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ウクライナ侵攻 アラブ在住ウクライナ人たちの不安と恐怖

ウクライナでの戦闘により、約85万人が国内避難民となったと、国連難民事務局員が発表。(AFP)
ウクライナでの戦闘により、約85万人が国内避難民となったと、国連難民事務局員が発表。(AFP)
2022年2月26日、キエフ。砲撃された高層アパート近くに集まる医療関係者たち。(ジェーニャ・サビロウ/AFP)
2022年2月26日、キエフ。砲撃された高層アパート近くに集まる医療関係者たち。(ジェーニャ・サビロウ/AFP)
ウクライナでの戦闘により、約85万人が国内避難民となったと、国連難民事務局員が発表。(AFP)
ウクライナでの戦闘により、約85万人が国内避難民となったと、国連難民事務局員が発表。(AFP)
2022年2月26日の朝、キエフにおけるロシア軍との戦闘の後、不発弾を回収するウクライナ兵。(写真:セルゲイ・スピンスキー/AFP)
2022年2月26日の朝、キエフにおけるロシア軍との戦闘の後、不発弾を回収するウクライナ兵。(写真:セルゲイ・スピンスキー/AFP)
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27 Feb 2022 11:02:47 GMT9
27 Feb 2022 11:02:47 GMT9
  • 海外在住ウクライナ人の不安は、自身の安全ではなく、家族や友人の危機
  • 戦火に見舞われた都市にいる大切な人への連絡手段は主にメールと電話

ナディア・アル・ファオール/ラワン・ラドワン

ドバイ/ジェッダ:木曜日の朝、世界はロシアが隣国ウクライナに本格的に侵攻を開始したとのニュースで目を覚ました。それは、破壊、苦しみ、難民、そして死が確実に続く、新たな紛争の始まりだった。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2月21日のテレビ演説で、ウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両人民共和国(自称)の防衛を主張、この侵攻を正当化した。プーチン大統領による両地域の独立承認後、この二つの分離独立派地域の指導者がキエフに対抗するための軍事的支援をモスクワに要請したと語っている。

故郷から何万マイルも離れたアラブ諸国で働いているウクライナ人たちは、この紛争で命を落とす危険はないだろう。しかし、家族や友人が危険な場所にいる間、彼らは常に不安から逃れられない。

2018年にキエフからレバノンのジュニーエに移住した26歳のウクライナ人、ミア氏は、母国からの最新情報を得るためにスマートフォンをスクロールする必要はない。彼女は、いままさに戦火にさらされている都市に閉じ込められている、彼女の愛する人たちから、絶え間なくテキストメッセージや電話を受けているのだ。

「両親や友人たちにずっとメッセージを送り続け、連絡が取れることを確認しています。メールが届くのに時間がかかると、両親や弟が殺されたかもしれないという、最悪の事態をすぐに考えてしまいます。とても不安です」と、ファーストネームを条件に、ミア氏はアラブニュースに語った。

「両親と12歳の弟は、地下のシェルターに避難しています。両親はこれまで一度も人を傷つけたことがありません。私たちは、このような目にあうようなことは、何もしていません」

それでもミア氏は、戦争に立ち向かう故郷のウクライナ人の行動を称える。「今、私はウクライナ人であることを誇りに思っています。家族、国民、そして大統領を誇りに思います。トンネルの先に光が見えることを祈っています」

クウェート在住のレバノン系ウクライナ人、アリッサ・アルキマーリ氏は、ミア氏と同様、今はストレスと恐怖、不安にさらされている。家族や友人はキエフ中に散り散りになっている。彼らは、落ちてくる砲弾や迫撃砲から身を守るために、家も持ち物も捨ててしまったと、彼女はアラブニュースに語った。中には、安全を求めて地方に避難した人もいる。

湾岸諸国に住み、4年以上働いているアルキマーリ氏は、母親はベイルートにいて無事だが、残りの大家族はウクライナ国内で避難民になっていると語る。キエフや、他のウクライナ主要都市の人口密集地をミサイルが襲ったと聞き、彼女と母親は愛する家族のことを一日中心配しているという。

2022年2月26日、スロバキア東部のヴィシュネー・ネメツケー。国境を越えた後、ベビーカーを押すウクライナ人女性を助ける国境警備隊員とスロバキア軍兵士たち。(写真:ペーター・ラザル/AFP)。

