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バイデン米大統領、ウクライナへの攻撃を停止するという条件でプーチン大統領との会談に合意

2021年6月16日撮影。ジュネーブのヴィラ・ラ・グランジュで米露首脳会談に臨むジョー・バイデン米大統領(右)とロシアのウラジミール・プーチン大統領。(AFP file)
2021年6月16日撮影。ジュネーブのヴィラ・ラ・グランジュで米露首脳会談に臨むジョー・バイデン米大統領(右)とロシアのウラジミール・プーチン大統領。(AFP file)
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22 Feb 2022 02:02:54 GMT9
22 Feb 2022 02:02:54 GMT9

キエフ・ウクライナ: ジョー・バイデン大統領は、米国当局が近日中に実行が計画されていると考えるウクライナへの攻撃をロシアが行わない限り、ウラジミール・プーチン大統領と会談することに「原則として」合意した。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、バイデン政権は「ロシアとの外交の追求に全力を尽くしているが、それは侵攻が開始された瞬間に終わる」と発言した。米国のアントニー・ブリンケン国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、さらなる侵攻が実行されないという条件で木曜、ヨーロッパで会談することになっている。

サキ報道官は発表した声明の中で、「我々は常に外交の準備ができている。また、ロシアがそのかわりに戦争を選択した場合、迅速かつ厳しいやり方でその結果を負わせる準備もできている。現在、ロシアはウクライナへの本格的な攻撃を近いうちに開始するための準備を続けているように見える」と書いた。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、日曜を両首脳との会談に費やした後、可能性のある両国の会談実現を仲介する手助けをした。

ロシアは日曜、ウクライナ北部の国境から数万人の軍隊を撤退させるという以前の誓約を撤回した。米国政府はこの動きにより、ロシアはウクライナ侵攻計画の実行にまた一歩近づいたと考えている。ウクライナの首都キエフでは人々が黄金のドームを持つ修道院に押し寄せ、平和を祈った。

ロシアは当初は日曜に終了する予定だった「軍事演習」(とロシアが呼ぶ)を延長し、推定3万人のロシア軍をウクライナ北部の隣国、ベラルーシに送り込んだ。その人員は現在、戦車、飛行機、大砲、その他の軍需品とともにウクライナ国境付近に配置されている、少なくとも15万人のロシア軍の一部となっている。

ロシアがベラルーシに軍を配置し続けたことには懸念が生じていた。車で3時間弱の距離にある人口約300万人のウクライナの首都キエフへの一斉攻撃に使われる可能性があるためだ。

2022年2月15日に撮影された衛星画像。ウクライナ国境から27km東にあるロシアのヴァルイキに戦闘群が展開し、部隊のテントが見える。(AFP経由 マクサーテクノロジーズ)

キエフでは、穏やかな冬の日曜日、ブランチや教会での礼拝など、表向きはいつも通りの日常が続いている。バイデン米大統領が先週末に「すでに決定している」と語ったロシアの攻撃を目前にして。

親ロシア・分離独立派に占領されたウクライナ東部の地域を脱出してきたカテリーナ・スパンチャクさんは、聖ミハイル修道院で信心深い人々の灯す蠟燭の煙の中、ウクライナが守られるように祈りを捧げに訪れた群衆の一人だ。

「私たちはみんな、生きることを愛している。そして、生きることへの愛でひとつにつながっている」スパンチャクさんは、気持ちを鎮めるために言葉を切った。「毎日、生きていることに感謝すべき。だから、すべてはきっと大丈夫だと思える」

「私たちが共に祈ることで、すでに進行しつつあるこの悲劇を避けられるだろう」と、オレフという下の名前だけで名乗った別の信者は語った。

米国政府関係者は日曜、プーチン大統領がロシア軍をウクライナに送り込む決定を下したというバイデン大統領の主張は、ロシアの前線司令官が攻撃の最終準備を始めるようにという指令を受けたという情報に基づいていると述べた。この当局者は機密情報を語るために匿名を条件としている。

米国と多数のヨーロッパの諸国は数週間前から、プーチン大統領がウクライナ(西側に目を向け、ロシアの影響下から外れようとしている民主主義国)に侵攻するための戦力を整え、侵攻の口実をつくろうとしていると告発してきた。

欧米諸国は、プーチン大統領がそれを実行した場合、大規模な制裁が待っていると脅している。

米国当局は日曜、ロシアが侵攻を実行するまでは財政的処罰計画を延期するという決定を擁護した。これは、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が土曜日に、西欧諸国のさらなる対応を熱く求める訴えを行ったことを受けてだ。

2022年2月20日、ワシントンで、ジョー・バイデン大統領にロシアのウクライナ侵攻を抑止するためにより強い姿勢を打ち出すよう求めるデモを行う活動家たち。(ゲッティイメージズ/AFP)

