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新型コロナウイルス感染症という雲に覆われるなか新年を迎える世界

2022年1月1日の花火ショーでシドニーを象徴するハーバーブリッジとオペラハウスの上を花火が彩る。(AFP)
2022年1月1日の花火ショーでシドニーを象徴するハーバーブリッジとオペラハウスの上を花火が彩る。(AFP)
魚眼レンズを通してドバイのブルジュ・ハリファの下で大晦日の花火ショーの開始を待つ人々を写した画像。(AFP)(AFP)
魚眼レンズを通してドバイのブルジュ・ハリファの下で大晦日の花火ショーの開始を待つ人々を写した画像。(AFP)(AFP)
12月31日、1年最後の日没を前にしてガザ市に沿った浜辺の砂に「2022」と暦を記す女性。(AFP)
12月31日、1年最後の日没を前にしてガザ市に沿った浜辺の砂に「2022」と暦を記す女性。(AFP)
1年最後の夜、日没後のガザ市で自家製の線香花火を振り回す男性。(AFP)
1年最後の夜、日没後のガザ市で自家製の線香花火を振り回す男性。(AFP)
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01 Jan 2022 08:01:54 GMT9
01 Jan 2022 08:01:54 GMT9
  • 2021年は世界人口の6割程の人々に対して人命を救うワクチンが提供可能となり、希望と共に始まった
  • 年も終わりに迫り、オミクロン株の出現で新型コロナウイルスへの1日の感染者数が初めて100万人を超えた

パリ:亡くなった人々や死が差し迫る人々についての悲嘆。感染者数がさらに増加することへの恐怖。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが終わることへの希望。2021年へ別れを告げ2022年を迎え入れた世界を覆うのは、またまたこれら感情の入り混じりだった。

コロナ禍以前まで世界中で自由奔放かつワイルドに祝われてきた大晦日は様変わりし、感染が急速に拡大するオミクロン株によって病床が埋め尽くされつつあるなか迎えた今回は既視感に似た感覚を覚えるものだった。

「私たちにはただ楽しみが必要なのです。すでに長い間閉じ込められてきました」とうんざりとした様子で語るのはロンドンの街に繰り出してきたカレン・ペイジさん(53歳)だ。

世界的におおかた静粛に祝われた大晦日のお祝いとともにカレンダー上ではパンデミックが起きている4年目に突入した。2019年終盤以来世界で累計2億8,500万人が新型コロナウイルスに感染し、500万人以上が死亡した。

パリでは感染者数増大にともない当局が花火の打ち上げを中止し、屋外でのマスク着用の義務化を再導入した。2021年も残り数時間となったシャンゼリゼ通りを行き交う人々の大多数は義務付けられた通りにマスクを着けていた。

ベルリンでは観客無しのコンサート用のステージが設置されていたブランデンブルク門周辺に集まらないよう警察が人々に求めていた。マドリードでは例年新年到来を祝うために2万人が集う市中心部のプエルタ・デル・ソル広場への入場者数を当局がわずか7,000人に制限した。

アメリカ合衆国における年末年始の祝賀に対する当局の対応はまちまちであった。ロサンゼルスではカウントダウンコンサートが観客無しで実施され、ニューヨークのカウントダウンは規模を小さくして開催され、ラスベガスでは予定された通りの規模でイベントが実施された。目抜き通りラスベガス・ストリップの花火ショーには強風のなか最大30万人の人出が予想されていた。

ジョー・バイデン大統領はパンデミックによる人命の損失や先行きの不安に言及しながら「私たちは我慢している。私たちは回復に向かっている」と述べた。

「職場に戻る。学校に戻る。喜びに戻るのだ」とバイデン大統領はツイッターに投稿された動画で語った。大統領は「そうして今年(2021年)を乗り越えたのだ。次の年も同じだ。一致団結して」と続けた。

ニューヨークの当局はタイムズスクエアのイベント会場入場者数をワクチン接種済みでマスクを着用した15,000人のみに制限した。例年だと100万人がすしづめ状態でボールの落下を観るのとは明らかに違うものだった。

退任するビル・デブラシオ市長は「ニューヨークがオープン中であることを人々は目にするべきだ」として、イベントの開催決定を擁護した。

だが12月30日までにラップ歌手のLL・クール・Jが新型コロナウイルスの感染検査で陽性を示してニューヨークにおけるテレビ中継不参加を発表していた。ホリデーシーズンを通して人手不足やオミクロン株流行にともなう予約キャンセルなどにあえぐレストラン経営者らは営業もままならない状況だった。

「私たちの業界についてとても心配しています」と語るのはニューヨークでレストランを営むデイビッド・ラビンさんだ。同氏の店では12月の個人客やパーティー客の予約が次々になくなっていったという。「12月に儲けを出すことができたお店はありません。今晩(大晦日)が忙しくなったとしても、全体的に影響することはないです」と同氏は述べた。

航空会社も年末苦しんだ。多数の乗務員や人員がウイルスに感染したことに悪天候が重なり、フライトのキャンセル数は数千件にのぼった。

2021年のパンデミックの流れを変えたワクチン接種は粛々と続けられている。パキスタン政府は2021年に総人口2億2,000万人のうち7,000万人のワクチン接種が完了したと発表し、イギリス政府は3回目の追加接種の12月31日までの目標数に到達したことを明かした。

ロシアではウラジミール・プーチン大統領が死者を悼み、困難な時期に直面したロシア国民の強さを称えながら真剣な面持ちで「パンデミックは未だ減退していない」と警鐘を鳴らした。ロシアのウイルス対策本部は新型コロナウイルス感染症による合計死者数を308,860人と報告しているが、同国の統計局ではその数字の倍以上の死者数が出たとしている。

