
ガザ:パレスチナ人のジヤド・アブ・ウダ氏は、昨年5月の激しい戦闘の際にイスラエルの空爆で破壊された、ガザのビーチ難民キャンプにある4階建ての自宅が徐々に再建されていく様子を笑顔で眺めていた。
ウダ氏は数少ない幸運な人の一人だ。ガザの過激派とイスラエルの間で行われた11日間に及ぶ戦争で破壊された家屋1,650戸のうち、再建中であるのはわずか50戸だ。紛争が終結して8か月が経過したが、復興ペースの遅さにパレスチナ人の間で不満が高まっている。
アブ・ウダ氏(60)は、「事態が動き出し、心が軽くなってきたようです。6、7カ月後には、子供や他の家族と一緒に自宅に戻れます」と、建設作業員が1階部分に最後の仕上げを施している時に語った。
アブ・ウダ氏の親族一同は総勢50人で、紛争後は4軒の家に分かれて暮らしている。
ガザ当局の推定では、戦争で破壊された家屋やインフラの再建に4億7900万ドルかかる。カタールとエジプトは、過激派集団ハマスが管理するガザ地区の復興にそれぞれ5億ドルを拠出することを約束している。
ガザのナジ・サルハン住宅副大臣によると、これまでに提供を受けた額はわずか1億ドルで、カタールの資金によって、破壊された1,650戸のうち50戸の家屋で再建が始まった。サルハン氏はイスラエルの圧力に言及したが、詳細は明らかにしなかった。
サルハン氏はロイターに、「イスラエルの占領者が政治的圧力をかけて、障害を作り出しているのは明らかだ」と語った。
イスラエル国防省のパレスチナ連絡事務所であるCOGATにコメントを求めたが、回答はなかった。
ガザへの主要な商業交差点を管理しているイスラエルは、ハマスに拘束されているとみられる2人のイスラエル人民間人と2人のイスラエル軍兵士の遺体の引き渡し取引を達成することが復興につながると述べている。
しかし、最近、イスラエルは、過激派との緊張を緩和させようと試みて、昨年の戦争の際に破壊や損傷の被害にあった家屋を再建するための建築資材をガザに運び込める数量を増やすことを認めた。
サルハン氏は、建設プロセスの支援がカタール、エジプト、国連に限られており、より幅広いアラブ諸国からの支援や国際的な支援がない点も指摘した。
「復興プロセスは緩慢としており、私たちの希望を満たすものではない」とサルハン氏は述べた。
ガザのハマス政府によると、紛争の際にイスラエルの空爆によって他に家屋5万9千戸が一部損壊した。イスラム原理主義組織ハマスや仲間の過激派集団が発射したロケット弾で、イスラエル領内の家屋も破壊された。
ガザ地区の人口200万人の3分の2に援助を行っている国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)も、破壊された難民の家屋の修復を支援している。
エジプト政府が資金拠出する3つの大型住宅プロジェクトの1つ目として、ガザ地区北部でエジプトのブルドーザーと技術者が作業を開始した。
サルハン氏によると、エジプトによる「都市」にはほぼ4千世帯が住むことになるという。建設作業の完了時期は定まっていない。
同氏によると、これらの都市は、低所得者や困窮者の他、紛争で自宅を失った人の一部が対象になるという。
ロイター