが、アメリカがそれをエスカレーションすることはないでしょう」と彼は語る。「そしてまた、イランがこの地域でエスカレートすることもありません。我々は、現状維持のままでしょう」
元レバノン内務大臣のアーメド・ファットファット氏は、サフィ・アルディン氏の言葉を、ヒズボラが長年行ってきたことの延長線上にあるものと考えている。
「ヒズボラは、自分に反対する者を反逆罪で非難する一方、イランから命令と資金を受けていることを認めています」とファットファット氏はアラブニュースに語った。
「これは憲法と祖国に対する裏切りではないでしょうか。ヒズボラは政治的に揺らいでいると思います。確かに戦略的なプロジェクトは持っていますが、彼らのレバノンにおける党は、一党独裁の論理に変わりつつあります。この論理は、そのままイランの占領を意味します」
ファットファット氏は、ヒズボラはイランから燃料を輸入することで、政治的・経済的環境全体を変えようとしていると語った。
「この党と対峙する真の国民戦線が確立されない限り、レバノンはイランの占領下に置かれるでしょう」とファットファット氏は語った。「主権を信じる勢力は現在散らばっており、どの政党も権限の一部を得ようとしています」
ヒズボラが地域にとって不可欠な存在になったというサフィ・アルディン氏の発言について、ファットファット氏は、ヒズボラが公の場で使う脅しのような言葉は、地域に起こりつつある変化を党が恐れていることを示していると述べた。
「彼らは、現在進行中のイラン側との国際交渉において、その犠牲になるかもしれません」と彼は言う。「ヒズボラは、自分たちが決定権を握っており、侮れない存在であると示したいと考えています」