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ラフィク・ハリーリ元首相暗殺の罪を「隠蔽」し、「犯罪者を保護」しているとヒズボラに非難

殺害されたラフィク・ハリーリ レバノン元首相の肖像画の前を通りすぎる男性。(ファイル写真:AFP)
殺害されたラフィク・ハリーリ レバノン元首相の肖像画の前を通りすぎる男性。(ファイル写真:AFP)
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12 Mar 2022 06:03:13 GMT9
12 Mar 2022 06:03:13 GMT9
  • レバノン特別法廷が2005年の殺害に関与したヒズボラのメンバー2人を新たに有罪としたことを受け、サアド・ハリーリ氏のコメントが発表された

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノン特別法廷の控訴審(Appeals Chamber)は10日、ヒズボラのメンバーのフセイン・オネイシとハッサン・ハビブ・メルヒ両被告に対し、2005年のラフィク・ハリーリ レバノン元首相の暗殺に関与したとして有罪判決を下した。

判決を受け、党首のサアド・ハリーリ元首相ら多くの未来運動の党員たちは、ヒズボラが犯罪を「隠蔽 」し、「犯罪者を保護 」していると非難した。

国連が設置したレバノン特別法廷(Special Tribunal for Lebanon)は不在のまま有罪判決を受けた両被告を逮捕するようレバノン当局に命じた。

「検察は身柄拘束のための逮捕状の発付を待っている状況です」とある司法関係者はアラブニュースに語った。「しかし、(2020年12月に特別法廷により暗殺への関与で有罪判決を受けた)サリム・アヤシュについては、逮捕状の発付以来、検察が関係当局に命じているにもかかわらず、逮捕できていません」

「通常、逮捕状には有罪判決を受けた者が発見できそうな住所が記載されるのですが、今のところそうした場所も特定できていないのです」

今回の判決について、ハリーリ未来運動党首は次のようにコメントした。「レバノンは、国としてすべての関係当局、軍事・治安部隊を活用し、有罪判決を受けた者たちを逮捕し、特別法廷に引き渡し、刑を執行するよう努力しなければなりません。」

ハリーリ党首は、ヒズボラがこの犯罪を隠蔽し、関与したメンバーを保護し、国際司法からの逃亡を手助けしていると強く非難した。

「あの暗殺の共犯者たちは皆、いずれ報いを受けるでしょう」とハリーリ党首は語った。「私たちは、正義を実行せず、殺人者を罰しないすべての政党や指導者たちを警戒し続けます。」

フアード・シニオラ元首相は次のように述べている。「今回の判決は、私たちが特別法廷に頼ったことが正しかったことを証明しています。レバノンでは、司法がレバノン国内の特定の犯罪について調査すらできないことを人々は日々目の当たりにしています。ベイルート港の爆発事故の捜査が全く進展していないのも、その最近の例と言えるでしょう」

「今回の判決は、ヒズボラが暗殺に関与していたことを明らかにし、彼らのレバノンおよびレバノン人に対する主張と行いが偽物であることを露呈するものです。判決はヒズボラに対し、犯罪者たちを遅滞なく引き渡すことを義務付けているのです。」

2020年12月、レバノン特別法廷はオネイシ、メルヒ、そしてもう一人アサド・ハッサン・サブラの各容疑者に対して証拠不十分で無罪判決を下した。一方、やはりヒズボラのメンバーであるサリム・アヤシュ被告は、「テロ行為を目的とした陰謀を計画し、爆発装置を使用してテロ行為を行い、爆発物によりラフィク・ハリーリ氏を故意に殺害し、やはり爆発物を用いて他の21人を故意に殺害し、さらに226人を爆発物により故意に殺害しようと試みた」罪で合理的な疑いの余地なく有罪とされた。

アヤシュ被告は本人不在のまま無期懲役を言い渡され、特別法廷は、本人が自首しない限り、判決に対して控訴することはできないとしている。

メルヒ被告とオネイシ被告に対する2020年の判決に対して検察は控訴し、控訴審の判事たちは10日、全員一致で「判事たちの判断に間違いがあった」との結論を下した。2020年の裁判における4人の被告に対する訴えは、ヒズボラの下部組織がテロを計画していることが分かると検察側が主張する携帯電話の記録という、状況証拠に頼ったものだった。

特別法廷の裁判長を務めたイヴァナ ハドリチコヴァ(Ivana Hrdlickova)判事は、10日遅くにメルヒ被告とオネイシ被告の逮捕状が控訴審により発付されると発表した。

レバノン特別法廷は資金不足のため、この控訴審のプロセスの後に閉鎖される見込み。現在直面している経済危機のため、同法廷に支払うべき資金をレバノンが拠出できなかったことを受けて、レバノン国民が、法廷の活動を継続できるよう50万ユーロ(約6400万円)を寄付している。

ヒズボラのハッサン・ナスラッラー書記長は、特別法廷を認めないと述べ、被告人の引き渡しを拒否している。

マルワーン・ハマデ元国民議会議員のは次のように述べた。「特別法廷は、時間とコストの浪費はあったものの、ラフィク・ハリーリ元首相およびその仲間全員に対して世紀の犯罪を犯した悪党たちも、真実を隠すことはできないことを証明しました。」

ハマデ 元議員は2004年、ハリーリ元首相が殺害される数カ月前に、自動車を使った類似の爆弾攻撃による暗殺の標的となり負傷した経験を持つ。「暗殺へのヒズボラの関与を証明することは、レバノンにおける正義に奥行きを加え、犯人たちを国際的な逮捕状に従って拘束することを公的機関に対し要求することを意味します。この犯罪とその犯人たちに関する沈黙は、レバノンの司法の崩壊をもたらしてきたのです」とハマデ氏は付け加えた。

特別法廷の判決が出されたのは、2005年のハリーリ元首相の暗殺に続く3月14日の蜂起から17年目を迎える記念日の数日前のことだった。

ヒズボラはオネイシとメルヒ両被告に対する判決にまだ反応していない。しかし、同党の議会ブロック長、ムハンマド・ラード議員が11日に行った、レバノン中央銀行の口座に対する犯罪科学的な監査についてのコメントは、犯罪者の訴追に関してヒズボラの二重基準を示す証拠として、一部で注目されている。

「ヒズボラは誰も騙すつもりはありません。犯罪者は罰せられなければなりません」とラード議員はコメントしたのである。

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