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国連、スーダン合意を「慎重に歓迎」 クーデター後の信頼失墜の中で

10月25日に起きた軍によるクーデターでは、ハムドゥーク首相をはじめとする政府高官や活動家が逮捕され、国中で抗議運動が引き起こされた。(AFP/資料)
10月25日に起きた軍によるクーデターでは、ハムドゥーク首相をはじめとする政府高官や活動家が逮捕され、国中で抗議運動が引き起こされた。(AFP/資料)
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11 Dec 2021 06:12:13 GMT9
11 Dec 2021 06:12:13 GMT9
  • フォルカー・ペルテス大使は、11月21日の合意は「完璧にはほど遠い」としながらも、さらなる流血を避け、秩序の回復へ向けた第一歩となりうるとした
  • ペルテス氏は、国内ではクーデターに「裏切られた」と感じている多くの人々が合意に反対していることも指摘した

エフレム・コサイフィ

国連は、スーダンにおいて、アブダッラー・ハムドゥーク首相と10月に起きたクーデターの首謀者との間に合意が成立したことを慎重に歓迎した。

金曜日に行われた国連の最新報告書についての会合で、国連のスーダン担当特別代表であるフォルカー・ペルテス氏は、安全保障理事会に対し、今回成立した合意は「完璧にはほど遠い」ものの、さらなる流血を避け、包括的な対話と憲法上の秩序の回復に向けた最初の一歩を踏み出すのに役立つだろう、と述べた。

しかしその一方で、スーダン内の多くの関係者がこの取引に対し強く反発していることも指摘した。それはクーデターに「裏切られた」と感じている「自由と変革のための勢力」連合内の政党・団体、レジスタンスの委員会、市民社会組織、女性団体などだ。

「今後、政府の樹立、高官の任命、移行機関の設立などの決定が行われるが、対立を避けながら危機を脱するためには、関係者の意志力と能力が試されるだろう」とペルテス氏は述べた。

10月25日の軍によるクーデターではハムドゥーク首相をはじめとする政府高官や活動家が逮捕され、国中で抗議運動が引き起こされた。政治体制の変革の只中にあるスーダンが今直面しているのは、「これまでで最大の危機」である、とペルテス氏は表現した。

クーデターは「軍部と文部の間に、また文部の内部においても、より深い不信感をもたらした」とペルテス氏は安保理に語った。

国連によると、スーダンの治安部隊が平和的デモ参加者を鎮圧するために殺傷兵器を使用したことで、少なくとも44人が死亡し、数百人が負傷している。

ペルテス氏は、このような状況下にもかかわらず、デモ隊が「革命を取り戻し、民政を実現させる」ために大規模なデモを組織し続けていることが、危機を深刻化させていると述べた。

彼は、軍の指導者たちに対し、主権評議会への民間人の任命を含む、クーデター後に行ったすべての一方的な決定を撤回するよう、改めて求めた。

ペルテス氏はまた、クーデター当日において首謀者のアブデル・ファッタフ・アル・ブルハン将軍によって宣言された非常事態は今なお続いていることに触れ、「包括性とコンセンサスの欠如は、さらなる分断を引き起こす可能性がある」と警告した。

さらに同氏は、テクノクラシー内閣の設置を定めた11月21日の合意について、政治体制の移行を進める一歩となりうる一方で、「自由と変革のための勢力との協議に基づいたものでなければ、憲法上の問題が生じる可能性がある」と忠告した。

「スーダンの軍部と政治部のリーダーはまず、国内の一般市民、特に若い世代との信頼関係を回復しなければならない」と述べ、スーダン当局は国際社会からの財政的、経済的、政治的な支援を取り戻す努力も行わなければならないと付け加えた。

そのためには、すべての政治犯を釈放し、恣意的な逮捕を止め、平和的抗議の権利を保証し、デモ参加者に暴力を振るった者を裁く必要があることを同氏は繰り返し述べた。

また同氏は、スーダンが国際社会からの信頼を回復するための重要な道筋として、首相が自由にテクノクラシー内閣を組めるようにすること、非常事態宣言を解除すること、報道の自由を回復することなどを挙げた。

その一方でペルテス氏は国際社会に対しては、スーダンに対してバランスのとれたアプローチをとり、スーダンへの援助を長期に渡って遮断しないよう求めた。

「クーデターの余波を受けて、援助国が国際開発援助の停止を決定したことは、スーダンの人々の生活に大きな影響を与え、苦労して得た過去2年間の成果をふいにしてしまうおそれがある」と同氏は述べた。

同氏はまた、スーダン当局に対し、女性が有意義に政治プロセスへ参加できるよう保証することを求め、「スーダンの女性たちからのメッセージは明確だ。苦闘の末に獲得した女性の権利を後退させることは許されない。この点についてスーダンは国際社会の支援を求める側だ」と述べた。

 

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