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米軍、シリア空爆で民間人多数殺害を隠蔽

攻撃作戦へと飛び立つ準備をする米空軍B-1Bランサーとその乗務員が写る2018年4月14日にカタール・ドーハのアル・ウデイト空軍基地より提供された画像。(ロイター)
攻撃作戦へと飛び立つ準備をする米空軍B-1Bランサーとその乗務員が写る2018年4月14日にカタール・ドーハのアル・ウデイト空軍基地より提供された画像。(ロイター)
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15 Nov 2021 03:11:56 GMT9
15 Nov 2021 03:11:56 GMT9
  • シリア民主軍(SDF)が激しい攻撃を受け、撤退させられる恐れがあったため空爆が実施され、またSDFから標的となる地域に民間人はいないとの報告を受けた、と米中央軍は主張している

フランチェスコ・ボンガルラ

ローマ:2019年にシリアでダーイシュと戦闘中であった米軍が空爆を実施した際に、最大64人の女性や子供を殺害し、それが戦争犯罪に当たる可能性がある、とニューヨーク・タイムズが土曜日報じた。

報道によれば、バグズ付近で2度続けて実施された空爆は、シリアにおいて地上作戦を担当する機密指定を受けた米特殊部隊の指示によるものだったという。シリアの米軍航空作戦を統括する米中央軍は今週になって初めて空爆の事実を認めたが、同時にそれが正当であったと主張している、と同紙は報じている。

土曜日に発表した声明において米中央軍は、空爆によってダーイシュ戦闘員16人と民間人4人を含む計80人が死亡した、とニューヨーク・タイムズに対して語ったことを繰り返した。女性や子供の戦闘員がいた可能性があるため、残る60人が民間人かどうか不明、と同軍は説明している。

土曜日の声明で同軍は空爆について「正当な自衛行為」であり均整のとれたもので、「民間人がいないことを確認するための適切な処置が取られていた」と主張している。

「無実の人の命が奪われることは大変遺憾であり、我が軍はそうした事態にならないようできる限りすべての手立てを講じる。今回のケースでは空爆について独自の報告がなされ、独自の証拠に基づいて調査が行われた。意図せずに奪った命についての責任はすべて負う」と中央軍の声明は述べている。

空爆当時の状況を撮影した動画に「武装した女性数名と少なくとも1人の武装した子供の姿が確認された」ため、死亡した60人に民間人が何人含まれるかは確定できなかった、と声明では説明しており、60人の大半は戦闘員であった可能性が高い、と付け加えられている。シリア民主軍(SDF)が激しい攻撃を受け、撤退させられる恐れがあったため空爆が実施され、またSDFから標的となる地域に民間人はいないとの報告を受けた、と米中央軍は主張している。

2019年3月18日に起きたこの事件について米国防総省の監察官が調査を開始したが、最終的にその報告書から爆撃に言及した部分は削除され、徹底した独立調査が実施されることは結局なかった、とニューヨーク・タイムズは報じている。

同紙の報道は機密文書や機密指定された報告書の概説、爆撃に直接関与した軍人への取材などに基づいている、という。

当時司令部にいた米空軍所属の弁護士が爆撃は戦争犯罪に当たる可能性があると指摘し、その後なんら処置が取られなかったため、国防総省の監察官および上院軍事委員会に報告した、とニューヨーク・タイムズは報じている。

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