
ウィーン:外交官らは3日、2015年のイラン核合意の復活を目指すウィーンでの国際協議を中断し、欧州の参加者らは5日間の交渉を終え、「失望と懸念」を表明した。
「イラン政府は、何ヵ月もの大変な努力を経て作り上げた難しい妥協案のほぼ全てで後退している」と、いわゆるE3(英国、フランス、ドイツ)の上級外交官らが、4月から6月にかけて行われたこれまでの協議に言及しながら述べた。
協議の代表団は、それぞれの国の首都に戻ってから、来週半ばにウィーンで協議を再開し、「溝を埋められるかどうかを確認する」と、外交官らは述べた。
E3は「外交的な前進に引き続き全面的に取り組んでいる」と、外交官らは付け加えたが、「時間がなくなってきている」と強調した。
協議は、当初英国、中国、フランス、ドイツ、イラン、ロシア、米国の間で合意されたJCPOAとして知られる2015年の核合意の復活を目的としている。
この協定は、イランが核兵器を開発できないようにするため、イラン政府への制裁緩和と引き換えに、同国の核開発を抑制することを目的としていた。
イランは常に、核開発は平和利用が目的だと主張してきた。
核合意は、2018年に米国の当時のドナルド・トランプ大統領が合意から離脱して制裁を再強化したことで、イランが翌年に核開発プログラムの制限を超え始めることになり、崩壊し始めた。
トランプ氏の後任のジョー・バイデン大統領は、核合意への復帰を望むと述べており、米国は今週の協議に間接的に参加している。
2日には、米国は既に合意の見通しについて警告を発していた。
米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、「イランが軌道を反転させるのはまだ間に合う」としながらも、「協議の足を引っ張りながら、核開発プログラムを積み上げている現状を維持することは」できないと主張した。
イスラエルのナフタリ・ベネット首相は、ブリンケン長官との電話会談を利用して、イランは「核のゆすり」を行っていると非難し、核協議の「即時停止」を求めていた。
協議は、イランが超保守的なイブラヒム・ライシ大統領の選出を受けて6月に中断した後、29日にオーストリアの首都で再開されていた。
今週の協議の中で、イランは制裁解除と核関連の措置に関する2つの草案を提出した。
イラン代表団の責任者を務めるアリ・バゲリ氏は3日、通信社IRNAに対し、この提案は「合意に達するという我々の真剣な意志」の証だと述べた。
しかし、同氏は欧州各国から冷ややかに受け止められたことを認め、次のように付け加えた。「あなた方の考え方と一致する文書や提案を我々が提示していないのは普通のことだと申し上げた」
欧州の外交官らは、イランの提案に基づく「前進の道はない」と述べた。
協議は来週半ばに再開される可能性があるが、湾岸諸国訪問中に発言したフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、交渉官が再び召集されるまでにより長い中断が発生する可能性を示唆した。
ホセイン・アミラブドラヒアン外相は、EUのジョセップ・ボレル上級代表との電話会談の中で、協議は「全ての面でゆっくりではあるが」順調に進んでいると語った。
「我々は良い合意は可能だと考えているが、それにはある当事国のアプローチ変更が必要となり、同国はその脅迫的な言葉遣いをやめ、協力、相互尊重、結果に焦点を当てた合意文章を選択しなければならない」と、同外相は述べた。
3日の協議終了後に発言した中国の在ウィーン国際機関代表部の王群大使は、「全ての当事者が改めて非常に現実的な表現選びに取り組んだ」と述べ、より前向きな姿勢を示した。
同大使は、協議が行われているパレ・コーブルク・ホテルの外で記者団に対し、協議の休止が「交渉にさらなる政治的弾みを与える一助になる」ことを期待していると語った。
AFP