Hazem Balousha ベツレヘム

• ベツレヘムの巡礼ルート「スターストリート」では、過去の栄光を戻すべく補修工事を行っている

パレスチナの多くのクリスチャンは、イエス・キリストが生まれたベツレヘムの町を訪れてクリスマスを祝うのを好む。

毎年、何十万人もの巡礼者がこの地を埋め尽くし、ナザレやエルサレムにも訪れる。

Najwan Saifiさんは「ほぼ毎年」クリスマスに姉 (または妹)、母親とベツレヘムを訪れている。

「私たちはこの街に来て、2～3日ホテルに泊まり、日々の生活や仕事のストレスから離れて、この素晴らしいお祝いの雰囲気を楽しみます」とSaifiさんは語った。

さらに「すべてのパレスチナ人がベツレヘムに来られる訳ではないので、ときどき悲しい気持ちになります。数千人がここを訪れたいと願っていますが、まだフェンスや壁があるため、多くの人が実現できていません。この侵略がいつかなくなることを願います」と述べた。

ベツレヘムの巡礼ルート「スターストリート」では、過去の栄光、つまり歴史的に重要な賑やかな通りに戻すべく補修工事が行われている。

ベツレヘムのダウンタウンは商業の中心地でもあるが、ほとんど人が集まらない。より有名な史跡、キリストが生まれた洞窟の上に建つ教会があるためだ。

ベツレヘムのアントン・サルマン市長は「私たちは140万人の観光客を見込んでいます」と述べ、団体客の数しかわからないため、人数はもっと増える可能性があると付け加えた。

いずれにしても、この見積もりは12ヵ月前から20％近く増加している。

「状況は良くなっています。今年は2018年より良く、2018年は2017年より好調でした。順調に増加しています」

ヨルダン川西岸のイスラエル入植地およびベツレヘムとエルサレムを分断する分離壁によって、市内へのアクセスは制限され、地元経済は打撃を受けている。

23のイスラエル人入植地がベツレヘム地区の21平方キロメートルを占領し、16万5,000人のイスラエル人入植者が暮らしている。

クリスマスイブの前、市長室が見下ろすベツレヘムのマンガー広間では、当局が中心部に新たに設置したイルミネーションツリーのそばで観光客がセルフィ―を撮って盛り上がっている。

ゲストハウスHosh Al-Syrianを経営するパレスチナ人のシェフFadi Kattanさんは、観光はクリスマスシーズンが終わっても続けるべきで、1年の残りの期間、観光客がベツレヘムに滞在したくなるような変更が行われるべきだと考えている。

「観光客はたいていベツレヘムに数時間しか滞在しないので、市の経済にとっては不十分です。ホテルに宿泊して長い時間滞在すれば、大きく変わるはずです」

ギフトショップのオーナーSaad Sabbaghさんは、クリスマスシーズンはベツレヘムの住民にとって書き入れ時で、経済回復のチャンスだという。

「問題もたくさんありますが、私たちはこのシーズンを働き時であり、世界中の観光客を受け入れる時期と考えています。観光客の数は今年すでに増加し、仕事も増えています」とSabbaghさんは言う。

5つの新しいホテルが建設中で、既存のホテルの中には拡張するところもある。市は降誕教会の開館時間も延長した。この建物は雨漏りする屋根、壊れた窓、汚れたモザイクを修理するため、2013年から大規模な修復を行ってきた。

今年、聖遺物 (飼い葉おけの一部とされる木片) がローマに移された11月29日に、約1,400年ぶりにローマ法王フランシスによって聖地に戻されることになり、現地のクリスチャンは歓喜した。現在、聖遺物は同教会で常設展示されている。

ホリデーシーズンにベツレヘムを訪れるのはキリスト教徒だけではなく、ヨルダン川西岸とイスラエルに暮らすイスラム教徒のパレスチナ人数千人も訪れることが見込まれる。

妻と2人の息子と休暇中のAhmad Najibさんはこう言う。「クリスマスの雰囲気は美しく、特にクリスマスイブのベツレヘムは最高に美しいです。私は家族と来て写真撮影を楽しみ、クリスチャンと互いに休日を分け合っています」