
ワシントンD.C.:12日にアフガニスタンに関するバーチャルサミットを開催したG20の首脳らは、タリバン支配の同国が過激派の温床にならないようにすることや、人道的援助を提供することに「集中的に取り組んでいる」と、会議に関する米国の公式声明は発表した。
ジョー・バイデン米国大統領を含む世界の主要経済大国の首脳らは、国連や鍵を握る仲介国のカタールの代表者も加わる形で、「ダーイシュ・ホラサンの脅威に対するものも含め、我々の揺るぎない対テロ活動に集中し続けることが極めて必要であると議論した」と、ホワイトハウスの声明は述べた。
声明は、タリバンと激しく対抗するライバルで、この地域のダーイシュの枝分かれ組織について言及しており、同組織は最近、同国の新政権を不安定化させようと、死者の伴う攻撃を連続して実施している。
同組織は、シーア派のモスクで先週55人が亡くなった自爆テロの犯行声明を出している。
G20の首脳らはまた、外国人や、アフガニスタンからの出国を希望する、書類を持った「アフガンの協力者」に安全な移動手段を提供する必要性についても議論したと、米国の公式声明は述べた。
首脳らは、独立した国際機関を通じてアフガンの人々に直接人道的支援を提供すること、また「女性、少女、少数民族の人々を含む全てのアフガン人の基本的人権を促進すること」に力を注ぐことについても再確認した。
8月末に大混乱の中でアフガニスタンからの撤退を完了した米国は、「外交的、人道的、経済的手段を用いて、アフガニスタンの状況に対処し、アフガンの人々を支援する」ことに引き続き力を尽くしている。
イタリアのマリオ・ドラギ首相も12日、G20はアフガニスタンのタリバン政権との連絡を維持する必要があるが、それはカブールの政権が正式に承認されることを意味するものではないと語った。
アフガン問題に関するG20特別サミットの議長を務めた後、ドラギ首相は、中国の習近平主席やロシアのウラジーミル・プーチン大統領などの重要な首脳が出席しなかったとはいえ、バーチャル会議は成功だったと述べた。
「これはアフガン危機に対する初の多国間での対応となり…多国間主義が、難しさを抱えつつも、復活しつつある」と、ドラギ首相はビデオ会議後に記者団に語った。
参加者の間では、アフガニスタンの深刻化する人道的危機に対処し、貧困にあえぐ国の女性の地位を守る必要性に関して、参加者の間で満場一致の合意がなされたと、ドラギ首相は述べた。
「タリバンを巻き込まずに、アフガニスタンの人々を支援できる方法を見つけるのは、非常に難しい」と、ドラギ首相は語った。
カタールのアフガニスタン担当の外交責任者は、各国が同国の新たなタリバンの支配者と関わるべきだと述べ、孤立は不安定化と安全保障上の脅威の拡大につながる可能性があると警告した。
カタールのテロ対策・紛争解決調停担当のムトラク・ビン・マジェド・アル・カフタニ特使は、タリバンとテロとの戦いについて話し合ったと述べた。
タリバンは、アフガニスタンでますます動きを活発化させているダーイシュとその関連組織と戦い、同国がテロ組織に利用されないようにすることに力を注いでいると、同氏は述べた。
また双方は、社会における女性の役割、女子の教育へのアクセス、包摂的な政府の重要性などに関する喫緊の問題についても議論した。
「暫定政権であり、事実上のカブールの支配者であるタリバンに対して我々が申し上げているのは、差別と排除は…これは良い政策ではないということだ」と、アル・カフタニ氏が、ソウファン・センターがドーハで主催した世界安全保障フォーラムでの演説の中で述べた。
タリバンが暫定的なものに過ぎないとしている現在のアフガン政府は、国連のブラックリストに載っている人物を含むタリバンの人間だけで構成されている。
カタールは、8月15日のタリバンによる電撃的なカブール占拠後、米国が10万人以上をカブールから空路で輸送するのに極めて重要な役割を果たし、タリバンと米国間の直接協議を主催した。
* AFP通信、AP通信、ロイター通信を参照