
ウムアルファム(イスラエル):イスラエル当局によると、イスラエル北部のアラブ人居住区において、警官2名が負傷した車突入事件に関与したとされる男性を警察が射殺した。
この事件は、ウムアルファムで勃発していた対立住民間の武力衝突などの一連の暴力に引き続いて起きた。木曜日に、この町で男性が射殺された。銃声が鳴り響き、建物が燃やされる中、イスラエルの警察と消防がこの地域に駆けつけた。
これは、イスラエル当局がここ数ヶ月の間に発表した広範囲にわたる対策にもかかわらず、イスラエルのアラブ系居住地に起きている収まる気配のない暴力の連鎖の中で起きた事件だ。
金曜日の事件は、準軍事組織である国境警察が、スピードを上げて向かってきた車に発砲したことから始まり、車に乗っていた男性に致命傷を与え、もう1人を負傷させた。国境警察によると2人目の男性は治療を受けた後に逮捕され、2人の警官は軽傷から中程度の傷を負ったという。
車の中からは銃と弾薬が発見され、2人はここ数ヶ月ウムアルファムを揺るがしている暴力的な家族間の争いに関与している疑いがあるという。当局は、今回の暴走の動機は政治的ではないと述べている。
イスラエル国内のアラブ系の町では近年、組織犯罪や家族間の確執による暴力が大きくエスカレートしている。ユダヤ人とアラブ人の共存を推進するアブラハム・イニシアチブズ(Abraham Initiatives)によると、2021年に少なくとも117人のアラブ人が殺害されており、これは過去最高の数字である。アラブ人の犯罪率は、人口に占める割合の20%をはるかに超えている。
イスラエルのアラブ人は選挙権を持ち、そのほとんどがヘブライ語を流暢に話し、国内の大学や医療機関でも活躍している。しかし特に住宅に関して彼らに対する差別が蔓延する。
また、彼らは西岸地区やガザ地区に住むパレスチナ人と家族ぐるみの付き合いがあり、彼らの主張に同調している場合が多いことから、多くのユダヤ系イスラエル人は彼らを疑いの目で見ている。5月のガザ紛争では、イスラエル全土でユダヤ人とアラブ人間の暴力が発生した。
アラブ系の活動家たちは、警察が同地域の犯罪を黙認していると長い間非難してきた。イスラエル政府は近年、アラブ地域の法執行機関に対する予算の拡大など、さまざまな取り組みをアピールしているが、警察は地域の指導者がもっと努力すべきだと主張する。
イスラエルの現政権は8月、逮捕者を相次いで発表した際に、アラブ人居住地での犯罪に対する大規模な対策を約束した。これは今年、連立政権に初めて参加したアラブ派政党として歴史に名を残した小政党の中心的な要求であった。
イスラエルのナフタリ・ベネット首相は金曜日、警察への支持を表明し、治安の改善とアラブの指導者たちとのさらなる対話を求めた。
AP