
レイ・ハナニア
シカゴ:米国務省高官は、イランが核開発を制限する交渉を真剣に受け止めておらず、包括的共同行動計画の復活を核開発拡大の口実にしていると非難した。
また、土曜日に行われたアラブニュースなどの報道機関との電話会議で米政府関係者は、バイデン米大統領がイランの行為を「容認できない」と考えているものの、政府は厳しい措置や制裁の拡大ではなく、話し合いの再開に重点を置いているとした。
この5カ月半の間に、ウィーンでJCPOAの交渉担当者に「準備をしている」と言いながら、イランは濃縮ウランの容量と核戦力を倍増させる準備をしていたという。
「我々は5ヶ月半の間、辛抱強く待っていた。イラン政府は、JCPOAの遵守に向けて双方が復帰するための協議再開には時間が必要だと言っていたが、この1週間ほどで分かったのは、彼らにとっての『準備が整う』の意味するところが我々と違うということだった」と、ある関係者は語っている。
「彼らにとっては、特に挑発的な方法で核開発を加速させ続けていることを意味していたのだ。水曜日にIAEAが報告した彼らの最新の挑発行為は、まだ協議の途中にも関わらず、フォルドの施設での20%濃縮ウランの生産能力を倍増させる準備を進めるという行為だった。『準備する』とは、P5+1のすべてのメンバーが努力し、グロッシー事務局長とイランの間で前進する方法を見つけようとする建設的な努力にもかかわらず、IAEAを妨害し続けることを意味していたのだ」
P5+1とは、国連安全保障理事会の常任理事国である中国、フランス、ロシア、英国、米国の5カ国にドイツを加えた国々を指す。
イランは、非生産的な6回の会談において過去に到達した妥協点をすべて「撤回」し、一方でさらなる譲歩を求めているという。
「つまり、JCPOAの相互遵守を再開するための真摯な提案ではなく、JCPOAの枠組みを超えた課題を引き起こしてきたのである」と米政府関係者は話した。
ブリンケン米国務長官はこれまで、バイデン氏は「イランが核開発を加速し、核外交を遅らせるような状況は受け入れない」と述べてきたが、国務省は、イランに協議に協力するよう圧力を強化する計画はないと説明している。
同氏は、ウィーンでのJCPOA協議がいつ再開されるかわからないと述べ、「協議がいつ再開されるかよりもイランが真剣に交渉する準備をして真剣な態度で臨むかの方が我々にとってははるかに重要だ。もし向こうが真剣なら、我々も非常に真剣に対応するが、彼らにそのつもりがあるかどうかが問題だ。しかしこれまでのところ、ウィーンでのイランの核プログラムやIAEAとのやりとりを見ると、残念ながらそのつもりは無いようだ」。
国務省の担当者は、制裁に違反してイランの原油を購入している中国に関する質問を一蹴した。
「イランがJCPOAを破棄すれば、他の制裁措置が発動されるだろう」とだけ述べ、詳細については言及しなかった。
核兵器を大量に貯蔵しているイスラエルをバイデン氏が「落ち着かせる」必要があるか、またイランの活動が活発化した場合にイスラエルが軍事攻撃で対応する懸念について問われ、「我々の仕事は、イスラエルを落ち着かせることではない。我々の仕事は、共通の目的に向かって協力することだ。イスラエルは主権国家であり独自の意思決定を行うが、我々は共に行動することでより強くなると考えている」と答えた。