
ラーイド・オマリ
アンマン:ヨルダン、イスラエル、アラブ首長国連邦(UAE)の3カ国は23日、「水のためのエネルギー」プロジェクトの実現可能性について検討の開始を目指すとする宣言に署名した。
宣言についてヨルダン水道省のオマー・サラメ報道官は、今回の調印は「技術的にも法的にも”合意”ではない」とし、3カ国が2022年初頭に水とに関する巨大プロジェクトの実現可能性調査を開始することを意味するに過ぎないと述べている。
サラメ報道官はまた、資源の乏しいヨルダンはこのプロジェクトで年間2億立方メートルの水を受け取ることになっていると述べ、規定の水量を得られないならば合弁事業は実現しないだろうと付け加えたが、それ以上の詳細については言及しなかった。
同報道官は、ヨルダンは世界で最も水に恵まれない国のひとつであり、2022年には水不足が4,500万立方メートルに達すると予想されていると説明。また、ヨルダンの年間水資源量は一人当たり80立方メートル以下で、国際的な境界値である一人当たり500立方メートルを下回っていると付け加えた。
また、サラメ報道官によると、ヨルダンは1994年のイスラエル・ヨルダン平和条約(ワディ・アラバ平和条約)に基づいてイスラエルから合計3,500万立方メートルの水を得ており、さらに両国の和平協定外でも1,000万立方メートルの水を同国から得ているという。
ヨルダンは10月にイスラエルとの間で、和平協定および協定の定める水量の枠外でさらに5,000万立方メートルの水を購入する契約を締結している。ヨルダンは10月にイスラエルと和平協定の枠外で5000万立方メートルの水を追加購入する協定に署名し、水量に関して規定している。
米国のニュースサイト、アクシオス(Axios)は最近の報道で、3カ国が検討するプロジェクトは、ヨルダンの砂漠に大規模な太陽光発電所を建設し、クリーンなエネルギーを生成してイスラエルに淡水化した水の見返りとして販売しようとするものだと伝えている。
アクシオスによると、この太陽光発電所は、UAEの政府系代替エネルギー企業であるマスダール(Masdar)が建設する予定とのことだ。
計画では、プロジェクトは2026年までに太陽光発電所を稼働させ、2030年までにイスラエルのエネルギーの2%を生産するよう設計されており、イスラエルはヨルダン政府とマスダールに毎年計1億8,000万ドルを支払うことになっている。
アクシオスは、このプロジェクトの推進には米国のジョン・ケリー気候問題担当大統領特使の意向が働いていると報じている。
ヨルダンのニュースサイト、アモン(Ammon)によると、開催中のドバイ万博が話題を集める中、23日に今回の宣言に署名したのはヨルダンのムハンマド・ナジャール水灌漑大臣、UAEのマリアム・アル・メイリ気候変動環境相、イスラエルのカリン・エルハラ エネルギー相であった。
調印式にはケリー特使とUAEのスルターン・アル・ジャーベル産業先端技術大臣および気候変動担当特使も出席したとアモンは伝えている。