「抑止力の引き金を引いてしまえば、抑止力として存在することはできない」と、国防総省のジョン・カービー報道官はFOXニュースで、米国政府の制裁措置について語った。

ロシアは土曜日、ベラルーシでの通常訓練に加え、核訓練を実施した。また、黒海沿岸では海軍の訓練を継続的に行っている。

ロシアがベラルーシからの撤退を撤回するという決定は、ウクライナ東部のウクライナ軍と親ロシア・分離独立派の接触線付近で2日間続いた砲撃事件の後に発表された。

バイデン大統領は、ウクライナ国境付近でのロシアの軍備増強について議論するため、ホワイトハウスで国家安全保障会議を開催した。約2時間に及ぶ議論の詳細が直ちに公開はされることはなかった。

「我々はヨーロッパでの戦争が起こる可能性について話をしている」と、米国のカマラ・ハリス副大統領は日曜日の午前、ドイツのミュンヘンで開かれた安全保障会議で発言した。会議では、世界の指導者たちがこの危機に関して緊急に協議した。「70年以上になる。70年以上、平和と安全が保たれてきたのだ…」

欧米当局は、現在もアントニー・ブリンケン米国務長官が「最後の砦」と呼んだ外交策を追求していると主張した。

ゼレンスキー大統領は日曜、ツイッターで停戦を訴えた。ロシアは侵攻の計画を否定しているが、ロシア政府は土曜日にゼレンスキー大統領がプーチン大統領との会談を申し入れた際、返答しなかった。

フランスのマクロン大統領との会談後、プーチン大統領は接触線沿いの砲撃の激化はウクライナの責任であると(目撃者によれば誤った認識で)と非難し、ウクライナに「近代兵器と弾薬を送り込んでいる」としてNATOを糾弾する発言をしたという。

 

「ドネツク人民共和国」と自称する地域から避難してきた人々がヴォロネジの駅に到着するところ。(ロシア非常事態省配布資料 AFP)

ロシア政府の声明は停戦についておざなりに触れているだけで、ゼレンスキー大統領からの会談要請についてはひと言も言及していない。

ロシアとの平和的解決を仲介するヨーロッパ諸国のリーダーを務めるマクロン大統領は、ゼレンスキー大統領、英国のボリス・ジョンソン首相、バイデン大統領と個別に対話をした。マクロン大統領府は、ウクライナとロシアの両首脳が「今後の数日、もしくは数週間のうちに」外交的解決に向けて努力をしていくことに合意したと発表した。

米国トップの外交官であるブリンケン国務長官は、日曜、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と今週中に一対一で会談することを改めて提案した。ただし、プーチン大統領がそれまでにウクライナへの侵攻を実行しないことを条件としている。

「プーチン大統領が決断を撤回するという可能性は直前まである」と、ブリンケン国務長官はNBCの『Meet the Press』で語った。

モスクワの米国大使館はロシアに滞在する米国人に対し、全体的によりいっそうの注意を促すよう勧告し、「米国政府の支援に頼る必要のない避難計画を立てておくこと」と、警告した。

当面の懸念はウクライナ東部に集中している。同地域では2014年からウクライナ軍と親ロシア・分離独立派の反政府勢力が戦いを続けており、これまで約14,000人が死亡している。

ウクライナ東部のルガンスクとドネツクでは、分離独立派の指導者たちが軍の総動員を命じ、ロシアに多くの民間人を送り込んだ(ロシアは反政府派の支配下にある地域の住民約70万人にパスポートを発行している)。ロシアの国民が危険にさらされる可能性があるという主張が軍事行動を正当化する理由として使われるかもしれない。

分離独立派占領地域の当局関係者は、ウクライナ軍がこの24時間で数回の砲撃を行い、ロシア国境付近の村への攻撃が失敗した際に民間人2名が殺害されたと主張している。ウクライナ軍は、土曜日の分離独立派からの銃撃により兵士2名が死亡したと発表した。

「接触線上で、たとえば現在のように緊張が最大限にまで高まっている場合、いかなる火種、いかなる計画外の出来事や些細な挑発ですら、とりかえしのつかない結果につながる可能性がある」と、プーチン大統領報道官のドミトリー・ペスコフ氏は日曜、ロシアの国営放送でのインタビューで語った。

前線のウクライナ兵は応戦しないようにと命じられているという。ザハル・レシュシュン氏は潜望鏡で遠くを覗きながら、ゾロテの町近くで陣取っている塹壕から一日中、このニュースを追っていた。

「現時点では我々は応戦しない。なぜなら…」と、レシュシュン氏は語り始めたが、砲撃の音によって中断された。「あっ、今、砲撃されている。指揮所を狙っているんだ」

AP

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