
イスタンブール: 引退するドイツのアンゲラ・メルケル首相は土曜日、エルドアン大統領を最後に訪問し、批判と協力の両面を含むドイツとトルコの関係について、今後も継続することを約束した。
メルケル首相の16年の任期の間に、メルケル首相とエルドアン大統領は、トルコと西洋諸国との関係が不安定な中で、その危険性を乗り越え、複雑ながらも緊密な関係を築いてきた。
両者の個人的な絆は、2016年に欧州諸国が難民危機を管理するとともに、昨年には東地中海地域おける一触即発の緊張状態を鎮めるのに寄与した。
また、メルケル首相は、エルドアン大統領と米国との関係、トルコとフランスのマクロン大統領との関係に忍び寄る難題を解決した。
両首脳は、ボスポラス海峡を見下ろす大統領府の別荘で昼食をとり、プライベートな会話を行った。
メルケル首相は会談後、記者団に対し、「エルドアン大統領と一緒に仕事をした数年間、我々の協力関係は非常に良好だったと常に述べてきた」と述べた。
67歳のメルケル首相は、現在のトルコへの「助言」として、「新たに誕生するドイツ次期政権にもこれまでと同じことを期待してほしい」と述べた。
メルケル首相は、「トルコとドイツの関係は、前向きな面もそうではない面も含めて、今後も続いていくだろう。次期政権にもこれは引き継がれる」と語った。
エルドアン大統領は、メルケル首相の送別式のメディアイベントで、メルケル首相を「親愛なる友人」と2度言及した。
しかし、エルドアン大統領は、メルケル首相が引退し、先月行われた選挙の結果を受けて、新たな連立政権に正式に移行した後、トルコが自国の利益を促進することが困難になる可能性があることも示唆した。
エルドアン大統領は、「もし連立政権への移行がなければ、(ドイツと)トルコとの関係はもっと楽だったかもしれない。もちろん、連立政権と共に仕事をするのは簡単ではない」と語った。
2005年にメルケル首相が女性初のドイツの首相に就任した際、エルドアン大統領は、当時トルコの首相を務めていた。
それ以来、メルケル氏とエルドアン氏の間には、トルコにおける人権抑圧、シリアやリビアでの軍事活動など、さまざまな問題で多くの相違点があり、厳しいやりとりが繰り返されてきた。
しかし、ドイツは昨年、キプロスとギリシャが、領有権を主張する海域でトルコが天然ガスの採掘を始めたことに端を発した東地中海の危機の解決にも中心的な役割を果たした。
専門家らによると、メルケル首相がエルドアン氏の立場に同調したのは、ドイツに300万人ともいわれるトルコ系民族がいるからだという。
また、メルケル氏は、2016年に欧州連合(EUと)締結した協定に基づいてトルコに一時的に滞在している推定500万人の移民・難民について、トルコの利益がベルギーに尊重されない限り、これらの移民・難民を欧州に入国させるというエルドアン氏の脅迫にも敏感に反応している。
2015年に数十万人の難民をドイツに受け入れた後、メルケル氏は欧州諸国へのこのような大規模な移民流入の再発を防ぐため、トルコの役割を強調し、エーゲ海を渡ろうとする移民や難民の流れを食い止めるため、トルコとの取引に協力した。
ドイツ安全保障国際問題研究所のアナリスト、グンター・セウファート氏は、AFPの取材に対し、「メルケル氏とエルドアン氏の関係は、多くの点で非常に厳しいものであったが、両者は何とか協力関係を築き、これを維持してきた」と語った。
ドイツの新政権は、トルコとEUの間で締結された移民に関する協定の延長や、トルコへの武器売却(特に潜水艦)の継続について、より「懐疑的」になるだろうと、セウファート氏は予想している。
さらに同氏、「新首相が誰になろうと、欧州の対トルコ政策をアンゲラ・メルケル首相がこれまで行ってきたように調整することは難しくなるだろう」と語った。
AFP