
アンカラ:日曜日にローマで行われたジョー・バイデン米国大統領とトルコのエルドアン大統領との待望の会談では、NATOの同盟国であるトルコとの間で長年意見の相違があった、複数のトピックが取り上げられた。
バイデン氏は、トルコの同盟国としての重要性と米国との防衛パートナーシップに言及する一方で、トルコ国内に配備されているロシア製のS-400ミサイルシステムがNATOシステムに脅威を与えていること、特にロシア製ミサイルのさらなる購入が検討されていることに懸念を示した。
バイデン氏はまた、強固な民主主義制度と人権の尊重の重要性を強調したが、その具体的な人権問題の詳細については言及しなかった。ただ、この会談は、米国の特使を含む10人の在トルコ外国大使が共同声明の中で、収監中の慈善家オスマン・カワラ氏の釈放と欧州人権裁判所の判決の尊重を求めた数日後に行われている。
トルコ大統領府は声明の中で、今回の会談は前向きな雰囲気の中で行われ、両首脳は「トルコと米国の関係をさらに強化・改善する意思を表明し、それに応じて共通のメカニズムを立ち上げることで合意した」と述べている。
米国のNPO法人「ニューラインズ戦略政策研究所(New Lines Institute for Strategy and Policy)」のシニアアナリストであるキャロライン・ローズ氏はアラブニュースに次のように見解を述べた。「トルコと米国の間には限られた協力の余地はあります。しかし短期的には、両者の関係が実質的にリセットされたり、大幅な和解を経験したりすることはないでしょう」
さらに、トルコがS-400ミサイルシステムの2基目を購入しようとしていること、シリア北東部でクルド人勢力や米軍との緊張関係が高まっていること、カワラ氏をめぐる最近の外交問題の波紋を受けて、バイデン政権はアンカラとの関係に過度に依存することには躊躇しているだろうと付け加えた。
「トルコは、米国がアジアに軸足を移し、中東においてさらなる人員削減を行う中で、イランに対抗する有用なパートナーであることを主張し続けるでしょう。また、東地中海での緊張が緩和され続ければ、米国とトルコの限定的な協力関係が可能となり、関係強化への潜在的な扉を開くことになります」と彼女は述べている。
ワシントン研究所トルコ・プログラムのディレクターであるソネル・カガプタイ氏は、米国がトルコとの関係を軟化させた2つの理由を強調した。
「アンカラとワシントンの間で危機が起こるたびに、米国はアンカラを無視せず、NATOの内部にとどめておくことがコンセンサスになっています。ホワイトハウスは今回も同じ方針を取っています」と述べる。
トルコ議会は先日、イラクとシリアへの部隊派遣をさらに2年間延長する提案を承認した。これは先週、トルコのフルシ・アカール国防相と米国のロイド・オースティン国防長官の、地域の防衛・安全保障問題について電話会談を行った矢先のことである。
カガプタイ氏は、今回の会談が設けられたもうひとつの理由として、トルコがシリア北部で、米国が支援する「クルド人民防衛隊」の領土を弱体化させるための作戦を開始することが関連していると考えている。
「米政権は、このような侵攻の可能性の具体的な内容、そしてそれが起こった場合のメカニズムについて話し合うために、この会合の開催を進めたのだと考えます」と彼は言う。
「しかし、いくつかのエリアにおいては、作戦のために米軍がトルコ軍の邪魔をしないようにしなければなりません。どちら側も、米軍が危険な目に遭わないことを望んでいるでしょう」とカガプタイ氏は付け加えた。
一方、トルコは最近、ロッキード・マーチン社製のF-16を40機、さらに既存の戦闘機の近代化キットを80台購入することに興味を示しているが、この売却には米国議会の承認が必要である。
トルコはF-16を購入することで、S-400を購入したためにF-35戦闘機協同開発プログラムから排除される直前に支払った14億ドルを回収したいとも考えている。
バイデン氏は、トルコにF-16を提供する予定があるかどうかを尋ねられ「良い会話をする予定だ」と答えた。しかしカガプタイ氏は、このような取引は、S-400の取引をめぐって議会の抵抗を受けるだろうと考えている。
トルコとアメリカの国防代表団は今週、アンカラでF-35に関する会議を行ったが、専門家はこの問題がトルコとアメリカの関係を損なう可能性があると考えている。
「米国の政治システムには厳格な三権分立があり、議会ではこの重要な売却について反対の声が多数を占めている」とカガプタイ氏は述べている。
今回のバイデン氏とエルドアン氏の会談では、シリアの政治プロセス、アフガニスタンの人道支援、リビアの選挙、東地中海の情勢、南コーカサスの外交努力なども議題に上がった。
カガプタイ氏によると、バイデン政権はエルドアン氏との対話チャンネルを維持したいと考えており、特にアフガニスタンの首都カブールの発着便維持や空港警備への協力など、積極的な役割を果たすようアンカラに働きかけたいと考えているという。
バイデン氏、エルドアン氏は前回6月に会談し、トルコがカブール国際空港を確保・運営できるかどうかについて協議を行ったが、タリバン勢力によるアフガニスタンの急速な占領により計画は失敗に終わっている。