
ナジア・ハウサリ
ベイルート―フランスは11日(水)、危機に瀕しているレバノンによる「有効かつ信頼ある」政府の樹立を支援することに特化した国際支援団(ISG)会議を主催する。
レバノンのミシェル・アウン大統領はレバノン担当の国連特別コーディネーターであるジャン・クビス氏に対し、同国の公式代表団がパリで開かれるISG会議に出席する予定だと伝えた。
レバノン議会のヒズボラ議員連合の代表であるモハマッド・ラアド氏は、この状況への解決策を見出すためには「1~2ヵ月かかる」可能性があると述べた。だが同氏は、「我々は、妥協する用意はあるものの、国家の尊厳や完全性を犠牲にした妥協はしない」とも付言した。
ISGのパリ会議は、レバノンの新首相を指名する議会審議が延期された後、レバノンが直面した政治的な不透明性が深化する中で開かれることになる。
実業家のサミール・ハティブ氏は8日(日)、次期首相候補に名乗りを上げることを撤回し、代わりに現在の暫定首相であるサード・ハリリ氏による新政府樹立を後押しすると発表した。
仏外務省は、11日の話し合いは「レバノンの国際コミュニティに対して有効かつ信頼ある政府の樹立を求めるものになるだろう」と発表した。
アウン大統領のメディア室によると、同大統領は会議について、「特にレバノンの脆弱な経済状況の下で、ISGの加盟国の支援を正しく解釈した結果をもたらすよう望んでいる」としている。
クビス氏はアウン大統領に対し、会議は「ISG加盟国によるレバノン支援への深い関与を反映したものになるだろう」と述べた。
この間、ハティブ氏は、レバノンのスンニ派最高権威の大ムフティー・シャイフであるアブドルラティフ・ドリアン氏を訪問した後、首相候補入り撤回の決断を下した。ドリアン氏はハティブ氏に対し、ハリリ氏を首相に指名することで合意に達したと告げていた。ハリリ氏は、政府の腐敗や経済悪化をめぐる街頭での抗議行動が広がる中、1ヵ月前に首相を辞任した。
ハリリ氏は、専門家で構成する新政権のみを率いると述べた。一方、アウン大統領は、自由愛国運動(FPM)、ヒズボラ、アマル運動とともに、テクノポリティカル(技術政治)政府の樹立を主張しており、これに対して抗議デモが展開されていた。
レバノン議会のナビーフ・ビッリー議長は、ハリリ氏が率いる暫定政府に対し、新首相が任命されて国際的な理解を得られるまで、十分に政権としての責務を全うするよう要請した。
しかし、ラアド氏は次のように話した。「状況は変わった。我々は今後、政府の問題に対する解決策を見出す。 1~2ヵ月はかかるかもしれないが、解決策を見出せるだろう。問題の解決は、我々が政府を樹立するかどうかではなく、主に経済状況にかかっている」
「我々は、レバノン政治を他国に依存させるような条件について、話し合うことはない」
抗議活動の参加者は、専門家による政府を望んではいるものの、ハリリ氏の指名をめぐっては立場が分かれている。
公共問題の専門家で活動家のワリド・ファハルディン氏はアラブ・ニュースの取材に対し、次のように述べた。「現在の市民運動は、専門家による独立した政府を求めている。ハリリ氏は、政治的支配階級から独立していない」
ファハルディン氏は、現在の政治状況は「我々が関与していないレバノンの政治闘争の内部で行われている操作」であり、「市民運動の参加者たちは、この政府内の革命の代表者を支援することは拒否している」と述べた。
「市民運動は、現行の政治的支配階級から独立した首相を求めて行われている。キリスト教ファランヘ党の代表は昨日、政権を率いる人物として、前国連大使であり、現在は国際司法裁判所の裁判官を務めているナワフ・サラム氏の名をあげている。サラム氏は有能であり、我々としても受け入れられる人物だ」。活動家のジア・アブデル・サマド博士はこう述べて、次のように続けた。
「しかし、受け入れがたいのは、15年前の政権獲得とアウン大統領の選任以降、この国を主導することに失敗してきた政党のメンバーが政権を樹立することだ」