
アラブニュース
ジェッダ: 6日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のフィリッポ・グランディ高等弁務官は「この10日間で150万人以上の避難民が近隣諸国に渡っており、欧州では第二次世界大戦以来の急速なスピードで難民危機が拡大している」と述べた。
同氏がこう懸念するのは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナでの軍事作戦を進める意向で、ウクライナ政府が戦闘を止めるまで作戦は終わらないだろうと発言したこと、また激しい砲撃を受けたマリウポリから20万人を避難させる計画が2日連続で失敗したためだ。
ウクライナ当局によると、港町マリウポリで足止めされているほとんどの人は、6日以上にわたるロシア軍の砲撃によって食料や水、電力、暖房の供給が絶たれた状態でシェルターで寝泊まりしている。
6日の国連の発表によると、2月24日にロシアが軍事攻撃を開始して以来、ウクライナ全土での戦闘による民間人の死者は364人にのぼり、そのうち20人以上が子どもで、数百人以上が負傷した。
国連人権高等弁務官は、民間人の死者のほとんどは重砲による砲撃や多連装ロケットシステム、ミサイル、空爆などの広範囲に被害を与える爆発性兵器の使用が原因で亡くなったと述べた。
ロシア政府は民間居住地域への攻撃を繰り返し否定している。
目撃者によると、首都キエフから北西25kmの町イルピンでは、現地での軍事衝突から逃れようとしていた男性、女性、子どもたちは、ミサイルが近くを通過したため、建物内に隠れるしかなかったという。
兵士と同志である住民たちは、バスへと急ぐ高齢者を乗せる手伝いをした。バスには怯えた人々、中には身を縮めて安全な場所まで送ってもらうのを待っている人もいた。
ロシアによる軍事攻撃は世界的な非難を呼んだ。
ローマ教皇フランシスコは週定例講話の中で、サン・ピエトロ広場の群衆に向けて「戦争は狂気、どうか停戦を」と呼びかけ、さらにウクライナの戦争で「血と涙の川」が流れていると述べた。
.プーチン大統領は、停戦を訴えるトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領との電話会談で、ウクライナ政府に戦闘をやめるよう求めた。
ロシア政府の声明によると、プーチン大統領はエルドアン大統領に対し、ウクライナと連携国との対話の準備はできているが、交渉を長引かせようとするいかなる試みも失敗すると述べた。
プーチン大統領は6日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とも約2時間にわたる会談を行ったとロシアのメディアが報じた。マクロン大統領はプーチン大統領に、ウクライナ南部のオデッサに対する攻撃が差し迫っていることへの懸念を伝えた。
ロシアを含む世界中で反戦デモが行われた。
ポーランドは隣人の避難を歓迎
ロシア軍から逃れてウクライナから100万人規模の難民の流入に直目するポーランドでは、人々が結集し、人道的な対応をするよう求める動きが広がっている。27歳のマネージャー、ニコラス・クジアク氏もそういった声を上げる一人だ。
ポーランド人は難民を受け入れ、食料や移動手段を提供している。また何よりも、戦いのために夫や父親を祖国に残し、動揺してショックを受けている女性や子どもにささやかな思いやりを示している。
クジアク氏はメディカの国境検問所近くでAFP通信に対し「準備は始まっています」と述べた。ウクライナのリヴィウに近いこの検問所はたいてい混雑している。
フランス生まれのポーランド人であるクジアク氏は、複数の言語を話すことができるため、4日前に国境に着いてから通訳として協力している。
また、同氏はワルシャワからテント、発電機、ヒーター、食料を持参し、警察、医師、消防士、温かいスープを配るボランティアが連携できるように働きかけている。
「誰もができる限りのことをしています」とクジアク氏は言う。
ポーランド政府は全国に難民受け入れ施設と慈善団体を設立し、大規模な支援活動に備え、すでにポーランド国内で生活している約150万人のウクライナ人も協力している。ポーランドの国境警備隊は6日、ロシア軍がウクライナに侵攻した2月24日以降に国境を渡ってきた人は100万人に達したと発表し、これは「100万人分の悲劇だ」と述べた。
ポーランド南部のクラクフにある主要鉄道駅では、一時的な受け入れ施設が設置され、数百人が到着する姿が見られた。
この受け入れ施設は「本当に満員で、常に大勢の人がいます……十分な場所がありません」とボランティアのアンナ・レフ氏(45歳)は言う。
だが別のボランティアのマヤ・マズル氏によると、場所は市が提供しており、難民はそこで食料や温かい飲み物を受け取り「1日か2日間滞在」できると言う。
多くの人々は西欧を目指して旅を続けている。
「私は家族とハリコフから来ました。息子2人と両親が一緒です」と最前線の都市ハリコフの建築家アンナ・ジンペルソン氏は言う。
「私たちの街は本当に恐ろしい時間を味わっています。至る所に爆弾が落ち、近所の家はもうありません」と同氏。
「3日間、私たちは移動を続け、今はデュッセルドルフの友人の家を目指しています。少しの間そこに滞在し、次にどうするか考えようと思います」
ポーランドのミハウ・ドヴォルチク首相府長官は「今の主な課題は、予測できないほど膨大な数の難民を受け入れるためのインフラを準備することです」と述べた。
アムネスティ・インターナショナルのポーランド支局はFacebookでポーランドへの支援を呼びかける一方で、ベラルーシとポーランドの間で足止めされている中東からの移民のことも忘れないでほしいと訴えた。
同団体は、国籍によって外国人を不平等に扱うことを「甚だしい不公平」と呼んだ。