
アラブニュース
ロンドン:報道によれば、モサドのエージェントがイランの科学者に「反体制派を装い」、食料と偽って爆発物を施設内に持ち込み、自国の核施設を爆破するよう説得していた。
「Jewish Chronicle」によれば、イスラエルのエージェントは最大10人の科学者を説得し、核開発で中心的役割を果たす遠心分離機の9割を破壊して、ナタンツの核施設を損傷させた。
爆発物は食料運搬車両によって施設内に持ち込まれたり、ドローンで落下させて科学者に拾わせたりしたという。イランの反体制派を装い、爆発物を核施設への攻撃に使用するよう勧めていた。
この施設への攻撃は、イラン核施設に対するイスラエルの長年の妨害工作の1つに過ぎない。イランの核開発が進展するにつれ、イスラエルの妨害作戦も激しさを増している。
イラン核開発の主要な拠点であるナタンツ核施設は、イスラエルの諜報機関モサドが関係する攻撃を、これまでに少なくとも3回受けている。
他の事件としては、エージェントがドローンを使用して、遠心分離機製造企業のIran Centrifuge Technology Companyをミサイル攻撃し、開発の妨害を企てた例がある。
2015年に成立したイラン核合意からの米国の撤退を受け、近年、イランは原発用燃料など民生利用に求められるレベルを超えるウラン濃縮度の引き上げなど、核エネルギー開発を進展させてきた。
4月、イランはナタンツ核施設が攻撃された後、これをイスラエルの犯行と断定し、ウラン濃縮度60パーセントまでの引き上げを開始すると発表した。これにより、核兵器に必要とされる濃縮度90~95パーセントに更に近づくことになる。
今週、イスラエルにとっては苛立たしいことに、イランと米国は交渉に復帰し、米国と同盟国によるイランへの厳しい経済制裁を解除する見返りにイランの核開発を抑制するという交渉の妥結点を模索した。
だが、イスラエル当局は2日、米国に交渉の中止を直接呼び掛けた。
米国のブリンケン国務長官との電話会談で、イスラエルのナフタリ・ベネット首相はイランに対して取るべき「具体的手段」を求めた。
首相府の声明によれば、ベネット首相は、イラン政府は交渉戦術として「核による脅迫」を実行しているとし、「これには交渉の即時停止と主要国による具体的措置をもって応えるべきだ」と述べた。
さらに、ウィーンでの米国とイランの交渉中に国連が発表した、イランがフォルドの地下施設でウラン濃度を20パーセントに引き上げる、高性能遠心分離機による濃縮作業を開始したとする新たな報告についても懸念を表明した。
中東唯一の核保有国であるイスラエルは、イランの核兵器保有を決して容認することはないとしている。