
ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノン大統領府が29日に投稿したツイートによると、同国のミシェル・アウン大統領が、ロシアのアレクサンドル・ルダコフ大使に対し、巨大な爆発がベイルートの港を震撼させた2020年8月4日以降の同市の衛星画像の提供を要請したという。
この大規模爆発は、2014年から港に保管されていた約2750トンの硝酸アンモニウムと大量の爆発物に火が付いて発生した。この爆発により、215人以上が死亡、数千人が負傷し、レバノンの首都一帯が破壊された。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、1週間前、次のように発言した。「改めて、レバノンの人々にお悔やみ申し上げる…何年も前に硝酸アンモニウムが港に運び込まれ、保管されていた。私の知る限りでは、当局は利益が出る形での売却を希望していたようだが、必要な注意を払っていなかった」。
プーチン大統領は次のように付け加えた。「捜査の支援に関しては、率直に言って、衛星画像がどのように役立つのか理解できないし、衛星画像があるかどうかもわからない。しかし、照会をしてみて、何かが残っていて、捜査の支援を行えるのであれば、我々はそうするつもりだ」。
昨年の爆発の後、アウン大統領は記者団に対し、次のように述べた。「2つの可能性がある。爆発が、過失の結果起きた可能性と、ミサイルや爆弾による外部からの干渉によって起きた可能性だ」。
2020年10月、当時のハッサン・ディアブ首相は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領に、爆発前、爆発時、爆発後の港の衛星画像を要請し、イタリアにも同様の要請を行ったと述べた。両国とも、レバノンにこのような画像を提供する意思があるのか、公式には確認していない。
爆発事故捜査の主任調査官であるタレク・ビタール判事は、来年早々に判決を出す見込みだと、ある司法関係筋がアラブニュースに語った。
しかし、核によらないものとしては歴史上最大級となったこの爆発の捜査は、ビタール判事に対する中傷キャンペーンや有力な政治派閥からの反発の中、行き詰っている。
ビタール氏はこれまでに、ディアブ氏、アマル運動(ヒズボラの同盟組織)のアリ・ハッサン・カリル氏とガジ・ザイタル氏の両議員、ノハド・マクヌーク議員、ユセフ・フィニアノス元大臣、国家保安局長官のトニー・サリバ少将、総合保安機関長官のアバス・イブラヒム少将、元陸軍司令官のジャン・カーワジ大将など、政府高官、士官、判事など10人を爆発事故の一部責任があるとして告発している。
ヒズボラは、ビタール氏が捜査を政治的に利用しているとして非難しており、過失により数百人を死亡させ、数千人に怪我をさせたとして告発されている複数の政治家は、尋問で召喚されてもビタール氏の前に出頭することを拒否している。
最近では、ザイタル氏が、29日に予定されていたビタール氏との面談に姿を見せなかった。
8月25日、ビタール氏は港の倉庫で爆発前に行われていた溶接の再現を監督した。この再現実験には、関係者を代表する弁護士数人と、治安・司法当局者が多数出席した。気象局も出席し、爆発が発生した日の気象条件について助言した。
フランスとアメリカの当局者も調査に関わったが、その結果は機密扱いとなったままだ。
犠牲者の遺族や爆発の影響を受けた人々は、爆発から1年以上が経過しても、政府高官が誰一人として、平時としては同国最悪となったこの大惨事の責任を問われていないという事実に、ますます不満を口にしている。