
ベイルート:レバノンの武装組織ヒズボラの上級幹部で、航空史上最も悪名高いハイジャック事件に関与した一人としてFBIの最重要指名手配者リストに載っていたアリ・アトワ氏が死亡したとヒズボラは土曜日に発表した。アトワ氏は推定60歳前半で、死因はがんに関連した合併症だったという。
アトワ氏は2001年に、1985年のトランス・ワールド航空847便ハイジャック事件に関与したとされる他2名と共にFBIの10大最重要指名手配リストに掲載された。ギリシャのアテネで6月14日に始まったハイジャック事件は16日間続き、乗客のアメリカ海軍のダイバー1名が死亡した。
ハイジャック犯は、イスラエルに拘束されたレバノン人とパレスチナ人の解放を要求していた。
FBIはアトワ氏の逮捕につながる情報に500万ドルの報奨金を提示していた。アトワ氏の罪状は、人質の獲得、アメリカ人1名の殺害につながった航空機強奪、航空機内への爆発物設置などだった。
153人の乗客と乗務員(そのうちアメリカ人85人)が乗ったTWA847便は、アテネからローマに向けて離陸した後にハイジャックされた。
航空機はベイルートでの着陸を許可され、アメリカ人の女性と子ども合わせて19人が解放された。その後、航空機はアルジェリアまで飛行。アルジェリアでほとんどの人質を解放した後にベイルートに戻ってきた。
ベイルートでハイジャック犯は当時23歳のアメリカ海軍のダイバー、ロバート・ステッセム氏を意識を失うまで暴行した後に銃で殺害。再度アルジェリアに戻り、さらに人質を解放した後に、座席を確保できず搭乗に失敗し、アテネ空港で逮捕されていたアトワ氏の身柄を回収した。
ギリシャ当局は、アトワ氏の共犯者たちからより多くの人質を殺害すると脅迫され、アトワ氏を釈放した。アテネで釈放される際に鞄で顔を隠すアトワ氏の映像が残っている。
乗客の中にはギリシャの歌手、デミス・ルソス氏もおり、ベイルートで解放された。6月30日、残りの39人の乗客がシリアのダマスカスで解放された。
数日後、イスラエルは拘留していた数百人のレバノン人を解放した。
ハイジャック犯の1人、モハメッド・アリ・ハマディ氏は1987年に当時の西ドイツ、フランクフルトで逮捕され、ハイジャックとステッセム氏の殺害容疑で起訴された。ハマディ氏は終身刑の判決を受けたが、2005年に仮釈放されレバノンに帰国した。
土曜日、ベイルートでヒズボラによるアトワ氏の葬儀が行われた。
AP