
ワシントン:火曜日、米国の中東地域を管轄する米中央軍最高司令官に指名されている次期陸軍大将候補は上院議員に対して、多くの人が懸念しているようにロシアがウクライナに侵攻した場合、シリアを含む中東地域にも広範な不安定要素をもたらす可能性があると警告した。しかし、この地域の米国および同盟国にとっての主要な脅威は、依然としてイランであることを明確にした。
また、エリック・クリラ陸軍中将は上院軍事委員会で、中国は米中央軍管轄地域において、アフガニスタンの過激派の活動に関する情報収集のために米国が協力を必要とする国を含めて、その勢力と関与を拡大していると述べた。
「米国は、中国やロシアとの新たな戦略的競争の時代に直面しており、それは一つの地域にとどまらず、(中央軍の)管轄範囲にまで及んでいます」と、クリラ氏は中央軍司令官指名に関する委員会の公聴会で述べた。「米国が中国との競争を優先するのは当然です。だからこそ我々は、中東と中央・南アジアに関与し続けなければならないのです」
イラク戦争とアフガニスタン戦争での豊富な経験を持つクリラ氏は、委員会から友好的な歓迎を受けており、彼の司令官任命はほぼ確実だと言われている。
クリラ氏がこの任務に就けば、米国防総省がインド太平洋地域に重点を移し、台頭する中国に対抗、ヨーロッパではロシアに対する防衛力を強化しようとしている中で、同氏がこれらの指揮を執ることになる。しかし、イランとその支援を受けた代理勢力は、中東全域で米軍と同盟軍への攻撃を絶え間なく続けており、この地域からより多くの軍隊を移転させる計画の妨げとなっている。
クリラ氏は、3年間司令部を率い、今春の退任が決まっているフランク・マッケンジー海兵隊元帥の後任となる。マッケンジー氏は、アメリカのアフガニスタンからの混乱した撤退、イラクとシリアにおけるダーイシュの解体、イランとその代理勢力によるサウジアラビア、アラブ首長国連邦、海上の船舶への攻撃の増加など、この地域における激動の時代を指揮してきた。
現在、第18空挺軍団の司令官を務めるクリラ氏は、公聴会の後の予定として、ウクライナ国境沿いにおけるロシアの軍事的増強を懸念する同盟国を安心させるために行われる米国の取り組みの一環として、ドイツに派遣されることを委員会に伝えた。
ロシアがウクライナに侵攻した場合、それが中東に影響を及ぼす可能性について質問されたクリラ氏は、ロシアがすでに軍事基地と軍隊を配備しているシリアに影響が及ぶ可能性があると考えていると答えた。
「ロシアがウクライナに侵攻した場合、シリアでも混乱を引き起こすことを躊躇しないでしょう」と、以前、中央軍の副官を務めていたクリラ氏は語った。
また、米国はロシアが米国との戦争を望んでいるとは考えていない、と付け加えた。
中国についてクリラ氏は、中央軍管轄地域の21カ国のうち18カ国が中国と戦略的協定を結んでおり、中東における活動を活発化させていると述べた。米国は、そこで中国に対抗できなければならないと述べている。
上院議員は、米軍が駐留しなくなったアフガニスタンにおけるアルカイダやダーイシュの過激派を監視する取り組みについてクリラ氏に質問した。クリラ氏は周辺国と協力し、「オーバー・ザ・ホライズン(Over the horizon)」戦略の遂行能力を確立する努力を続けていると述べた。
8月末にアフガニスタンから撤退した米国は、同地域の多くの国と交渉して、領空の飛行、国境付近での基地やその他情報収集施設設置の許可を得ることに苦心している。軍の指導者たちは、遠くから過激派グループを監視するのは難しいと語っている。現地までの長時間のドローン飛行が必要になり、結果として監視時間は限られてしまうからだ。
タリバンとの連携について聞かれたクリラ氏は、米国は現実的なアプローチをとるべきだと答えた。タリバンもダーイシュを敵とみなしているので、その点では合意できる可能性があるという。また、米国はアフガニスタンの人道的危機に対処する方法を見つけなければならず、それにはタリバンによる食糧供給の支援が必要になるかもしれないと述べた。
クリラ氏は1988年にアメリカ陸軍士官学校ウエスト・ポイントを卒業し、イラクとアフガニスタンに複数回派遣され、通常部隊と特殊作戦部隊を指揮してきた。2004年にはイラクでストライカー旅団戦闘団を指揮し、銃で撃たれて負傷している。
AP