エルサレム:緊張状態が続くエルサレムの聖地への入口近くで21日、パレスチナ人がイスラエル人1人を殺害し、4人を負傷させた後、イスラエル警察に射殺されたと、治安当局が発表した。
治安当局によると、ユダヤ人にとっては「神殿の丘」、ムスリムにおいては「聖地」として知られる、論争の的となっている神殿の入口付近で当該事件が発生した。両宗教において聖なる行為と認識されている神殿付近での暴挙が、以前に起きたイスラエルとパレスチナ人とによる一連の戦闘の発端となった。最も最近の例としては、5月に大規模な戦闘が発生していた。
救急隊は、1名が重体、他の1名が重傷、3名が軽傷と伝えていたが、その後、エルサレムのハダサー病院が、重体であった1名が死亡したと発表した。救急隊によると、パレスチナ人の容疑者は現場で死亡が確認された。
治安当局は、軽傷を負った3名のうち2名は警察官であったと発表し、加害者について、東エルサレムに住む40代の男と特定した。オマール・バーレブ公安相は記者らに対し、銃撃を行った男は東エルサレムのシュアファット難民キャンプ出身の、ハマスの政治部門のメンバーで、男の妻は3日前にイスラエルを出国していたと伝えた。
武装組織・ハマスは声明において攻撃を称賛したものの、犯行声明を発表することまではせず、この攻撃を「英雄的な作戦」と称した。
“シオニストの占領者に対するあらゆる手段と道具を用いた我々の人民による抵抗は、我々の願う目的が成就し、占領者が我々の聖なる地や全ての土地から立ち退く日まで、正当であり続けるだろう」。ハマスのアブデル・ラティーフ・アル・キャノウ報道官がそのように述べた。
EUの次期駐イスラエル大使に任命されているディミター・ツァンチェフ氏はツイッターで、「エルサレム旧市街で起きた臆病な攻撃の被害を受けた方々」のことを思い、祈っていると述べ、「一般市民に対する無分別な攻撃」を非難し、「暴力は決して解決策にはならない」と記した。
21日の件は、歴史上重要なエルサレム旧市街で最近数日間に発生した2度目の類似事件となったが、銃を用いた攻撃は比較的稀だ。17日には、パレスチナ人の少年が、国境警備にあたっていたイスラエルの2名の警察官を刺した後、射殺された。
17日の事件では、刺された2名の警察官が病院に搬送され、警察により東エルサレムの16歳の少年と特定された容疑者は、現場において死亡が宣告された。
パレスチナ人はここ数年、イスラエルの民間人や治安部隊員を狙った、刃物や銃、自動車による攻撃を多く実行してきた。パレスチナ人や人権団体は、自動車を使った突入攻撃とされる事件の一部は事故であると主張し、過度に実力を行使したとしてイスラエルを非難している。
イスラエルは1967年の第3次中東戦争においてヨルダン川西岸地区、ガザ地区と共に、旧市街とキリスト教徒・ムスリム・ユダヤ教徒にとっての聖地を含む東エルサレムを占領した。その後、国際社会の多くが認めない手段によって東エルサレムを併合した。
パレスチナ人らは将来の独立国家のため、占領されているヨルダン川西岸地区とガザ地区とを奪還し、東エルサレムを独立国家の首都とすることを目指している。
AP通信