「私の知り合いはみんな自宅から逃げ出し、国境付近や町のシェルターに逃げ込む場所を探しています」と彼女はアラブニュースに語った。

「私の名付け親の家族は、ポーランド国境近くの町を目指し、日があるうちに家を脱出しました。でも、途中で爆弾が降ってきたので、近くの町に避難して、見知らぬ人のソファーで寝ることになりました」

2022年2月25日、ロシア軍の侵略から逃れた数万人のウクライナ人がポーランドに入る中、プシェミスルの鉄道駅で涙ながらに抱き合うウクライナ人家族。(ゲッティイメージズ)

「何が起こるか、次にどこを攻撃されるかわかりません。これは大きなストレスです。どこへ逃げても、敵はその場所を狙っているように考えてしまいます。普通は標的にならないように思えるような田舎でさえも、もはや安全でないのです」

SNSのフィードからは戦争のニュースが絶え間なく流れ続ける。アルキマーリ氏に新しい日課が加わっている。朝、そして夕方、家族や友人の様子を確認するのだ。道路は渋滞し、食料は不足し、スーパーマーケットの棚は空になり、燃料を求めて何キロも並ぶという話を耳にすると彼女は語る。

「人々は本当に、パニック状態です」と彼女はアラブニュースに語った。ただ。これらのメッセージを見るたびに、大きな安堵感を覚えるとも付け加えた。「彼らは大丈夫。彼らは、まだ生きているのだから」

ドバイに住む29歳のイリーナ氏は、故郷の戦争で、大家族の消息を常に確認しなければならなくなった。ウクライナ中央部出身の彼女の家族は、同国の東部と西部の町に分散している。

母親は首都の南西、モルドバとの国境に近いクズミンチという小さな村におり、父親はキエフにいるという。叔母と叔父は、最近爆撃を受けたキエフ郊外の小さな県、ヴァシルキウにいる。

「私の家族はキエフの地下鉄、スポルトゥ駅のシェルターに避難するしかありませんでした。全国各地に家族がいることは、ウクライナ人にとっては非常に珍しいことです。こんなことが起こらないようにと願っていました」と、イリーナ氏はファーストネームを条件に語った。

2022年2月26日、コルチョバ・クラコヴェッツ国境検問所。ロシアの侵略から逃れてポーランドに入ったウクライナ人男性が少女を抱きしめる。(ジャネク・スカジンスキー/AFP)

「ロシアが国境に軍隊を移動させたことは知っていました。でも、以前と同じように私たちを怖がらせようとしているだけだと誰もが思っていました。大使が避難しているという情報もありましたが、それでも現実感はありませんでした」

「まさか、自分の故郷が朝の5時に何の予告もなく侵略されるとは思ってもいませんでした。でも今彼らは、どんな国に対しても、何の影響も考えずに爆撃し、攻撃し、侵略することができるようです」

イリーナ氏によると、ポーランドにいる彼女の叔父は、海外のウクライナ人に向けた、帰国し、国を守るために武器を取るようにというウォロディミル・ゼレンスキー大統領の呼びかけに耳を傾けているとのことである。

2022年2月26日の朝、キエフで勃発したロシア軍襲撃部隊との戦闘現場のウクライナ軍兵士たち。(セルゲイ・スピンスキー/AFP)

「私たちはいつも、戦争は別の世界の出来事だと思ってしまいます。しかし、シリア、ボスニア、そして今のウクライナを見てください」と彼女はアラブニュースに話す。「次は誰なのか。それは時間の問題です。人々の政治的見解、無知、無関心が政府の暴走を助長します。何もしないことは、たしかにとても楽なことです」

「ウクライナで今起きていることは、恥ずべき行為です。しかし、これもまた、永遠には続きません」

ロシアはウクライナの国境に15万人以上の軍隊を集結させた。西側諸国は、第二次世界大戦以来ヨーロッパで最大の軍備増強であると避難し、数週間にわたる外交を行ったが、ロシアを抑止することはできなかった。

西側諸国は当初から、ロシアにいくつかの制裁を課すことを警告していた。木曜日、ロシアへの経済制裁を正式に発表した。

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