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イスラエル国防軍副長官から転身した議員が、同国の入植者批判を展開する

ゴラン氏は元イスラエル国防軍副長官で、現在は左派政党メレツの党員として、パレスチナ人に対する入植者の暴力に対し繰り返し声を上げている。(ファイル/AFP)
ゴラン氏は元イスラエル国防軍副長官で、現在は左派政党メレツの党員として、パレスチナ人に対する入植者の暴力に対し繰り返し声を上げている。(ファイル/AFP)
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22 Jan 2022 12:01:51 GMT9
22 Jan 2022 12:01:51 GMT9

エルサレム:イスラエルのヤイール・ゴラン退役将官は、ユダヤ人入植地を保護するため、その軍人としてのキャリアの大部分をヨルダン川西岸地区で過ごした。そして今、彼は入植地問題を最も声高に批判する人物の一人となっている。

ゴラン氏は元イスラエル国防軍副長官で、現在は左派政党メレツの党員として、パレスチナ人に対する入植者の暴力に対し繰り返し声を上げている。

暴力的な入植者を「人間以下」と表現するなど、彼の発言は危ういバランスで成り立つイスラエルの連立政権を震撼させ、反対派は彼に過激派のレッテルを貼っている。彼は、制服を着ていたときや影響力のある立場にいたときには発言をせず、引退後にはイスラエルの50年にわたるパレスチナ人への軍事的支配に警鐘を鳴らす、元治安担当者たちの仲間入りをしたのだ。

「支配されたくない人々を支配している限り、自由で民主的な国家は成立しません」。ゴラン氏は今週、クネセト(国会)にある彼のオフィスでAP通信のインタビューに応じ、こう語った。「私たちはここで、長期的にどのような民主主義を築いていくのでしょうか」

占領がほぼ事実上認められ、入植者が権力者に近い立場で自分たちの主張を押し通すことに成功している社会の中で、ゴラン氏は批判的な声を上げる稀有な存在として登場した。イスラエルの国会議員のほとんどは、入植推進派の右派に属している。

59歳のゴラン氏は長い軍歴を持ち、レバノンで負傷した後は、北方司令部やヨルダン川西岸地区の司令官などの要職を歴任した。

その過程で、彼は時折、自分を窮地に追い込むような決断をする破天荒な人物として評価されてきた。ある時は、西岸のヘブロンから入植者を追い出すため、無許可の作戦を進めたこともあった。また、最高裁が禁止している、戦闘時にパレスチナ人の非戦闘員を人間の盾として使用することを許可したため、叱責され、昇進が延期されたこともある。

その一方、内戦で負傷した何千人ものシリア人が治療のためにイスラエルに入国することを許可したことが評価されている。

国防軍副長官時代には、現代イスラエルのファシズム的傾向をナチスドイツになぞらえた後、トップの座を奪われている。彼は、このスピーチが自分の地位を奪ったと考えている。

引退から数年後、彼は国会議員に当選、最終的にパレスチナの国家化を支持する政党であり、ナフタリ・ベネット首相が率いる現在の連立政権の一員、メレツ党に参加した。

メレツは、イスラエルの占領を終わらせることを最優先事項とする数少ない政党のひとつである。しかし、自らの安定性を維持するため、より対立の少ない問題に焦点を当てることに合意した連立政権に参加して以来、党員のほとんどが、その批判の声をトーンダウンしているように見受けられる。

ゴラン氏はそうはならなかった。彼は今月初め、西岸パレスチナのブルカ村で墓を破壊した入植者を非難し、大炎上を巻き起こした。

「彼らは人間ではなく、人間以下の存在です」とゴラン氏はクネセト・チャンネルに語った。「彼らにはいかなる後ろ盾も与えてはなりません」

この発言は、元入植者のリーダーであるベネット氏を怒らせ、連立政権内の他のメンバーからも批判を受けた。

ゴラン氏は、言葉の選択に問題があったことを認めた上で、発言の精神は変わらないと述べた。

「私が使った表現が問題なのでしょうか。それともブルカを訪れ、墓を壊し、物を壊し、罪のないパレスチナ人を襲う人たちが問題なのでしょうか」

このような発言により、彼は極右民族主義者たちが言うところの、ヨルダン川西岸地区でのイスラエルの役割に異議を唱える危険な勢力の象徴となっている。パレスチナ人は、1967年にイスラエルに占領されたこの地域を、将来の独立国家の中心地として求め続けている。

イスラエルの保守的な左派も、西岸地区での軍の活動を擁護し続けるゴラン氏を受け入れることには躊躇している。

ゴラン氏は、パレスチナ人武装勢力との戦いを自らの主な任務としており、入植者の多くは法を守る市民であると信じ続けている。国際社会は、すべての入植地を違法または不法と見なしており、パレスチナ人や多くのイスラエル左派の人々は、軍は不当な占領の執行者であると見なしている。

ヨルダン川西岸地区での政策に反対する元イスラエル兵のための内部告発団体「ブレイキング・ザ・サイレンス」は、入植者の暴力に対して、言葉だけでなく行動を起こすよう呼びかけている。

「ヤイール・ゴラン氏は、入植者の暴力がどのようなものか、またパレスチナ人に対する我々の暴力的な支配がどのようなものかをよく知っています。だからこそ、彼の批判は価値があるが、それだけでは不十分です」と声明を発表した。

ゴラン氏は、イスラエルによるパレスチナ自治区への支配は常に一時的なものだと考えているという。彼は、パレスチナ人から分離することこそ、イスラエルをユダヤ人が多数を占める民主的な国家に保つための唯一の方法だと述べている。

2006年、ゴラン氏はパレスチナ人の私有地に建設されたヨルダン川西岸の入植地「アモナ」の暴力的な立ち退きを指揮した。

「ユダヤの価値観を持つ人間が、他人の土地を盗むことを支持するという考えを、私は受け入れることができません」

ここ数カ月、ヨルダン川西岸地区における入植者とパレスチナ人の間の暴力事件が頻発する中、入植者が暴れているのを兵士が傍観している映像が出回っている。ゴラン氏は、自分の指揮下ではそのようなことを許すことはなかったと語った。

「この人たちはイスラエルの本質を受け入れず、自分たちに都合のいいときだけ法律を尊重するのです」と彼は語った。

入植者に関する発言で彼が体制側の怒りを買うのは初めてではない。イスラエルのホロコースト記念日を祝う2016年のスピーチで、当時国防軍副長官だったゴラン氏は、イスラエル社会でナチス時代のドイツのファシズムを思い起こさせる「吐き気を催すプロセス」を目撃していると述べた。

この発言は、パレスチナ人襲撃者を兵士が撃ち殺したことに端を発しているという。この兵士は、当時の首相ベンジャミン・ネタニヤフ氏をはじめとする国家主義的な政治家に支持されていた。ゴラン氏は、この銃撃は死刑執行に他ならないと語った。

ゴラン氏はデスクの横に、ネタニヤフ氏がエルサレムの裁判所で行われた汚職裁判に出廷し、リクード党の支持者に囲まれて警察や検察に暴言を吐いている写真を置いている。

この写真は、自分が何と戦っているのか、そして何のために戦っているのかを思い出すために飾っていると、ゴラン氏は言う。

「私は何年も制服を着て国に仕え、実際に人生を捧げました」とゴラン氏は語る。デスクの写真を指し、彼は続けた。「数え切れないほど命を危険にさらしたのは、彼らのためではありません」

AP

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