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ウクライナ、ロシアとの停戦協議終了とともにEU加盟を申請

2022年2月28日、月曜日、ベラルーシのゴメル地方に着陸した、ベラルーシ軍のヘリコプターから離れるウクライナの代表団。(A)P
2022年2月28日、月曜日、ベラルーシのゴメル地方に着陸した、ベラルーシ軍のヘリコプターから離れるウクライナの代表団。(A)P
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01 Mar 2022 12:03:51 GMT9
01 Mar 2022 12:03:51 GMT9
  • 戦闘終結を目指したウクライナ・ロシア協議には進展がみられないまま終了
  • ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領がEU申請書にサインする写真を投稿

キエフ/モスクワ:ウクライナとロシアの停戦協議に進展はみられなかったものの、協議を継続することで合意した。国内への攻撃が続くウクライナは月曜日、欧州連合(EU)への加盟を申請、西側との連携を強化する狙いだ。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、EU加盟申請書に署名する写真をSNSに投稿した。この動きはパフォーマンスの部分も大きい。通常、加盟実現には何年もかかるプロセスが必要だ。ウクライナを自国の軌道に引き込もうとしている西洋を長年非難してきた、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の反発は必至だ。

ロシアとウクライナの高官は、侵攻開始後5日目に協議を開催した。プーチン大統領による「核の脅し」の中、モスクワのウクライナ侵攻は予想外の激しい抵抗を受け、西側の制裁がロシアの経済に大打撃を与え始めている。

ゼレンスキー大統領の最高顧問であるミハイロ・ポドリャク氏は、ウクライナとベラルーシの国境付近で行われた協議は、停戦の可能性に焦点が当てられ、「近いうちに」次の協議が行われる可能性があると述べた。

プーチン大統領補佐官でロシア代表団長のウラジミール・メディンスキー氏によると、協議は5時間近くに及び、特使たちは「共通の立場から予測できる、特定のポイントを見出した」という。また、今後数日間の間に、協議を継続することで合意したという。

協議が終わる頃、キエフではいくつかの爆発音が聞こえたが、詳細はすぐに判明しなかった。軍事的な評価について話すため、匿名を条件に語った米国防総省高官によると、ウクライナを多面的に攻撃しているロシア軍は、人口300万人近い首都にゆっくりと前進しており、市街地から約25キロ離れたところにいたという。

キエフ市内の看板やバス停、交通標識には、進撃するロシア兵に向けたメッセージが表示された。ロシア人に退去を促すために冒涜的な言葉を使ったものもあった。また、彼らの人間性に訴えかけるものもあった。

「ロシア兵よ、止まれ!家族を思い出せ。きれいな良心とともに、家に帰ろう」と書かれたものもあった。

一方、ウクライナ第2の都市、ハリコフから投稿されたSNSの映像は、住宅地が砲撃され、アパートが度重なる強力な爆風で揺さぶられる様子を映し出している。ハリコフ当局によると、少なくとも7人が死亡、数十人が負傷した。死傷者はさらに増える可能性があると警告している。

「彼らは電撃戦を計画していたが、失敗し、このような行動に出た」と、83歳のヴァレンティン・ペトロヴィッチ氏(彼は、身の危険を感じてファーストネームとロシア風のミドルネームを名乗った)は語る。彼はダウンタウンのアパートから砲撃の様子を眺めていたという。

ロシア軍は、住宅、学校、病院に対する砲撃の多くの証拠があるにもかかわらず、住宅地を標的にしていることを否定している。

クレムリンは2日連続で核戦争の危機を煽り、プーチン大統領の先週末の命令を受け、陸海空の核戦力を厳戒態勢にしたと報じた。プーチン大統領は、米国とその同盟国を「嘘の帝国」と非難し、侵攻正当化のレトリックをさらに強化した。

多くの人にとって、核の厳戒態勢は、1962年のキューバ危機の記憶を呼び起こさせ、西側諸国がロシアとの直接対決に引き込まれるのではないかという恐怖を抱かせる。

しかし、米国国防省の高官は、匿名を条件に、米国はロシアの核態勢にまだ目立った変化を感じていないと述べた。

ロシアの銀行などに対する制裁が本格化すると、ロシア中央銀行は暴落したルーブルの補強に奔走、プーチン大統領はルーブルの安定のため、外貨に関する政令に署名した。

しかし、それはロシアの恐怖を鎮めるには不十分だった。モスクワでは、制裁によって物価が上昇し、何百万人ものロシア人の生活水準が低下する恐れがあるため、現金を引き出すために人々が列を作った。

一方、ウクライナ全土では、恐怖に怯えた家族がシェルターや地下室、建物の廊下などに一晩中身を寄せていた。

アレクサンドラ・ミハイロワ氏は、南東部の戦略的港湾都市マリウポルの仮設シェルターで飼い猫を抱き、泣きながら語る。「この交渉が無事に終わり、虐殺を終わらせる合意に達して、これ以上戦争が起こらないように座って祈っています」。彼女の周りでは、親たちが子どもたちを慰め、暖めようとしていた。

国連人権委員長は、4日以上の戦闘で少なくとも102人の民間人が死亡し、数百人が負傷したと発表した。ただし、この数字はおそらく大幅に過小評価されていると警告している。ゼレンスキー大統領の発表によると、死者の中には少なくとも16人の子供が含まれている。

別の国連職員によると、侵攻以来、50万人以上が国外に脱出し、その多くがポーランド、ルーマニア、ハンガリーに向かったという。また、数百万人が自宅を離れている。

月曜日の協議では、一方には青と黄色のウクライナ国旗を、もう一方にはロシアの三色旗を配した長いテーブルで会談が行われた。

しかし、ウクライナが国防相やその他の高官を送ったのに対し、ロシアの代表団はプーチンの文化担当顧問が率いた。これは戦争を終わらせるための特使とは思えず、おそらくモスクワがこの協議をどれほど真剣に捉えているかの表れであろう。

プーチン大統領が協議に、あるいは戦争そのものに何を求めているのかは未だに明らかになっていない。しかし欧米当局者は、プーチン大統領はウクライナ政府を転覆させて独自の政権に置き換え、冷戦時代のモスクワの影響力を復活させたいのだと考えている。

また、193カ国からなる国連総会は、ウクライナ侵攻に対処するため、数十年ぶりに緊急会合を開いた。アブドゥラ・シャヒード総会議長は、即時停戦、すべての当事者による最大限の自制、そして「外交と対話への完全復帰」を呼び掛けた。

その他の戦闘では、同国南部の戦略的な港がロシア軍から攻撃を受けた。アゾフ海に面したマリウポルでは、ゼレンスキー大統領顧問のオレクシー・アレストビッチ氏が「なんとか持ちこたえている」と述べた。東部の都市スームィでは、石油貯蔵所が爆撃されたと報告された。ウクライナのデモ隊は、ベルジャンスク港でロシア軍の侵攻に反対するデモを行った。

戦争は地上とオンラインの両方で行われている。互いのサイバー攻撃が世界中のウクライナ大使館とロシアのメディアを攻撃した。

現段階では、ウクライナはEU加盟の基準に達するまで何年もかかる。27カ国からなる連合への加盟は、全会一致で承認されなければならない。

全体として、ウクライナの根深い腐敗が、同国がEUの承認を得ることを難しくしているというのが一致した意見である。それでも、EU委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、日曜日のユーロニュースとのインタビューで、「我々は彼らをEUに迎え入れたい」と述べている。

AP

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