ロシア国内に11ある標準時刻帯それぞれの深夜0時直前にテレビ放送された演説でプーチン大統領は「大切な人を亡くしたすべての方々に向けて支援のための真摯な言葉を表明したい」と述べた。

各国で多くの人が新年を祝う場所として選択したのはロックダウン時に慣れ親しんだ場所と同じだった。それは自宅である。

ローマ教皇フランシスコは群衆を避けるために毎年恒例であるサンピエトロ広場に設置された等身大の飼い葉桶への訪問を取り止めた。85歳の教皇フランシスコにとっては異例のマスクを着用した姿で大晦日の晩課(夕べの祈り)と讃歌に車椅子に乗って現れたが、説教の際にはマスクを外し立ち上がって教えを説いた。

「迷子になったような感覚がパンデミック中の世界に広まっている」と教皇はサンピエトロ大聖堂に集まった信者に語りかけた。

暦が2021年から2022年へと移るなか、フランス・イギリス・ポルトガル・オーストラリアでは新規感染者数の過去最多が記録された。

毎年恒例の打ち上げ花火観覧のために市内中心部やテムズ川河畔に例年数万人が集まるロンドンのイベントは、テレビ放送による光やドローンの催しに差し替えられた。群衆が集まることを防ぐために実施会場の詳細は事前に伏せられていた。

「この2年間は多くの人にとって困難に満ちたものでした。多くの人が苦しみましたので、皆が一致団結し始めなければならない時が訪れるのです」と特殊教育の教師を務めるミラ・ルックさん(22歳)は語った。
フランスでは12月31日に新規感染者数が過去最多の232,200人を記録し、3日続けて新規感染者数が20万人を超えた。イギリスの状況もこれに匹敵するもので、こちらも過去最多となる189,846人の新規感染者が記録された。ロンドンではクリスマス直前の1週間で市内の人々のうち最大で15人に1人が新型コロナウイルスに感染した、と当局は発表した。イギリスにおける新型コロナウイルス感染症の入院患者数はこの1週間で68%増加し、昨年2月以来のレベルとなった。

ブラジルではリオデジャネイロのコパカバーナビーチで開催された16分間の花火の打ち上げに若干数千人が集まった。例年のリオの新年のお祝いにおいてはコパカバーナビーチに200万人以上が集まるが、2020年末にはパンデミックのため祝賀の催しは実施されなかった。今回は大型スピーカーで音楽が流されたが、例年のようなライブコンサートはなかった。

一方セルビアの首都ベオグラードでは大晦日が盛大に祝われた。他のヨーロッパ各地と異なり、ここではオミクロン株の脅威があるにもかかわらず群衆の集まりが許可されていた。ある医療専門家は、ホリデーシーズン明けのセルビアでは数千人規模の新型コロナウイルス感染者数がでるだろう、と予想した。

ドバイ郊外の広大な会場で開催されている世界万博2020では26歳の観光客ルジャイン・オルフィさんが大晦日のお祝いについて後先のことは考えていない、と明かした。サウジアラビアの聖地メディナから来た彼女は初めてサウジアラビア国外で大晦日を迎えたという。

「お祝いしなければ人生はあっという間に過ぎ去ってしまいます」と彼女は言い「私は健康で(ワクチンの)接種も2回済ませました。楽しまなければ」と話した。

オーストラリアでは新規感染者数が過去最多となる32,000人を記録したにもかかわらず、祝賀の催しは予定通り開催された。深夜0時に数千発の花火がシドニーのハーバーブリッジやオペラハウスを覆う夜空に打ち上げられた。しかし観衆の数はパンデミック以前と比べると明らかに少なかった。

日本の作家の松沢直樹さんは、閉まる店舗が多いため高齢者のために料理を用意しそれを届けて新年の数日間を過ごすという。新型の変異種が登場しているが、ワクチンのおかげでパンデミックに対する不安は幾分解消された、と松沢さんは述べた。

「だんだん麻痺してきましたし、それほどの恐怖は持っていません」と東京の南西に位置する横浜在住の松沢さんは語り「一部の人は自身が感染することはないから大丈夫だと油断し始めています」と付け加えた。

韓国当局は例年だと初日の出を拝むために多くの人出で賑わう東部の海岸沿いにあるビーチや多くの観光スポットの閉鎖を決めた。

インドではニューデリーやムンバイなど大都市で夜間の外出禁止やその他の規制が課せられており、集まって新年を盛大に祝う雰囲気にはなく、数百万の人々が新年を自宅で迎えた。

中国本土においては上海市政府が黄浦江に沿って行われ、毎年数十万人の観客が集まる恒例のライトショーの中止を決定した。北京では一般向けの祝賀イベントは予定されておらず、人気寺院の多くも12月中旬から閉鎖されているか入場者数が制限されている。

2週間前に強力な台風による甚大な被害を受けたフィリピンでは数万人の人々が大晦日を前にして生活の基本的必需品の確保すらままならない状況だ。台風22号(ライ)によって400人以上が死亡、少なくとも82人が現在でも行方不明になっている。

17歳にして母であるリアマー・シンソンさんは11月に火事により自宅を失い、その後台風によってセブ市で仮住まいとしていた木造の小屋が吹き飛ばされた。数百家族が瓦礫や米を入れる袋、シートなどで作ったテントで暮らす空き地で、彼女はガラス・アルミ工場で働く夫と1歳の赤ん坊である息子と共に、いつ倒れてもおかしくないテントの中で新年を迎える。

新年への願いを尋ねられたシンソンさんの答えはシンプルに「病気にならないことを願います」だった。

AP

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