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イエメン内戦長期化の原因はイランの武器横流し、米国連大使

アメリカ海軍は、2021年12月にイランを出港した船から1400丁を超える突撃銃と22万6000発の弾薬を押収した。(アメリカ中央海軍司令部)
アメリカ海軍は、2021年12月にイランを出港した船から1400丁を超える突撃銃と22万6000発の弾薬を押収した。(アメリカ中央海軍司令部)
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13 Jan 2022 08:01:07 GMT9
13 Jan 2022 08:01:07 GMT9
  • イランによる武器密輸は国連禁輸措置に対する重大な違反行為、とリンダ・トーマスグリーンフィールド大使が発言
  • UAE国連大使、フーシ派は「覇権的な下心とは無縁な」政治的解決しか受け入れられないことを理解せねばならない

エフレム・コサイファイ

ニューヨーク:イエメン・マアリブ県でのフーシ派による攻勢に火を注いでいるのはイランによる「武器の横流し」だ、と12日にアメリカのリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使が述べた。

安全保障理事会にて大使は「国際社会は和平を求めるが、和平を妨げる行為を非難することを躊躇してはならない」と述べ、フーシ派による戦闘拡大で「和平の芽が摘まれている」と発言した。

彼女はこう付け加えた。「つい先月、米海軍がイランを出港した船から1400丁を超える突撃銃と弾薬22万6000発を押収したばかりです。

「この船が進んでいたのは、以前からフーシ派に対する違法な武器密輸に使われていた航路です。イランによるフーシ派への武器横流しは国連の武器禁輸措置に対する重大な違反行為で、イランによるかく乱行為がイエメンの内戦を長引かせていることを示す数多くの事例の1つです」

安保理では大使の発言に加えて、フーシ派が攻撃を止めないため死者や難民が発生しており、サウジアラビアを攻撃し、海の安全を危険にさらす「海賊行為」を働いているとの非難の声が、各理事国から上がった。

国連のイエメン担当特使を務めるハンス・グルンドベルグ氏は、イエメン内戦の最新動向に関する安保理へのブリーフィングにて「戦場にとどまったままでは、長期的な解決策は見つからない」と繰り返し述べ「紛争の各当事者は武器を収める気がなくとも、話し合うことは可能で、そうすべきだし、必ずそうしなければならない」と述べた。

グルントベルグ特使は、ここ最近紛争が拡大している現状について「イエメンで何年にもわたり見られてきた中で最悪の状況で、民間人の生活にますます犠牲が出ている」と述べた。

フーシ派にはマアリブ県への攻撃をやめる気などなく、サウジアラビアに対する攻撃も増加していると、特使は述べた。特使は紛争の全当事者に対し「国際人道法にて定められた義務を尊重・遵守し、民間人を保護して公共インフラの民生用機能を破壊しない」よう求めた。

グルントベルグ特使は、紛争が新たに拡大しつつあるとみられる現状を嘆いて「民間人の生活や早期の和平実現に対する見通しは絶望的だ」とし、さらに「マアリブ県以外でも、戦闘が拡大しかねない状況だ」との懸念を表明した。

特使は、UAE船籍の貨物船がフーシ派により最近拿捕されたこと、さらにサナア県とマアリブ県で国連職員の身柄拘束が続いている点を特に強調し、フーシ派に対し身柄拘束中の職員への面会を即刻許可するよう求めた。

紛争激化により、すでに厳しい制限がかかっていたイエメン国内の人や物の異動もさらに困難となってしまっている、とグルントベルグ特使は述べた。ホデイダ港が多くのイエメン人にとりライフラインであることを考えると、軍事目的で使われているという事実は「気掛かりだ」と付け加えた。

現地では事態が悪化しているが、和平実現に向けた取り組みは継続していると特使は述べ、自らが全当事者との協議を強化する計画について語った。

「多くの戦争と同様、イエメン内戦においても各当事者がブレることにより失われた和平実現のチャンスが転がっている。彼らは形勢が不利すぎて和平案を飲めないか、有利過ぎて和平案など承知できないという調子だ。

「イエメンを持続的に新たな軌道に乗せるには、真の政治的意志・責任あるリーダーシップ・そして全国民の利益を順守する姿勢が必要だ」

国連の緊急援助調整官代理を務めるラメシュ・ラジャシンガム氏は安保理に対し、ジャウフ・マアリブ・シャブワの各県で先月激しい衝突が起き、1万5000人が避難を余儀なくされたと述べた。ラジャシンガム調整官代理は、民間人358名が死傷したと述べ、これは「3年ぶりの数値」だという。

調整官代理は「安全かつ予測可能な形でイエメンに出入国できるルート」確保の必要性を繰り返し強調し「援助活動とスタッフの安全をあえて損なう」妨害行為として、フーシ派が人道支援目的の飛行機のサナア空港利用を12月に停止したことを指摘した。航空便の一方的な停止は控えるよう、フーシ派に呼びかけた。

アラブ首長国連邦(UAE)のラナ・ヌッセイベ国連大使は、フーシ派が敵対行為をやめ、イエメン国民に対する度重なる人権侵害を終わらせなければ、イエメンの状況が進展することはないと述べた。

「フーシ派は、覇権的な野心とは無縁な、政治的な解決策にしか道がないことを理解しなければなりません」と彼女は述べ、フーシ派によるドローンや弾道ミサイルを使ったサウジアラビアへの攻撃は「重大な国際法違反です」と非難した。

アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は、イランによるフーシ派への武器横流しを非難するのに加え、安保理でこう語った。「フーシ派のやり口で目立つのは、彼らが常に暴力に訴えているという点です。レイプなどの性的暴力・恣意的な身柄拘束・暗殺の対象には、女性の政治家や職業人も含まれています。これは不道徳の極みです。

「アメリカは、全当事者によるあらゆる人権侵害や性的暴行を明確に非難します。イエメンでの人権侵害や虐待に対する説明責任を明確にするよう、引き続き注力していきます」

大使は、度重なる安保理の非難声明をよそに、フーシ派が閉鎖された米国大使館の敷地を占拠し、イエメン人職員に対する身柄拘束や嫌がらせを続けていると付け加えた。

「フーシ派は、直ちにアメリカ大使館のイエメン人職員を全員無傷で解放し、敷地内から立ち退き、押収したアメリカの資産を返却し、職員やその家族に対する脅迫行為をやめなければなりません」とトーマスグリーンフィールド大使は述べた。

さらに彼女は、UAE船籍の民間船舶「ラワビ号」をフーシ派が拿捕したことを非難し、船と乗組員を即刻解放するよう求めた。

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