
ベイルート: シリアのバシャール・アサド大統領のおじがフランスでの服役を免れるため、36年間に及ぶ亡命生活から帰国したと、親政府系のアルワタン新聞社が、8日、紙面で報じた。
アルワタン紙は、リファト・アサド氏(84歳)が、7日にダマスカスに到着したことをフェイスブックのページで伝えた。このほぼ1ヶ月ほど前、パリの控訴審は、リファト氏に対し、シリアでの公的資金の不正流用、横領した資金のマネーロンダリング、フランスで莫大な不動産ポートフォリオを構築し、不正な収益を得ていたなどの罪で、懲役4年を言い渡した一審の判決支持する判決を下している。
元シリアの副大統領を務めたリファト・アサド氏は、1971年から2000年までシリアの大統領であった兄のハーフィズ・アサド氏に対するクーデターに失敗し、1984年に亡命した。
アルワタン紙は、「リファト氏のフランスでの服役を避けるため、アサド大統領はこれまでのリファト氏の発言や行動を乗り越え、彼がシリアに戻ることを許している」と報じ、またリファト氏がいかなる政治的役割も担うことはないと付け加えた。
1982年にシリア中部の都市ハマーで起きた武装蜂起の鎮圧にあたったことから「ハマーの虐殺者」と呼ばれているリファト氏は、2014年からフランスで取り調べを受けており、さらに1984年から2016年の間に悪質な脱税やシリアの公的資金の不正流用などの犯罪を犯したとして裁判にかけられている。
パリの裁判所は、昨年6月、1984年〜1996年までの期間のリファト氏に対する告訴を棄却した一方で、1996年〜2016年の間にシリアの公的資金から横領した資金の組織的なマネーロンダリングに対して有罪判決を言い渡した。また同氏は脱税でも有罪判決を受けている。
先月、パリの控訴審は彼に対するこれらの判決を支持する判決を下した。
リファト氏が高齢であることを考えれば、フランスの刑務所で服役せずに済む可能性はあるが、一審で命じられた推定9千万ユーロ(1億600万ドル)相当の彼のフランスの不動産資産の没収は、今後進められてゆく。
彼のフランスの不動産資産には、パリのシックな街に建つタウンハウス2軒、種馬飼育場、約40のアパート、城などがある
またリファト氏とその家族は、スペインでも約6億9500万ユーロ相当の莫大な不動産資産ポートフォリオを構築していたが、それらはすべて2017年に当局によって押収されている。
AFP